OverTone VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

OverTone『Prologue』

最後まで「次はどうなるんやろう?」という気持ちで聴いてもらえるかなと。

ベリーグッドマンが設立したレーベル「TEPPAN MUSIC」より、4人組ヴォーカルグループであるOverToneがメジャーデビュー作『Prologue』をドロップ!メンバー全員がメインヴォーカルを務め、さらにコーラスワークもできる強味を発揮し、今作は幅広い世代に刺さるバラエティに富む楽曲が揃った。グループの成り立ちから全6曲入りのアルバムに込めた思いについて、八上和希、GUCCHI、NOWAR The 匠、アマノの4人に話を聞いた。

■よく聞かれる質問かもしれませんが、メンバー名が漢字、英語、英語と漢字、カナタカナ表記と4人ともバラけています。これには何か意図でも?

八上 特に意図はないです。(笑) ノリでそうなったんですよ。NOWAR The 匠くんに関しては、先輩が使っていた爪切りが「匠の技」という名前で、その順番を変えただけなんです。

 悪ふざけですね。それでメッセージがあるように見せるという。(笑)

■ええ、一人だけものすごくメッセージ性が強いので。

 それはたまたまなんですよ。(笑)

■OverTone(以下オバトン)は2017年9月に結成ですが、グループの成り立ちから改めて聞いてもいいですか?

アマノ もともと僕以外の3人が音楽をやっていて、僕は普通に大学生活を送っていたんです。それでオバトンを結成するタイミングで僕は音楽を始めたんですよ。

■そうでしたか。アマノさん以外のメンバー3人は以前から音楽活動されていたんですよね?

八上 ソロでやっていましたね。

GUCCHI メンバーそれぞれソロやグループでやっていて、一緒にイベントをやる機会もあったんです。それでグループで活動していたメンバーが解散して、全員が一人になったタイミングで結成しました。そして八上から「もう一人入れたい」と言われて、地元の友達を連れてきたんですよ。

八上 シンプルにこの3人でやろうとなった時に、この3人では無理やなと。「絶対に売れへん!」って。

■ものすごくはっきり言いますね。(笑)

八上 そこは直感です。僕はアマノと地元が同じでよく遊んでいたんですよ。それで「音楽やりたい」とアマノが言うから、ありやなと。「入れていい?」と聞いたら、メンバーは「いやいや……」って。

■えっ、そうなんですか?

八上 「素人やし、ただのお前の友達やん」って。「じゃあ、俺もやらへん」って言って。この3人がダメとかじゃなく、この4人になることでもっと良くなるんじゃないかと。根拠はないんですけど、直感でそう思ったんです。

■アマノさんは経験者たちの中に入るのは勇気がいりませんでしたか?

アマノ 曲作りに関しては何も知らなかったので不安はあったんですけど、やると決めていたのでやるしかないだろうと。僕からしたら、もともと音楽をやっていた3人とやるのは心強いですからね。

■4人で活動を始めて、最初と現在で変わってきた部分はありますか?

GUCCHI 良い意味でも悪い意味でも若者ノリが強くて、それをライブにも活かして、ワチャワチャした感じを伝染させるみたいな。

八上 普段オフで喋っている感じで、そのまんまのステージなんですよ。それが僕らが楽なスタイルだし、そこが僕ららしさかなと。だから、お客さんもノリのいい人たちが多い印象ですね。

 結成当初と比べると、歌うこと、MCすること、そのメリハリは付いてきたのかなと感じます。最初は僕らもフワフワしていたけど、経験を経て、若者ノリを活かしつつ、徐々に角が削れてまとまってきたかなと。

アマノ 4人いるので、それぞれのキャラはお客さんから見てわかりやすい方がいいと思うから。その意味で最初のライブは全員フザけていたんです。(笑) 最近のライブでは、こいつはフザけてこいつはツッコむみたいな。そこは見やすくはなったのかなと思います。

■そこはグループとして成長した部分ですね。

八上 そうですね。やっている内容は変わらないけど、ちゃんと仕切る人ができた感じですかね。まだ事務所に入る前のライブ映像を観ると、グッと来る曲の前でもずっとフザけていて、「誰がこの曲で泣くねん」って。(笑)

■そしてメジャー1stアルバムが遂に完成しましたね。

八上 この一枚を聴いていただけたら、オバトンの伝えたいメッセージ、感性、キャラがわかってもらえるかなと。1、2、3曲目はそれぞれのメンバーが歌うバースを考えたんです。それで、4、5、6曲目はGUCCHIが作詞・作曲をしているんです。だから、1、2、3曲目は1曲の中にいろんな感性が入っているけど、4、5、6曲目はGUCCHIワールド全開だと思います。歌詞の言葉選びとか、日本語の美しさに注目して聴いてもらえると嬉しいです。

GUCCHI 曲数は6曲なので少ないかもしれないけど、いろんな方向に枝分かれした曲がありますからね。最後まで「次はどうなるんやろう?」という気持ちで聴いてもらえるのかなと。

 ほんまにこの6曲はジャンルレスで、オバトンの音楽の幅を魅せられた作品だと思います。“レディーファースト”なんて、八上が一人で歌っていますからね。

八上 いつでも抜けられるな。(笑)

GUCCHI 出入り自由ではあるけどな。(笑)

 みんなで歌い上げるコーラスもありますけど、一人でも成立できるクオリティを個々が持っていますからね。

アマノ 僕らのライブに来てくれるお客さんは若い女性が多いんですけど、“平行線ロマンス”とかキュンキュンできる曲もあるし、“オレンジ色”は家族の愛情みたいなことを歌っているし、若い人から僕らと同じ世代の30歳前後の人でも共感できる曲もありますからね。いろんな世代の人に聴いて欲しいですね。

 ファン層は10代、20代だと思うんですけど、自分たちが書きたい曲を書いたら、いろんなカラーを出せたという。

八上 大人になったんでしょうね。

■なるほど。まず1曲目“モンスター”から遊び心あり、オバトンのカラーが強烈に出た楽曲です。この歌詞もとてもユニークですよね?

八上 RPGゲームを題材に、睡魔とその睡魔を妨害してくる彼女をモンスターに例えて、寝ても醒めてもどっちのモンスターとも闘わなきゃいけない。そういう設定なんですよ。サビはGUCCHIが作ったんですけど、相当追い込まれていたんでしょうね。(笑)

GUCCHI いやいやいや、現実にあった話じゃないから!(笑) イメージとしては男が後で起きて急かされるみたいな。

八上 普通は女性の方が準備に時間がかかるしな。

GUCCHI そうそう。早く起きて準備しているのに、「また寝ているの?」って。日常を切り取った歌詞ですね。場面はずっと朝です。

八上 女性の方が共感できるかもしれんな。

GUCCHI 「ウチの彼氏もそうや」って。

■「ラリラリホー おい起きろー!」という歌詞があり、ラリホーはドラクエにおける眠らせる呪文で、その後に「おい起きろー!」という言葉が続くのは矛盾していると思ったんです。ただ、ラリホーは英語で「おーい!」という意味もあるので、2つの解釈ができるなと。

八上 ああ、そうですねぇ。

GUCCHI 後付けが今ひとつ増えました。(笑)

八上 そこは眠りの呪文と、起こされている状況の2つを表現したかっただけなんです。睡魔と彼女と闘っているから、ここではそのどちらも出したかっただけなんですよ。

GUCCHI いい情報をありがとうございます!これから使えるな。(笑)

■“モンスター”は曲調的にはアッパーな仕上がりですね。

GUCCHI ライブのオープニングにやる曲を作ろうと思って。トラックを先に作ってもらって、そこに歌詞やメロディをハメていきました。ホーン強めでファンファーレっぽい雰囲気もあり、このポップさがオバトンぽいのかなと。

八上 ザ・Jポップみたいなね。

■次の“ゼロ”はアコースティックギターを用いたメロディアスなナンバーで、ガラッと雰囲気が変わりますね。

 生音がイメージにあったので、木村さんという方にアレンジをお願いしてトラックを作ってもらいました。今回木村さんに初めてアレンジをやっていただいたので、そこはチャレンジでした。

アマノ 匠くんが作ってきて、歌詞はリリースする上で調整する必要もあり、僕も考えたんですよ。サビはJポップというよりは洋楽チックで、“モンスター”とはまた違うコーラス感も出ていますからね。

 学生の頃に洋楽もすごく聴いていたので、曲を聴く時にメロディから入るんですよね。初めから洋楽みたいに作ろうと思ったわけじゃないけど、僕の中から自然と出てきたメロディなので。

八上 世界のオバトンになろうと。(笑)

 まぁ、ホールやドームとか、広いところで歌うことをイメージして作りましたね。サビの二回し目にみんなで熱唱できるフレーズも入れているんですけど、それも全員で拳を掲げて歌うイメージがありました。