vivid undress VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

vivid undress『混在ニューウェーブ』

■その考え、今回の『混在ニューウェーブ』の幾つかの曲にも表れていますよね?

kiila  と思います。今作に於いては、本当に今まで以上にキチンと伝えたいことが明確にあったものが多くて。以前は「いい曲を作ろう!!」くらいの気概で、特に伝えたいことや分かってもらいたい気持ちもあまり入れ込んでこなかったんです。でも、自主でやり始めて以降は、それも変わっていきましたから。いわゆる自分の中にある葛藤やフラストレーションや劣等感を曲にすることも増えてきて。そんな中、今作に関しては、やはり「誰に聴かせたいのか?」等が更に明確になりました。なので、今作の10曲の中には必ず「想う相手」がどの曲にも存在しているんです。それは、「私たちのこれからはこうなっていくという」ことも含ませてあったり。なので、「伝わって欲しい」とのメッセージは沢山散りばめられています。

■分かります。特に今作からは、例えば“ラストスタート”とか“出会えたんだ”“まるで夜”のような曲たちに、その辺りが表れていると私も感じました。と同時に、最近のkiilaさんの立ち位置も、以前の「姫」的な中央や中心から、ジャンヌ・ダルク(15世紀のフランス革命の際に民衆を立ち上がらせ、先導し、市民革命を成し遂げたヒロイン)みたいに、みんなを先導していく立ち位置や意識に移行しているのかな…って。

rio すごくいい表現だし、素晴らしい例えです!まさしくそうなんです。kiilaちゃんに確実に統率力が芽生えたし育ってきていると自分も強く実感していて。まさにその表現は的確だし腑に落ちます。

kiila その辺りの覚悟が決まったとは自分でも自覚しています。もっともっとこのvivid undressという国土をどんどん広げていきたい。そんな想いが強くなってきていますから。その「連れていきたい」や「ついてきて欲しい」、「例え一人で来ている人が居ても、その人に一人を感じさせない」とか。その辺りの意志や決意、覚悟はより強くなっています。

■それは先程の崖っぷちまで追い詰められたからこそ至った境地でもある?

kiila それももちろんありますが、この長い人生の中で、今のバンド人生ってすごく刹那だと思っていて。ものすごく瞬間的な何年 だと自覚しているからこそ、この先何十年と生きる中の、このギュッとしたこのバンド活動時期に、できることを後悔しないようにしていきたいとの想いも強くあって。

rio その辺りの想いが、まさに行動に表れてきているんです。「やりたい事のやり残しのない活動をしよう!!」という気概が自然とできるようになった。やはりやり残して後悔したくはないですから。やりたいことをやったのであれば、それが失敗と映ってもらっても構わないんです。振り返るとそれも決して失敗ではなかったと証明できるし。実際、失敗と呼ばれるものも確実に自分たちには経験値や糧になるので。それこそこの今しかない感じを大切にし、より活動や作品作りに挑むようになりました。

■それは言い換えると新たな目標や責任感が生まれたから?

kiila まさしくそうですね。

rio その辺りはやはり重複しますが、歌詞の内容にも明確に表れていて。本心から歌っているな、これは、と感じた曲が格段に増えました。そこを立たせるためにアレンジしつつも、逆に楽器隊のモチベーションは意外にもあえてこれまでと変わっていなかったり。好きなことを今回もけっこうやらせてもらったし、面白いことが出来たなと自分たちでも自負しています。

■その辺り、私個人としては、「あえて」と捉えました。

kiila より細かいニュアンス的な部分で歌、そして歌詞を中心にしてもらいました。時には衝突もありましたが、かなり多くの箇所で各メンバーには細かく伝えさせてもらって。おかげさまでメリハリや歌の目立つ部分、反面、各楽器の目立つ部分等のメリハリはこれまで以上にこだわっています。

■あとはより共有感が増えた印象もあります。声を合わせたりレスポンスをしたり、一緒にハミングする箇所も多分に現れていたり。

kiila 増えました。やはり楽しんで欲しいですから。というか、ライブで今自分たちに持っていない要素を入れ込みたかったんです。あと、やりつくした曲の代わりになる曲。ライブで演奏している自分たちの姿やお客さんの光景というのはこれまで以上に意識しました。

rio お客さんが声を合わせたり、一緒に歌ったりする部分も含めて、より一緒に寄り添ってもらえる作品になったかなとは自負しています。

kiila あとは、自分で言うのもなんなんですが、けっこう自分たちは器用な面もあって。それが故の振り幅も出せたらなって。「えっ、どこまでやるの?この人たち!」と驚いてもらいたい。やはり、次により期待をしてもらえたり、いつも目が離せないバンドになりたいですから。みんなに“変幻自在さ”を感じてもらい、そのvivid undressが今作を機にそれ以降どのように化けていくのか…その辺りもみなさんに期待してもらいたいんです。

■確かに多彩で様々なタイプの音楽性を入れ込んでいますもんね。

kiila いろいろなことをやってはいますが、全て私たちではあります。そんな自信作。なので、多くの人たちに聴いてもらいたいし、今後のvivid undressにより期待したり、楽しみにしてもらえたりしながら、是非多くの方と一緒にこのvivid undressという国を更に広げていきたいですね。

Interview & Text:池田スカオ和宏

PROFILE
2014年、別々に音楽活動をしていたメンバーが出会い、結成されたロックバンド。通称“ヴィヴィアン”。実力派のメンバーが奏でるテクニカルかつソリッドなサウンドに相反するような大衆性のあるヴォーカルkiilaの歌声、そして90年代J-POPを想起させるど真ん中をつくメロディーを武器に、“J-POP 突然変異型 ROCKクインテット”を称し活動を始める。結成して間もなく、デモ音源がバイヤーの目にとまり、タワーレコード渋谷店限定で1st DEMO『ゼロ』をリリース。店頭にて異例の大展開がなされ、渋谷店のウイークリー総合チャートで6位を記録、完売し大きな話題となる。2017年3月に自主レーベルMONOLITHIC RECORDINGSの立ち上げを発表、全てのバンド運営に関する業務をメンバーで分担し、精力的に活動。2019年12月4日、バンド史上初となる1stアルバム『混在ニューウェーブ』のリリースをもって、待望のメジャーデビュー。
http://vividundress.com/

RELEASE
『混在ニューウェーブ』

vivid undress『混在ニューウェーブ』

TKCA-74820
¥2,400(tax in)

徳間ジャパンコミュニケーションズ
12月4日 ON SALE