TANAKA ALICE VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

『GIRL』から始まった物語は、デビュー10周年を迎えた今、女神になりました。

TANAKA ALICEが、最新アルバム『東京女神』を2月1日にリリース。これまでにもストリーミングという形でコンスタントに楽曲を配信し続けてきたが、CD盤という形でもドロップしてくれたのが嬉しい。両極に振り切った2本のMV“Country Girl”、“Atlas Beaz”も話題となっている。本作の魅力について、TANAKA ALICEが語ってくれた。

■待望という言葉が相応しい、フルアルバム『東京女神』がリリースになります。今までストリーミングやLP 盤として作品をコンスタントにリリースしてきていましたが、CD盤という形は本当に久しぶりになります。ALI CEさん自身もCD盤という形を強く求めていたのでしょうか? 

ALICE もちろんです。ストリーミングを通して指先一つで音楽が聴けますけど、今でも私はその時の気分に合わせ、聴きたいCDを探しては、CDプレイヤーで聴いています。CDで聴くのっていいですよね。ケ ータイやPC上でサクサクと聴くのとは違って、音楽と向き合って作品を楽しむ意識になれるから、私は好きですね。だから次のアルバムは、絶対にCD盤を作りたいと思っていました。 

■若いのに珍しいですね。 

ALICE 私はVinyl盤でもいくつか作品をリリースしていますが、レコード盤でも音楽をよく聴いています。こちらは盤の上に針を落として音楽を聴いて、聴き終わったらまた針を戻すという一連の作業も加わるので、それを手間と思う方もいらっしゃるかもしれませんけど、私は盤の上に針を置いた時に聴こえる「ジリジリッ」と流れるあのノイズ音で、これから物語が始まるんだと思うと、むしろワクワクするんです。アナログプレイヤーを持っている方は、ぜひそういう聴き方も楽しんでもらいたいです。 

■アルバム『東京女神』自体も、じっくりと腰を据えて作りあげた作品ですよね? 

ALICE アルバムを制作しようという気持ちを持って向き合い始めてから考えると、大体5年くらいになります。その前から制作していましたが、今回のアルバムの要な一曲となった楽曲が、MVでも公開した“Atlas  Beaz”です。この楽曲が最初に完成したのが5年前で。そこから何度もブラッシュアップし続けて、ずっとリリースのタイミングを考えていました。アルバム自体もいつ発売すると明確に決めていたわけではなく、コンスタントに楽曲制作を続けてきた中で、「ここぞ!というタイミングを見計らってリリースしよう」と、プロデューサーのGIORGIOさんと決めていました。 

■“Atlas Beaz”を「ここぞ!」と思った理由も教えてください。 

ALICE “Atlas Beaz”自体は、5年前に出来上がった頃に聴いても、今聴いても色褪せることのない楽曲に仕上がっています。もちろん曲をブラッシュアップしていく中で、その時代のエッセンスも取り入れながら進化もしてきました。「ここぞ!」と思った一番の理由は、自分の音楽に向き合う姿勢が、今なら強く刺さるなということ。私自身の気持ちは、5年前も今もまったくブレることはなくて。ただ、今の時代の方がいろんな人たちの気持ちに強く刺さると思ったし、「こういう意志を求めてくれる人たちも多いのでは?」という考えもありました。 

■“東京女神”、“Country Girl”、“Atlas Beaz”と続く冒頭の3曲には、ALICEさんが表現していく上での揺るがない強い意志を組み込んで、それを自信に満ちた高速ラップや歌を通して伝えていますよね。 

ALICE そうですね。ここに至るまでの日々の中でも、決していい時ばかりではありませんでしたし、つらさを覚えた時期もありました。でも、どんなに迷ったり落ち込んだりしても、いつもGIORGIOさんが「自分の信じた通りに頑張って前へ進もう」と、背中を押し続けてくださいました。強い後押しがあったからこそ、どんなにつらい想いや悔しいことがあっても乗り越えられたし、頑張ってこれたんです。そんな中で、たくさんの曲たちも作りました。何があろうとブレない想いを胸に進んできた中で生まれた、強い意志を持った曲たちなんです。それを冒頭の3曲はもちろん、『東京女神』というアルバムに集約できたと思っています。 

■ここに至るまで、気持ちが落ちる時期もあったんですね。 

ALICE 音楽と向き合う姿勢に変化や成長があったからこそ、そういう時期も経験してきました。私は15歳の時、この世界のことを何も知らず、「歌が好き」、「音楽が大好き」という気持ちだけで飛び込みました。GIORGIOさんは、その時からずっと私のことをサポートしてくださっています。それこそデビュー当初は、ただただ「楽しい」という気持ちだけでこの世界で活動をしていました。だけど次第に「自分は何を表現したいのか……」と思うようになるじゃないですか。その当時から私は、GIORGIOさんに「自分はこういう音楽をやりたい」と伝えていましたし、GIORGIOさんも私の言葉を真摯に受け止めて、私の求める形へと導いてくださっていました。そんな私の想いを、GIORGIOさんは歌詞の中にも落とし込み、次々と歌に詰め込んでくださいました。環境としてはすごく恵まれていましたけど、それでも経験や年齢を重ねて、いろんな人たちの考え方や音楽環境に触れていく中で、厳しさを感じることも、打ちのめされる経験だってしました。「音楽を続けていくってこんなにも大変で厳しいんだ……」と感じることだって何度もありました。だけど、いくら心が落ちてもそれは何の解決にもならない。何があろうと、結局は立ち上がって前に進むしかない。その気持ちに気づいてからは、真っ直ぐ前だけを見据えて、GIORGIOさんと一緒にここまで突き進んできたし、今も共に歩み続けています。私たちは気持ちが動くたびに、その時の想いや意志を曲に落とし込み続けてきました。この5年間の中で生まれた想いを詰め込んだ曲たちを一つ一つ収録したのが今回 のアルバム『東京女神』になります。だから、私にとってすごく思い入れも強く、重いアルバムにもなりました。 

■“Atlas Beaz”の歌詞からは、この5年間の気持ちの変化も見えてきますよね。 

ALICE そこも感じていただけたらすごく嬉しく思います。この曲を最初に作ったのが、私がまだ20歳だった時で。その当時のポップなALICE WORLDを、この曲から感じてもらえると思います。“Atlas Beaz”はMVも制作しました。MVでは、東京を象徴するいろんなスポットを巡りながら、東京という都会の中で自分の芯となる想いを胸に突き進んでいく女性の姿を映し出しています。また、もう1本MVを制作した“Country Girl”では、都会で生きる“Atlas Beaz”の女性とはまったく真逆の女の子が登場します。“Country Girl”に出てくるのは、まだ何色にも染まっていないピュアな田舎娘なんですけど、自分の信じた世界に向かって突き進む意志や姿勢は、“Atlas Beaz”の女性とも共通する想いなんです。両極端な女性を描きながらも、芯となる気持ちの部分では同じで。そこを踏まえて、この2曲の歌詞やMVの世界観を楽しんでいただけると、そこからもいろんなストーリーが浮かんでくると思います。

■2本のMVとも、だいぶこだわりを持って制作されたんですね。 

ALICE “Country Girl”はウェスタン調の楽曲ということから、MVではALICEがマカロニウェスタンの世界に入り込むという形で撮影をしました。MVの中では実際に馬に乗ったり、ウェスタン映画によく出てくるようなビーンズを食べていたり、本当にウェスタン映画の世界に飛び込んだような映像になっているので、都会を舞台にした“Atlas Beaz”とのコントラストをぜひ楽しんでみてください。 

■冒頭3曲でALICEさんの強い意志を示した後、続く和テイストを活かした“ハエタタキ”でガラッと表情が変わりますね。 

ALICE アルバムの中には、毎回和テイストを持った楽曲を収録しているんです。今回その役割を担った のが“ハエタタキ”です。“東京女神”、“Country Girl”、“Atlas Beaz”の3曲で、ブレない芯を持った存在感あふれるALICE WORLDを展開した後、TANAKA ALICEとしてかかせない要素である、和テイストとHIP HOPをかけあわせた楽曲を提示しました。和の要素を持ったバチバチのHIP HOPスタイルも、私の得意 なスタイルなんです。この曲を筆頭に、ここからは「成敗ソング」も登場し始めます。“ハエタタキ”から“My World feat. Ayuse Kozue”、“Still Alice”、“Psycho”までの流れの中には、ALICEの中にある多彩な表情をまとめあげました。その多様性も楽しんでいただけたら嬉しいです。 

■“命运 feat. NERDHEAD”は、もともとALICEさんが歌っていた“運命”が原曲ですよね? 

ALICE オリジナルは私の楽曲なんですけど、NERDHEADがfeat.として入ってくださったことで、GIORGIOさんが楽曲の雰囲気をガラッとアレンジしてくれて、より切なさが増した印象を私は受けました。“Atlas Beaz“もブラッシュアップしながら進化を重ね続けて完成に至った楽曲なんですけど、“命运 feat. NERD HEAD“のように、同じ曲をまったく異なる色に変えて、新しい曲のように聴かせるのもさすがGIORGIOさんと思いますが、そういうところもこのアルバムを通して楽しんでもらえたら嬉しいです。実際にビートが一つ違うだけで、同じ曲でも印象が変わっていくし、そういうことを示せた曲でもあるからこそ、ストリーミン グを通してでも良いので、原曲の“運命”と聴き比べてもらえたらと思います。