ジ・エンプティ VANITYMIIX WEB LIMITED INTERVIEW

ハルモトヒナ(Vo)、トクナガシンノスケ(Gt)、クガケンノスケ(Ba)、カワカミタイキ(Dr)

青春を謳歌する4人が語る学生時代の思い出と「革命」を起こす今。

ジ・エンプティが10月30日に2nd EP『革命e.p.』をリリース。2019年に中学の友達同士で結成し、福岡県久留米市を拠点として活動しているジ・エンプティ。メンバー4人中3人が作詞・作曲するという特徴を持つ彼らの今作は、その名の通り「革命」をテーマにしたものだという。インタビューでは学生時代の思い出から、今作の制作について、また11月からスタートするツアーへの意気込みも語られた。

■ジ・エンプティは中学の友達バンドということですが、バンド結成自体は中学の頃ではないんですよね。中学の頃から仲良かったんですか?

シンノスケ ヒナとタイキ、ケンノスケとシンノスケという形で二人ずつ同じ中学でした。高校はタイキ、ケンノスケ、シンノスケの3人が一緒で、ヒナは隣の高校にいましたね。

ヒナ 僕のとこはいわゆる自称進学校です。(笑)

シンノスケ 高校の専門の関係で、俺ら3人は造園師という国家資格を持っています。

ケンノスケ それさ、ずっと言い続けていきたいよね。俺ら庭作れる資格持っているし、フォークリフトも乗れるし、ユンボみたいなもんも乗れるし、測量とかもできます。

シンノスケ あと、俺に至っては教員免許も持っています。

■絶対にくいっぱぐれない資格ばっかりじゃないですか。いいなぁ。みなさんは昔からのお知り合いということで、今だから言えるやらかし話はありますか?

タイキ 友達と鬼ごっこしている時に、先生の車が停まっているところをぐるぐるしていたんですよ。そうしたら車のサイドミラーに肩が当たってしまって、「バキッ」っていったので、手で戻して知らん顔しました。小学校の頃の話です。(笑)

シンノスケ 俺は中学1年生の頃、上下関係がすごく厳しいバスケ部に所属していたんですけど、友達と一緒に自転車に乗って部活に行く途中、「腕をクロスさせたら自転車って運転できないらしいよ」と言われて、「そんなの余裕でしょ!」と思ってやってみたら、世界が傾き出して……。(笑) そのまま肘を骨折して、1ヶ月ぐらいバスケ部に行けなくて、戻ってきたら俺以外全員ユニフォーム持っていたのを見て、心が砕かれて部活を辞めました。

ケンノスケ シンノスケは渡り廊下で「先生、俺もうバスケ部やめます……!」ってやっていたんですよ。(笑)

■その絵面は青春映画の1ページみたいでちょっと素敵じゃないですか。(笑) いい塩梅のやらかしですね。

ケンノスケ 俺も骨折系で言うなら、中3の頃サッカーをやっていたんですけど、その時、SNSで「二人でちょっとズラしながらボールを蹴ったらすっごい勢いが出る」みたいな動画を見たんですよ。それで、男ってバカだから、そういうのを見たらやりたくなるじゃないですか。

■なりますよね。

ケンノスケ それで、1個下の後輩と一緒にやってみたんですけど、タイミングをちょっとズラさなきゃいけないのに、俺がバカすぎて後輩と同時にボールを蹴っちゃって、そうしたら立てなくなっちゃって。(笑) そのまま病院に行って検査したら、くるぶしのところを骨折していました……。後輩には「お前は何も悪くないけん」と言ったんですけど、「先輩の骨を折っちゃった」とめっちゃ申し訳なさそうにしていました。骨折よりも、後輩が申し訳なさそうにしているのを見て、胸の方が痛かったです。ちょっと泣いとったけん、「マジお前はなんも悪くないよ」って。(笑)

■後輩からしたらそうですよね。「先輩の骨を折っちゃった!」ってなりますもんね。

ヒナ 僕は友達と下駄箱でツバの掛け合いしながら、お互いに走っていたんです。ほら、子供がくしゃみをかけ合うみたいなのってあるじゃないですか。それをされて、相手のツバがめっちゃかかったので、僕もツバをかけ返したんです。それが結構ヒートアップして、追いかけっこになっていったんですけど、僕は1か所めっちゃ滑る廊下を知っていて、相手をそこに誘い込んだんです。でも僕が先にコケて、思いっきりぱっくり怪我をしました。(笑)

ケンノスケ そういえば、中学校の頃に周りで牛乳の早飲みが流行ったんですよ。クラスには早飲みが1番早いヤバいやつがいて、俺はどうにかしてそいつに一泡吹かせようと思っていて。そんな時、俺はコッペパンの中身をくり抜いて皮だけ残しながら食べる癖があったんです。それである日、「この癖を利用してあいつに勝てるんじゃね?」と思いまして。

■あ~、なんとなく察しがつきました。

ケンノスケ パンの中身をくりぬいて、皮を残して、まるまるパンがあるように見せかけて、「おいお前、お前が牛乳飲み切るのと俺がパン食い切るの、どっちが早いか勝負しようぜ!」と提案したんです。それで、早食い競争がスタートしたんですけど、俺は相手が飲み始めたくらいにパンをバーン!と潰して、口の中に詰め込んで。(笑) そうしたら相手は見た事ないくらいの勢いで牛乳を噴き出していました。(笑) 中1か中2くらいの時の話です。

■おバカですね~。(笑) そんなみなさんが高校時代に出会ってバンドを組んだ、と。バンドを始めたきっかけは何だったんですか?

ケンノスケ 高校の時に3人で軽音楽部の体験に行ってみたら、3年生の女の子がめっちゃ可愛かったんです。(笑) そのままバンドをやり始めて、ずっとコピーをやっていたんですけど、「本格的にやろう」となって、曲も作り始めて。それでヴォーカルも入れようという話になり、ヒナが友達だったから「ちょっとお前やってくれ」と頼んで、気がついたら今、ここにいます。(笑)

■いろんなところが省かれていましたが、そのあたりも追々聞いていきたいところですね。(笑) 先日はテレビ東京『超音波』に出演されていましたが、テレビ出演で驚いたことはありましたか?

シンノスケ ファーストサマーウイカさんが先にスタジオ入りして座っていたのですが、意外と普通というか、そこまで「芸能人オーラすげぇ!」みたいにはならんのやなとか思ったんですよ。だけど「初めまして、よろしくお願いします!」と言った瞬間に、ウイカさんの目の色が「ピカーッ!」っとして、オーラが「ブワーッ」となって!(笑) 『ONE PIECE』の覇王色の覇気を食らった感じで、泡を吹いてしまいました。

■芸能人はそういう感じですよね。(笑) さて、ジ・エンプティが謳っている「青春ロック」。この頃よく聞く単語ですが、みなさんの青春ロックの定義はなんですか?

タイキ 俺はサビでシンガロングしたり、ちょっと青いこと……青いことっていうのは抽象的かな。でっかいこととか言うと、若さがちょっと出たりすると思います。シンガロングはデカいな。

シンノスケ 青春ロックは、バンドメンバーが出会った時がいつなのかって気がしてきました。たとえば25歳で結成していたら、それは果たして青春ロックなのかと言われればどうだろう?と思うし。多分、自分たちは学生時代に出会ったからしっくりきているのかもしれないです。学生の時の友達のまんまバンドをやっているから、青春のまんまやっている感じがしますね。

ヒナ 青春らしきものをやっていれば「青春ロック」だと思います。みんなでこぶしを上げたり、シンガロングしたり。激しいフロアも、体育祭じゃないですけど、なんかそういうイメージがありますね。それこそシンガロングも合唱の影響とか、そんなイメージがありますね。

■よくシンガロングの是非に関する論争ってあるじゃないですか。ジ・エンプティはシンガロングをどんどんしてほしいタイプのバンドですか?

ケンノスケ どんどん歌っていいと思います。歌ってほしいです。

■そのことはどんどん伝えていきたいところですね。さて、ニューEP『革命 e.p.』のリード曲“革命”ですが、まずはこの曲を作った動機をお伺いしたいです。

シンノスケ 2年前くらいに弾き語りで作った曲なんです。童話みたいに、子どもたちが主人公的なイメージがあって。やっぱりアニメでも、悪役って大人じゃないですか。だから「大人は敵」みたいな、そういう精神を持って作ったんだと思います。

■曲名にちなんで、ジ・エンプティが起こしたい革命とは、どんな革命ですか?

シンノスケ 全人未到というか、誰もやらなそうな面白いことをやることかな。現実的なところで言ったら「自分たちでフェスを開く」とかなんですけど、例えばクルーズ船を借りて、そこでクルーズライブをやるとかも面白そうです。

ケンノスケ それを聞いて今「パッ」と浮かんだんですけど、小型飛行機みたいなのにひとりずつぶら下げられて、その状態で演奏とかしてみたら面白そうじゃないですか?

■それは革命というか、何かのギネス記録になりそうですね。(笑)

ヒナ なんか、どのジャンルにも属さないというか、ジ・エンプティそのものをもっと確立できればいいかな。そういう意味でも革命を起こしたいです。

タイキ ニルヴァーナのカート・コバーンのファッションがグランジ・ファッションになったみたいな感じで、俺らを真似するスタイルが確立できたらめっちゃカッコいいなと思います。

■みなさんの中で「革命」が起こった瞬間はいつですか?

タイキ やっぱ軽音部に入って楽器に触って、文化祭とかでライブした時かな。「ヤバ!バンド楽しい!」と思ったのが革命でした。入った時は「部活の先輩が可愛いから」という理由だったので、それまでは全然自分がバンドするとも思っていなくて。

■それまではみなさん、同じアーティストに憧れていて……みたいなことは無かったんですか?

ケンノスケ 全然。好みはみんなバラバラでしたね。

■その中で、どうやって違う高校のヒナさんと出会ったのでしょうか?

ケンノスケ もともとタイキと同じ中学だったので、友達の友達というくくりで一緒にカラオケとかに行っていたんですよ。

ヒナ 他のメンバー3人は隣の高校ですごくモテていたらしくて、「〇〇高校三銃士」と呼ばれていたんです。それでどんなものかと見に行ったんですよ。(笑)

シンノスケ 俺は「ギラつくリボルバー」と呼ばれていました。(笑)

ケンノスケ 俺は「濡れたチェーンソー」。

■濡れたチェーンソー!(笑) タイキさんは何かあだ名があったんですか?

タイキ 恥ずかしいな、濡れたチェーンソーがヤバすぎるもん……。(笑)

シンノスケ 「エアガン」とかじゃなかったっけ?

ケンノスケ 「ギラつくリボルバー」に「濡れたチェーンソー」、それに「エアガン」。(笑)

■でも意外と「エアガン」が一番モテたりするんじゃないですか?(笑) 話を戻して、みなさんの中で革命がおこった瞬間を伺いたいです。

ケンノスケ 俺もタイキと一緒で、やっぱりバンドをやり始めた時は「ヤベェ!」となりましたね。みんなで合わせた時とかすげぇウキウキして。そこが人生の革命だったんですかね。今の自分への分岐点としての1個があります。

シンノスケ バンドを始めたこともそうですし、違うことを言うとすれば、俺は曲を作っていて、3ヶ月に1回とか半年に1回くらい、めっちゃいい曲が出るんですよ。その時は「うわ!これ、俺ヤバッ!」となるんですよね。日常の革命ですね。

ヒナ 僕は後入りの身として、この声じゃなかったらバンドをやっていなかったのかな?と考えると、やっぱり生まれたことかな。俺自身が革命です。

■「生まれたことが革命」いいですね。なんだか青春っぽいですね。その次の“笑っておくれよ”は、EPの中で最短の1分半の曲ですが、どうして同じ歌詞を2回繰り返しているんですか?

ヒナ 元々2回目の所には全然違うメロディがついていたんですけど、合わせていくうちに「なんか違うな」というか、「しっくりこない」となりまして。このEP自体、エンプティらしさもありながら、でもいろんなものも取り入れている作品でして、この曲には面白いかなと思ってスカの要素を入れてみたんです。それが際立つように、シンプルに同じことを2回言っているけど、やっていることが違うという所で面白い曲になっていると思います。

■サウンドの遊びを聴いてほしい曲なんですね。ジ・エンプティには短い曲も多いですが、意識して短い曲を作っていますか?

ヒナ この曲に関してはそんなに長さがいらないし、元々作っていた曲もそんなに長いものではなかったんです。ライブのセトリに入れやすいかな?という短さです。たとえば最後、1分半~2分ぐらい余った時に「ポンッ」と演奏できるような曲があると、やっぱり幅が広がるかなと思って、あえてこの尺で作りました。

■ちなみに音源の最初のところは、どんなことを言っているんですか?

ヒナ ケンノスケとシンノスケが漫才をしていて、僕は「カレーに納豆はちょっとどうなんですか?!」と提起をしています。

■タイキさんは何を言っていたんですか?

タイキ それが、覚えていないんですよね……。(笑)

シンノスケ タイキはなんかヤジを飛ばしていました。ちゃんと聞けばわかると思います。なんだっけね、同じことを連呼しよったよね。

タイキ そうそう、それが思い出せない。