vivid undress VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

vivid undress『愛のゲイン』

■とても聴き応えがありました。そして、第三弾の“そばにいて”はピアノバラード調の楽曲ですね。

rio 最初にkiilaちゃんからヴォーカルとドラムだけ送られてきて、コードを付けたのが自分だったんです。仮歌詞を見た時に、変にフックを入れずにメロディに沿ったコードで行こうと思って素直に付けました。

■「愛とはあなただ」と、歌詞も力強いですね。

kiila 愛をテーマにしようと決めた時、最初にできた曲なんですよ。いつもアルバムを作る時に基準になる曲があるんですけど、今回はそれがこの曲でした。恋は一人でもできるけど、愛は誰かがいないとできないから。誰かがいて初めて成立する愛の答えを出したのがこの曲なんです。このアルバムの大黒柱というか、愛の正解を導いている曲ですね。それを経て、いろんな愛の表現を曲に散りばめようと。

■この曲は今の時代性だから生まれてきたのか、あるいはもともとkiilaさんが考えていたことが表出したものなのか?

kiila どっちもだと思います。自分の中にないものを表現することは苦手なので。コロナ禍で自分も寂しい思いをしたから、そこで出てきた言葉が「そばにいて」だったんです。それは前作の歌詞にもあったけど、誰に何を伝えたいのかを考えた時に、「そばにいて欲しい」という気持ちだったんです。それは物理的にそばにいて欲しいだけじゃなく、心の距離もそうだし、近くにいて欲しいなと。それは時代背景もあると思います。

■“そばにいて”もそうですが、どれも距離の近い楽曲ばかりだなと感じました。

kiila 割りと焦点を絞って書いているところはありますね。かなり自然体で書いたからだと思います。今まで追い込まれスタイルだったけど、今回は時間にも余裕があったし、バンドのいちヴォーカルというより、いち個人として表現できる環境にあったから。ナチュラルに私として歌詞をかけた作品ですね。

■じっくりと自分の内面を掘り下げて書くことができた?

kiila そうですね。いつもバンドのヴォーカルという潜在意識があったけど、メンバーとも会う時間もなかなかなかったし、本来の自分に戻った上で歌詞が書けたんじゃないかと思います。誰に何を思われても、私は私だというスタイルで書けましたから。

■なるほど。今作のリード曲であり、MVにもなった“オリジナルカラー”は特にカラフルな1曲ですね。

kiila デモの段階で「これは絶対にリード曲だ!」と思ったんです。華やかで鮮やかな曲だなという印象を受けたので。曲が好きだったので、歌詞を書く熱量も高かったんです。「君だけのカラーで生きていけばいい」という歌詞通り、ありのままの自分で書きました。

■コロナ禍で自分の生き方を模索している人も多いと思うので、この歌詞も刺さると思います。

kiila 今の世の中は便利だし何でもあるからこそ、周りを気にせずに好きに生きていけばいいんじゃないかと。

yu-ya デモを作った時に、いつもと違うテイストを出せたなと思いました。ギターのリフは本当はなかったけど、kiilaちゃんに「印象的なリフを付けてみたら?」と言われて、リフを付けたらより好きになりましたね。rioさんのシンセも入って色鮮やかになったなと。みんなのいい部分が濃縮できた曲ですね。

rio この曲は本当に好き勝手にやらせてもらいました。今まで使ったことがないシーケンスを入れましたから。歌詞も筋道が通っているし、MVも公開されましたけど、コンテンポラリーダンスというか、自由に踊っている感じも曲の趣旨に沿っていますからね。

■「Yeah! Yeah! Yeah!」のイントロもお城感があるという。この曲もディズニー感が出ているなと。

rio お城感!あると思う!

kiila バンドから離れて改めて音楽と向き合った時に、私がもともと好きだった音楽を思い出したんです。「自分が根本的に好きな音楽は何だろう?」と思ったら、ダンスミュージック、R&B、ヒップホップがあったから、ノレて楽しめる音楽を作りたいなと。Kポップも好きなので、アイドルグループが踊っていそうな曲というイメージもありました。

■kiilaさんの歌唱スタイルもラップやスキャットと多彩で、いい意味でバンドの枠組みから飛び出した自由度を感じます。

kiila ただアレンジはみんなすごい苦労していましたね。(笑)

yu-ya コテコテになりすぎると面白味がないので、違うアプローチをやってみようと。

kiila みんなのイメージはちょっとジャジーな感じだったんです。私的にはダンスミュージック寄りの、何なら打ち込みっぽいニュアンスを伝えて、それを汲み取ってもらいました。

■今作のラストは“後悔”で締め括ります。曲名だけを見るとネガティヴな印象を受けますが、聴き手にとって「転ばぬ先の杖」的な意味を孕んだポジティヴな歌詞ですね。

kiila 人間って忘れるじゃないですか。辛いことも美化して、悲しみを忘れていくというか。二度と戦争が起きないように、お爺ちゃんお婆ちゃんが戦争の話をしてくれるわけで、そういうことは大事だなと。後悔することは悪いことではなく、前に進むためにも必要ですからね。

Interview & Text:荒金良介

PROFILE
2014年、別々に音楽活動をしていたメンバーが出会い、結成されたロックバンド、通称“ヴィヴィアン”。実力派のメンバーが奏でるテクニカルかつソリッドなサウンドに相反するような大衆性のあるヴォーカルkiilaの歌声、そして90年代J-POPを想起させるど真ん中をつくメロディーを武器に、“J-POP 突然変異型 ROCKクインテット”を称し活動を始める。結成して間もなく、デモ音源がバイヤーの目にとまり、タワーレコード渋谷店限定で1st DEMO『ゼロ』をリリース。店頭にて異例の大展開がなされ、渋谷店のウイークリー総合チャートで6位を記録、完売し大きな話題となる。ミニアルバム『ENDLESS』『赤裸々』のリリースに伴い、代官山UNITにて開催されたツアーファイナルワンマンは2年連続SOLD OUT。2019年12月4日、バンド史上初となる1stフルアルバム『混在ニューウェーブ』のリリースをもって待望のメジャーデビュー。vivid undressの新たな快進撃が始まる。
http://vividundress.com/

RELEASE
『愛のゲイン』

vivid undress『愛のゲイン』

TKCA-74946
¥1,800(tax in)

徳間ジャパンコミュニケーションズ
6月23日 ON SALE