TOWA TEI VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

TOWA TEI『SUPER CROOKS (SOUNDTRACK FROM THE NETFLIX SERIES)』

■新曲に関しては、流れる場面なども意識はしていたけど、もともとサントラ盤用に作っていた音楽ではない既存曲たちも多く使われているので、どの場面にどんな風に曲が映えていくのかは、TOWA TEIさん自身も楽しい見どころになっていたんですね。

TOWA TEI そうですね。「スーパー・クルックス」自体がクライムアクション作品であり、主人公たちは泥棒集団なんです。彼ら、殺しはしないという志を持っている。だから作品では銃撃戦のようなバイオレンスシーンも出てくるし、そこにも僕の音楽が使われているんですが、そもそもそういう場面で流れている音楽自体、僕自身は殺しや盗みを働く場面を想定して作ったわけではなかった曲だったので。むしろ僕の場合、子供の寝顔を見ながら曲を作ったり、温泉に入って「気持ちいいな……」と感じた時に曲が生まれたりもしているし、そういう曲たちが作品の物語を通して使われることで、ぜんぜん違った解釈を持って聴こえてくる。その解釈を僕自身も楽しんでいました。

■「スーパー・クルックス」のタッチは、アメコミ風ですが、TOWA TEIさんはアメコミは好きですか?

TOWA TEI 正直な話、最近のアニメはそんなに見ないから、決して詳しいわけではないです。もちろん子供の頃は手塚作品のようなアニメを見ていましたけど、アメコミとはタッチが違いますからね。ただ「ルパン三世」も見ていたので、中身はぜんぜん違いますけど、お互いに泥棒であり、見た目はセクシーな男女という面では、ルパンと不二子ちゃん、ジョニーとケイシーには絵的に重なるものは感じました。

■確かに、そうですね。

TOWA TEI 実は僕が子供の頃、一番最初に憧れた職業は漫画家だったんです。と言っても、幼稚園や小学生の頃の話ですけどね。父親が設計の仕事をやっていたことから、よく使い終わった青焼きの用紙の裏面に漫画を描いて遊んでいました。ただ、いつしか音楽にも興味を惹かれ、「音楽のグラフィックにも関われたら」という気持ちから美大を目指すための受験勉強を始めたわけですが、そうしたら、逆に絵を描くことが嫌いになってしまって。絵を描かなくなって、音楽にどんどんハマり込み、今に至ったわけです。今は自分の作品のジャケットのアートワークすべてに携わっているので、今は両方とも携われている。それも不思議ですよね。(笑)

■先程、音楽がどういう風に使われているかチェックのために作品を見たとおっしゃっていましたよね。「スーパー・クルックス」自体の作品の印象もよければ教えてください。

TOWA TEI 確かにひと通り目は通しましたけど、その時は、あくまでもそれぞれのシーンと音楽の使われ方に視点を置いて見ていました。なので、細かい内容までしっかり把握できていなかったし、まだ絵も完成前だったので。だから、僕もみなさんと同じように放送が始まったら、改めてそれを観るのを楽しみにしています。しかも今回は、数ヶ国語での字幕配信、吹き替えにもなります。でも、作中で流れてくる音楽はすべて同じなので、その上で、違う言語によってどんな風に物語が見えてくるのかも楽しもうかなと思っています。きっと異なる言語で会話を聞くことで、物語自体の印象も変わりそうですからね。

■今年のTOWA TEIさんは、3月にアルバム『LP』をリリースし、今回『SUPER CROOKS (SOUNDTRACK FROM THE NETFLIX SERIES)』をリリースして、さらにレコード盤として『EP』もサントラ盤と同日にリリースされます。今年はかなり精力的に作品制作へと時間を費やしていませんか?

TOWA TEI 実は『LP』も『SUPER CROOKS (SOUNDTRACK FROM THE NETFLIX SERIES)』も、昨年から制作を進めていたんです。本当は他にもいろいろと予定があったので「だいぶきつくなりそうかな……?」と思っていたところ、コロナ禍によってライブなどの実働がすべて中止になってしまい、その分制作に集中できたので、思っていた以上にテンポ良く作品を作ることができました。今も人前に出ての活動が難しいことから、すでに次の新しいアルバムの制作も始めています。『EP』に関しては、『LP』に収録しきれなかった曲たちを詰め込んだ作品でもあるし、今年の作品としてはこれで締めくくります。『LP』と『SUPER CROOKS (SOUNDTRACK FROM THE NETFLIX SERIES)』は、同じ時期に制作していたこともあり、二卵性双生児的な作品にもなっています。それもあって、自分の中では何個目になるかはわかりませんが、一連の作品たちを持ってまた一つのチャプターを終えた気持ちでもあります。ここからまた新たなチャプターへ突入していこうという気持ちでいます。

■まずはアニメの中で、どのようにTOWA TEIさんの音楽と物語がシンクロしていくのか、そこを楽しみにしたいと思います。

TOWA TEI そこは僕も同じ気持ちです。(笑) 今後も劇伴の仕事をやるのかは未知数ですが、今回のように既発曲を使っていただけるのなら喜んでお話は聞きます。それこそ、僕なら絶対にやることのないラブコメの劇伴として、僕の既発曲たちが似合うと判断してくれたのなら、それを使ってもらっても面白いかも知れませんしね。(笑)

Interview & Text:長澤智典

PROFILE
1990年に Deee-Lite のメンバーとして、アルバム『World Clique』で全米デビュー。現在、10枚のソロアルバム、3枚のSweet Robots Against the Machine 名義、METAFIVE のファースト・アルバム等がある。その他に、2013年9月から現在に到るまで、東京・青山にあるINTERSECT BY LEXUS -TOKYOの店内音楽監修。NHKドキュメンタリー番組「草間彌生 わが永遠の魂」の音楽を担当。2018年、YMO結成40周年アルバム「ノイエ・タンツ」企画監修デザインなど。2019年、細野晴臣氏50周年記念ドキュメンタリー映画『NO SMOKING』及び、2021年『SAYONARA AMERICA』のキービジュアルを五木田智央氏と担当。高橋幸宏氏ベストアルバム『GRAND ESPOIR』のアートディレクションも共に担当した。2021年は10枚目の『LP』海外リリースに続き、『EP』で締め括る。
https://www.towatei.com/

RELEASE
『SUPER CROOKS (SOUNDTRACK FROM THE NETFLIX SERIES)』

TOWA TEI『SUPER CROOKS (SOUNDTRACK FROM THE NETFLIX SERIES)』

(CD)
COCB-54340
¥3,300(tax in)

(LP)
COJA-9443
¥4,180(tax in)

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11月27日 ON SALE