SPICY CHOCOLATE VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

SPICY CHOCOLATE『一度きりの feat. 寿君, APOLLO & RAY』

■歌詞は寿君さん、APOLLOさん、RAYさんが書かれたんですか?

KATSUYUKI そうです。テーマはこちらで考えて、詞はみんなに出してもらって、それを組み立てていきました。歌詞はみんな悩むんですよね。どういう言葉の並べ方をしたら、みんなの耳に入りやすくなるのかっていうことを考えるので。だから、大量に出してもらって、その中からいいものを抜いて、組み立てていくのが僕の仕事です。今回は大量に出してもらった分いい言葉が並んだので、いい組み立て方ができたと思っています。

■お3方とも関西の方なんですよね?

KATSUYUKI 僕は江戸っ子なので、ちょっと抵抗があるんだけど、さわりはいいかなって。「たまにはハメ外してもええやん」って、「いいじゃん」の方が江戸っ子としては良かったんですけど、「ええやん」の方が親しみやすいかなって。もう3対1なんでね、しょうがねぇや関西弁でいいかって。(笑)

■確かに親しみやすさはありますよね。「ええやん」って言われたら、あ、いいんだって結構ラクな感じで受け取れてしまうというか。

KATSUYUKI やわらかいんですよね。東京の言葉だとズブっていくんですけど、関西弁はどちらにも寄らない真ん中に置けるような言葉が多いので、やっぱり関西弁ってすごいなって思いました。

■今回は世の中の状況もあり、こういうテーマになりましたが、3月にリリースされたアルバム『TOKYO HEART BEATS』は、そっと手を差し伸べてくれるような優しさが印象に残る1枚で、そこからSPICY CHOCOLATEは、また新たなテーマ、新たな章に入っていったのかなと思いました。

KATSUYUKI 最初はこういう曲も結構作っていたんですよ。でもスポットライトを浴びたのが恋愛ソングだったので、そういうイメージが強くなって、一時期は恋愛ソングをたくさん作っていましたね。それでシリーズ化して、3枚のアルバムを出して、ベストアルバムを出して。そこから『TOKYO HEART BEATS』でまた新しいシリーズになって、じゃあどんな内容にしようかって時に、もう恋愛ソングはたくさん作ったし、もっと人生のテーマというか、人の心に寄り添ってあげられたり、背中を押してあげられたり、そういうことをテーマにしたいなということで、そういう曲をたくさん作るようになったんです。人間誰しも悩みがあるじゃないですか。壁にぶつかることもあるし、僕自身ももちろんそうだし。なので、自分の経験した辛いことやなんかをアーティストの方々に出してもらって、そこにメロディを乗っけて、それをメッセージとして歌にして、人の心の役にちょっとでも立てたらいいなって。

■なるほど。

KATSUYUKI SPICY CHOCOLATEが曲を作るテーマとして、まず、日本を良くしたいというテーマがあるんです。日本を良くしたいというテーマの中、じゃあどういう曲を作るべきなのか、どういうメッセージを発するべきなのか、と。その上で間違った方向に人を導くような言葉は使いたくないので、なるべく綺麗な言葉を使うように意識はしているし、何か人の役に立つような言葉や、曲作りをしたいとは常に思って制作していますね。

■そういうテーマ、意思を貫いていきたいという意味でも今回はまさにSPICY CHOCOLATEらしい、ならではの1曲になったんじゃないでしょうか?

KATSUYUKI そうですね。辛いこともあるけど、自分が思う正しい道を歩んで、生きた証を残せるようにがんばろうって。生きた証、自分が死んだ時に一体何が残せるのかって大きなテーマではあるんですけど、決して大それたことを歌っているわけじゃないんです。ほんの少しのひとつのやさしさでも、生きた証を残せたことになるんだと思うし。なので、この曲は一度きりの人生の中で、何を残すことができるんだろうってことを考えるきっかけ、僕らからの投げかけでもあるんです。

■まさにこの曲を聴きながらいろいろと考えました。かと言って、今おっしゃられたように、大それたことをしようとは思わないし、じゃあもっと日常を丁寧に生きようとか、ひとつひとつの出来事や想いを大切にしていこうとか、結局はそこに辿りつきました。

KATSUYUKI そういうことでいいんですよ。何かを感じてもらって、ひとりひとりが何ができるのかって意識改革するだけでも、世の中はいい方向に変わると僕は思っているんです。だから「何か大きいことやろうぜ」とかじゃなくて、「目の前に生きた証を残していこうぜ」って、それでいいんです。その上で、いちばん最後に通ずるのは感謝かなと僕は思っていて。「ちゃんと感謝してる?」「ありがとうって言えてる?」って、そこだと思うんですよね。

■タイトルが“一度きりの”で終わっているところが、またいろいろ考えさせてくれて、すべてが当てはまるじゃないですか。例えば、今こうしてお話させていただいている時間も“一度きりの”だし、全部“一度きりの”だから、もうすべてのことに感謝になりますよね。

KATSUYUKI そうですね、まさしく。一度きりというのは、もう二度とは味わえない大事なものですからね。人生もそうだけど、こういう一期一会もそうですし、そこにちゃんと感謝を持てているかなって、それもテーマになっていますよね。

■本当にこの1曲でいろいろなことを考えさせてもらいましたし、こういう気持ちを大切にしたいなと思わせていただきました。

KATSUYUKI 大切にしたいですよね。そう感じてもらえると非常に嬉しいです。

■少し落ち着いてきたとはいえ、多くの方がまだまだ不安を感じていらっしゃる状況です。そんな中、これからどのように活動されていこうと考えていらっしゃいますか?

KATSUYUKI 目まぐるしく時代は変わっていくので、その時代に合わせたやり方で、何が残せるのかっていうことは常に考えています。生きた証を常に毎回残していけるように、これからも全力でぶつかっていきたいと思うし、全力で努力したいと思うし、そのためには慢心せず、常日頃から自分に新しいものをインプットして、いいものをアウトプットして、世の中に少しでも、ほんのちょっとでもいいので、役に立てたらと思っています。もちろん自分たちがこれまで歩んできた道というのはあるんですけど、基本うしろには戻れないので、目指すのはもう前と上だけですね。

Interview & Text:藤坂綾

PROFILE
ジャパニーズレゲエ界に名を馳せるKATSUYUKI a.k.a. DJ CONTROLER率いるREGGAE SOUND CREW=SPICY CHOCOLATE(スパイシーチョコレート)。 2013年11月末よりOAとなった、「NTTドコモ」テレビCMソングに「ずっと feat. HAN-KUN & TEE」が起用され、配信チャート19冠を達成するなど、一躍注目を集める存在に。 その後も『渋谷純愛物語』シリーズを新たにスタートさせ、先行配信曲を含め各配信チャートを席 巻。2015年に北米限定でリリースした「THE REGGAE POWER」はグラミー賞ベスト・レゲエ・ア ルバム部門にノミネートされるなどワールドワイドに活躍を見せる。
https://spicychocolate.net/

RELEASE
『一度きりの feat. 寿君, APOLLO & RAY』

配信デジタルシングル
https://umj.lnk.to/sc_ichidoPR

Virgin Music
9月13日 ON SALE