The Biscats VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■“夏祭り”は、イントロから掴まれるアルバムの1曲目にぴったりなアレンジになっていますよね。

Misaki 今回は曲順にも結構こだわっているんです。最初は違う曲を1曲目にしようと思っていたんですけど、“夏祭り”を聴いた時に、満場一致で「この曲を1曲目にしよう!」ということになって。やっぱりイントロの掴みがよかったなと思います。

Suke あとは個人的に一番聴いてもらいたい部分があるんですけど、“Oneway Generation”にオマージュが入っているんです。Stray Catsの“Rock This Town”なんですけど、「そのグルーヴをどう出すか」というのが結構難しかったですね。

■原曲のファンが聴いてももちろん、ロカビリーファンが聴いても嬉しいアレンジですね。

Suke ロカビリー好きな人が聴いたら「ニヤリ」としてしまうと思います。(笑)

■アレンジをする際に、原曲とロカビリー感のバランスを意識することもあると思います。その考え方として重要視していることはありますか?

Kenji やっぱり原曲の良さをなくしてはいけないので、その塩梅は常に探しています。単純に「自分たちのロカビリーのリズムにこのメロディーを乗せてもはまらない」といったこともあるので。それをどうすればロカビリーに当てはめられるのかを考えています。

Suke 原曲に寄り沿いすぎても、「ロカビリーっぽくならなくて全然楽しくない」みたいなこともあるんです。なので、そういう時は頭を一度リセットして、ロカビリーにもう少し寄せるためにはどうすればいいのかを考えたりしています。それは難しかったですね。

Misaki 歌い方も、原曲の歌い方も少しは入れつつ、そこに自分っぽさをどのくらい入れられるかというバランスをいつも考えています。例えば、すごく特徴のある歌い方のアーティストさんの曲をカバーする時に、ほんの少しだけその要素を入れると、多分ファンの方たちも喜んでくれると思うんです。でもそれをやりすぎるとただの物真似になってしまうので……そこが難しいなと思いますね。

■ロカビリー調にアレンジした上で歌うとなると、原曲を歌う際と感覚も変わりますか?

Misaki そうですね。ロカビリーになると跳ねるリズムになるので、それが結構難しくて。“異邦人”とかも、浸る感じで歌ってしまうと、どんどん遅れてしまうんです。やっぱりロカビリーはリズムが命なので、そこは本当に大事にしています。

■YouTubeでの動画投稿が3年間続いていますが、最近アレンジや演奏面で心がけていることや、変化させたことはなにかありますか?

Kenji 僕は今までよりさらにロカビリーのノリを意識しています。今まで「自分がこうだろう」と思っていたものについて、段々と「実は違うんじゃないか」という疑問が生まれてくる時もあって。「多分こうであろう」というのを、「いや、絶対にこうだ!」と思えるようにすることを意識するようになってきました。

Misaki 私は歌のレッスンをずっと受けているんですけど、今までは聴く人が聴きやすい歌い方をすることばかり意識していたんです。でも最近は、自分の癖みたいなものをプラスするように心がけています。聴いている人に「これThe BiscatsのMisakiちゃんの歌だよね」と、分かってもらえるようになればいいなと。綺麗に上手に歌うことももちろん大事ですけど、その人の個性を乗せることもすごく大事かなと思うので、最近はそういうことを考えて歌っています。

Suke 自分は演奏に集中してしまうと、すぐに無表情になっちゃうんです。YouTubeの映像を観ていて、それはよろしくないな……と思って。(笑) 集中しているけど笑顔みたいなことができたらライブにも活かせますし、それを頑張ろうかなと思っているところです。(笑)

■10月からはカバーアルバムを引っ提げたツアーが始まりますね。来年の渋谷公会堂という目標に向けた流れとしても、重要なツアーになるかと思いますが、どんなツアーにしていきたいですか?

Misaki おっしゃってくださった通り、渋谷公会堂での公演が成功するかどうかは、今回のツアーにかかっていると思うんです。「ROCKABILLY FESTIVAL」を入れて12箇所回るんですが、そこに来てくれたみなさんが、自分の仲間や知り合いにも伝えたくなるようなライブにできたら、きっとお客さんも増えていくと思うので、来てくれたみなさんがもう一度来たいと思えるツアーにしたいです。

Kenji 今回のツアーが渋谷公会堂でのライブに向けての鍵になるという意味では、今回カバーアルバムのツアーができるというのは、すごくタイミングが良かったなと思っていて。やっぱりロカビリーだけだと客層も絞られてしまうと思いますが、有名な曲をロカビリー調にアレンジしてやるとなると、来てくれる方たちの幅も広がると思いますし。それを武器に渋谷公会堂に向けた流れが作れたらいいなと思います。

Suke 『J-BOP SUMMER』というアルバムを引っ提げて行くんですけど、始まるのが10月なので、もう夏ではないんですよね。(笑) でも僕らが演奏している時だけは、その空間は夏ということで。その空気感も楽しんでいただけるように頑張ります。

■現段階ではツアーが先に控えている状況ではありますが、最後に渋谷公会堂に向けた想いも聞かせてください。

Misaki 渋谷公会堂は2000人以上集めないといけないので、恐怖もあるんですが、絶対に成功させたいです。お客さんのみなさんと一緒にその目標に向かって歩んでいけたらと思っています。あと、私たちは世界にも行きたいと思っていて、コロナも明けましたし、来年くらいからは世界に向けても動き出せたらいいなと思っています。渋谷公会堂は今の目標ですけど、ゴールではないので、その先も世界に向けて発信することも含め、いろいろと動いていきたいです。

Interview & Text:村上麗奈

PROFILE
The Biscatsは2019 年に結成された、モデル、ファッション・プロデューサーとしての顔を持つMisaki(青野美沙稀)、Kenji(Gt)、Suke(W.Ba)の3人組バンド。日本のロカビリーシーンを牽引するレジェンド・久米浩司(ex:BLACKCATS,MAGIC etc.)のDNA を受け継ぐMisaki は、ソロ名義で『1959 ~Magical Rockabilly Night~』(2016年)、『Sweet Devil』(2017年)の2 作品をリリース、“J ロカビリー”シーン待望の女性シンガーとしてキャリアを重ねる。The Biscats ではバンドスタイルとなり、よりアグレッシヴなパフォーマンスを展開。2019年4月、ラスベガスで行われた『VIVA LASVEGAS ROCKABILLY WEEKEND #22』で日本を代表してパフォーマンスを披露。2020年3月25日、新レーベル“ROCK’A BEAT TOKYO”よりミニアルバム『Cat’s Style』をリリース。同年10月14日、若手No.1 プロデューサーのTeddyLoidとタッグを組み、1stE.P『Teddy Boy feat. TeddyLoid』をリリース。2021年10月1日には『Sweet Jukebox』『Do You Wanna Dance?』2曲を同時配信リリース。2022年2月8日(ロカビリーの日)、初の主催イベント『ROCKABILLY FESTIVAL 2022』をclubasiaで開催。同年4月、3年振り2度目の出演となる世界最大のロカビリーイベント『VIVA LASVEGAS ROCKABILLY WEEKEND #25』に日本から唯一の出演。同年5月、2ndシングル『ハジけちゃって! Summertime』をリリース。同年7月、1stアルバム『The Biscats』をリリース。同年11月、3rdシングル『ジレンマ』をリリース。2023年2月8日(ロカビリーの日)、主催イベント『ROCKABILLY FESTIVAL 2023』をduo MUSIC EXCHANGEで開催。同年7月、4thシングル『ノッてけ! Sunday』をリリース。
https://thebiscats.com/

RELEASE
『J-BOP SUMMER』

TME-21010
¥3,000(tax in)

8月23日〜全曲配信中
https://zula.lnk.to/NB7MVZL

ROCK’A BEAT TOKYO
8月30日 ON SALE