抑圧の日々から飛翔し、新しい時代に飛び込むニューEP『GROUNDSWELL ep.』。
PassCodeが6月21日にニューEP『GROUNDSWELL ep.』をリリース。コロナ禍の規制が無くなり、歓声と喝采を浴びながらツアーを巡っているPassCode。3年間の抑圧を経て、飛び立つような楽曲が集まった今作には、優美なタイトルナンバーをはじめ、ぱちんこ『P北斗の拳-暴凶星-』テーマソング“MYTH”などを含む4曲が収められている。インタビューでは、南菜生、高嶋楓、大上陽奈子、有馬えみりの4人に、ライブやニューEPについて語ってもらった。
■5月28日には『REVERBERATE Plus Tour 2023』の東京・Zepp Haneda公演が開催されましたが、いかがでしたか?
高嶋 お客さんの数が多かったので、歓声も今までで一番大きくて、気温が上がって汗ベトベトになりました。今までにない暑さでした。
大上 コロナ禍前ぶりの久々の暑さでした。私たちはZeppなどで公演することが増えて、そういう会場だと広くて空調も効いているので最近は割りと涼しい顔でライブできていたんですけど、5月28日の公演は「そういえばコロナ禍前のパンパンぎゅうぎゅうの時のライブってこれぐらい暑かったな」と思って。(笑) 空調がいつもより緩いなと思ったのでスタッフさんに「一番低い温度でお願いします!」って言ったら「もう一番下です!」と言われ、「そっかコロナ禍前もみんなが全力で叫んだり動いたりしてくれたらこうなっていたよな……」っていう久々感がありました。(笑)
■「ライブの熱量」ってよく言いますけど、物理的な「熱」ですよね。
大上 ホントに。多分気温が5度ぐらい上がっていた気がします。
■有馬さんは2021年加入ということで、歓声がこんなにあるPassCodeのライブは初めてだったのでは?
有馬 初めてでしたね。これまでも突発的な発声はあったんですけど、掛け声やコール&レスポンスが本格的にできるようになったのはこのツアーからなので、ちょっとイヤモニ片方外して声を聞いてみたり、お客さんの反応を楽しんだりして、新鮮なツアーだなって思っています。
■ここまでのツアーの中で特に印象的だったワンシーンを教えてください。
南 このツアーは“It’s you”のみんなの歌声をきっかけにライブが始まるのですが、それが解禁されたというか、やっと戻ってきたかなって。ライブの頭から雰囲気が変わってくるので、そこが印象的です。
高嶋 コロナ禍になってからできた“Anything New”って曲があって、曲中にシンガロングする箇所があるんですけど、「この曲をいつかみんなで歌いたい!」って勝手に頑張ってきた3年間だったので、やっとお客さんの声が聞けて盛り上がってくれているのを見ると、コロナ禍の中で一緒に作ってきたものの成果みたいなものがすごく感じられました。
有馬 私は海外のお客さんがちらほら来てくれるようになったのを見て、「国の行き来ができるようになったんだな」っていうのが印象的でした。
大上 私は今回のツアーから自由度がより増したなと思っています。今回、「南以外の誰かが煽ってから曲に入る」っていうことをやり始めているんですけど、Zepp Haneda公演の時は、その煽りをPAさんにやってもらったんです。(笑)
■PAさんですか!?PAさんがライブ中に大声を出すのって珍しいですね。
大上 PAさんって客席の後ろの方にいますよね。なので、客席の後ろから煽って、お客さんが「Foo〜!!」って盛り上がるっていう、今まで見た事がない光景になって。(笑) でもそれが「あ、自由さが増してるな、PassCodeっぽいな」って。練習とかじゃ絶対に無いライブ感を味わっています。ライブってホンマにその日によって違いますからね。
■そうですね、ライブは水物ですもんね。
南 このツアーからはコロナ禍での諸々が緩和されたこともあり、コロナ禍以降にPassCodeのことを好きになってくれた方たちもいたので、当たり前のように「元」に戻すっていうのは雑だなというか、申し訳ない感じがして。だから少しずつ、コロナ禍の中で自分たちのライブを作ったように、元に戻すわけじゃなくて、共存できるようなライブの作り方をしていきたいなと思っています。その「途中」を今みんなで一緒に作っているっていう感じですね。
■今まさに歩み出した所なんですね。話は変わるのですが、ライブでやる時に一番ハイカロリーな曲ってなんですか?
大上 “NOTHING SEEKER”かな。最近の曲は基本的にダンスが難しくて……歌っている人は踊らなくていいんですけど、踊っていない時は歌っているから息つく暇が無いんです。
南 あと“MYTH”はメンバー同士で戦うみたいな振り付けがあって、蹴り合ったりもして、もう普通に「運動量ヤバくない?」って。(笑)
大上 特に“MYTH”はライブの最初のあたりでやるけど……もし最後やったら絶対にできん。(笑)
■最後にやるとできないし、最初にやると消耗するというジレンマですね。(笑) さてニューEP『GROUNDSWELL ep.』ですが、最初に聴いた時に「大変そうだ……」と思ったのはどの曲ですか?
南 2曲目の“Melody from the Bumbling Clash”……。(笑)
■全英詞の曲ですね。
有馬 私は1曲目の“Lord of Light”です。シャウトって歌詞が早いと難しいんですよ。シャウトの発声を保ったまま速い箇所を「タカタカタカタカタ」ってやるのがすごく大変なので。
■PassCodeの音源を初めて聴いた時からずっと思っていたのですが、どんなに声を絞ったりシャウトしたりしても英語の発音がとても綺麗に聴こえます。なにか意識していることはありますか?英語は得意なんですか?
南 別に英語が喋れるとかではないです。(笑) 発音に関しては平地さん(平地孝次/プロデューサー)がこだわっているところがあります。
有馬 カタカナでよみがなも書いてくれるんですけど、例えば「strawberry」って単語があるじゃないですか。それを「ストロベリー」じゃなくて「ストゥローベェリィ」みたいな感じで、音そのままにカタカナにしてくれるんです。そのまま読めば発音がいい感じで歌えるみたいなやつ。
南 でもアレで覚えてちゃんとできた試しが無い……。(笑)
大上 あれ読んじゃったら逆にカタカナっぽくなっちゃう。だからあえてもうそれは目に触れへんようにしています。(笑)
■みなさん頷いていますが、もしかして誰もカタカナ歌詞使っていない……?
有馬 えっ!私のシャウトの箇所だけカタカナ書いて貰えなくて「みんないいな~」って思っていたんですけど……。
■どうやら誰も使っていなかったということが判明しましたね。(笑) ここでめちゃくちゃ難しい質問をさせてください。今回のニューEPを漢字1文字で表すと?
有馬 構築の「築」とか、破裂の「破」……あと「闇」!「強」と書いて「したたか」でもいいですね。
南 構築の「築」が一番頭良さそうやから、それにしとこっか。(笑)
■「築」ですね。そのまんま「渦」とかが出るかなと思っていたのですが。(笑)
南 歌詞には結構「鳥」に関連する言葉が出てきます。コロナ禍で窮屈だったところから飛び立って行くみたいな。こういう曲もライブなどでPassCodeが飛躍していくひとつのきっかけになるのかなと思うと、それで「鳥イメージの歌が多くなったのかな?」と思ったり。
■あ、確かに言われてみればそうですね。「鳥」というイメージはありますね。今作は1曲目の“Lord of Light”からアクセル踏んでいる感じがしますよね。こういった複雑な曲ってどうやって覚えていくんでしょうか?
南 “Lord of Light”は、私は聴きやすい曲だと今の今まで思っていました。(笑) “MYTH”以外の3曲の中では最初にいただいた曲で、初めて聴いた時には「これがリード曲かな」って勝手に思っていたくらいです。サビのメロディとかも聴きやすいし、落ちサビもあって、転調のサビもあるっていう、PassCode的には王道の曲です。
■逆に今まで貰った中で「なんじゃこりゃ?!」って思った曲はありますか?
大上 「何メロまであるねん!」と思ったのは“STARRY SKY”ですね。確かHメロくらいまで歌詞のところに書いてあって、「全く繰り返しがないんだな……」と思いました。
■Hメロまでいくなら、もはやAメロ、Bメロ……みたいに振る必要性も薄れそうですね。(笑)
南 “GOLDEN FIRE”って曲は、パキパキした音で展開がめちゃくちゃ多いんですけど、最後にバラードになるんですよ。そこだけ聴くと全く違う曲みたいな感じ。しかもメロディも良いから「最後のメロディだけで1曲作ればいいのにな、もったいないな……」みたいな気持ちになりました。
高嶋 あと“Yin-Yang”は1分半しか無いので、「ちょっと意味わからん」って思ったんですけど、ライブやフェスで1曲でも多くやりたいって時に入れやすいので、すごく使いやすいんです。(笑) この曲は最初、「ここから3分くらいの曲にするか、このまま1分半の曲のままにするか、どっちがいい?」と聞かれて、1分半の方を選びました。(笑)
■そんなこともあるんですね!
高嶋 PassCodeはフェスとかに出ると時間ギリギリまでライブしたり、MC無しでやったりして、少しでも多く曲を詰め込むんです。40分で9曲みたいなことばっかりしているので、「あとちょっとできる!」って時に短い曲は便利なんです。
有馬 いつか1分2分の曲だけでアルバムやEPを作りたいね。(笑) 私は過去の曲で“KISSの花束”っていう曲がすごく面白いと思いました。可愛い歌詞でデスヴォイスをするっていうギャップがあるハイブリッドな音楽が好きなんですけど、この曲は歌詞も結構ヤバくて「ローソ○」とか「性感帯」とか「パンツ」とかが歌詞に出てくるんですよ。意味わかんないじゃないですか。(笑) でもそういうのが楽しかったです。