Wienners VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

Wienners『TREASURE』

■シリアスなメッセージを真正面から伝えるわけじゃないけど、その気持ちが内側にあれば、パフォーマンスにもグッと力が入りますよね

玉屋 そうなんですよ。その気持ちがあれば何かが伝わると思うから。音源にもそういう空気が入ると思うし、今作はそれが如実に出たなと感じます。アサミサエも言っていましたけど、1曲1曲楽しみながら取り組んだ空気感もめちゃくちゃ入っているなと。

アサミサエ “SOLAR KIDS”は自分の中にあるチャラさを全部出しました。(笑) 歌い方も癖を出して、印象付けるように意識したんです。とにかく開放的な感情で取り組もうと思って。

■“SOLAR KIDS”もそうですが、“MONSTER”、“BIG BANG”とか、壮大な世界観を描いた歌詞も多いですよね?

玉屋 僕はそういうファンタジーが好きで、今までだと「行き過ぎだよね?」となっていたかもしれないけど、それを全員で楽しめたんですよ。時空を超えた感じも「訳わからないことを言ってる」で終わらないというか、ユーモアに包んで曲にできましたから。

■紙資料に「「陽」のエネルギーとバイブスを放ち」と今作を解説した一文がありますけど、その方向に向かう上でキーになった曲は?

玉屋 “GOD SAVE THE MUSIC”がすごく大きかったですね。コロナ禍の中で作って、この曲は吉祥寺WARPの支援コンピ(『SAVE THE WARP』)に入れたもので、これも1週間くらいでリモートで作ったんですよね。コンピに入れた曲は宅録で録ったんですけど、何も考えずに作ったからこそ、それぞれの手癖だったり、素直な部分が出ていたから。しばらくして聴いてみたら「この曲はWiennersを象徴しているよね」って。みんなの良さがこの曲には詰まっていたし、全員の武器を出せる曲作りを意識するようになったんです。

アサミサエ うん。“GOD SAVE THE MUSIC”はWiennersの名刺になる1曲だと思います。喜怒哀楽が詰め込まれていて、展開もジェットコースターだし、ちゃんとノレるけど、置いてけぼりにするイジわるな要素もあるから。(笑)

■はははは。(笑) あと、今作はWiennersの根っこにあるパンク感も爆発していますよね。ライブ感もめちゃくちゃ入っているなと。

玉屋 好き勝手にやるとこうなっちゃうんですよね。(笑)

■BPMは確実に上がっていますよね?

玉屋 そうなんですよ!BPM170〜200の間ぐらいの曲ばかりで、ミドルテンポでも160ですからね。

■“BIG BANG”はサエさんがラップを披露していて、今作の中では毛色の違う曲調ですよね。

玉屋 トラップまではいかないけど、音数が少ない曲をバンドサウンドでやってみようと思って。アサミサエがラップすることで、人懐こいキャッチーさや、いい意味で本気じゃない肩の力が抜けた感じも出せるから。

アサミサエ ラップは難しかったですね。ラップだけど、ポエトリーに近い要素もあるから。「宇宙を統括する少女」みたいなイメージで取り組みました。

■“HORO NOVA AZIO”は、“SOLAR KIDS”同様にトロピカルな雰囲気もあります。歌詞はエスペラント語も使っていますよね?

玉屋 そうなんですよ。僕はワールドミュージックも好きで、この曲は特定の国をリファレンスしたわけでもなくて、いろんなものが混ざっているんです。楽器もアジア、アフリカもあれば、メロディの譜割りはタイ、アジアっぽい感じで、ウワモノはインドのシタールを使ったりしていて。無国籍感を出すためにはワードも大事で、エスペラント語はまだみんな知らないけど、これからたくさんエスペラント語の曲が出てくると思うんですよ。今、地球の共通言語を作ろうという気運もあるから、先に僕らがやっておこうかなと。歌詞の内容的にも世界共通ということを歌っていますからね。

アサミサエ 戦争やコロナだったり、世の中の状況に対して責めるわけでもなく、宥めるでもなく、優しく包み込むような感じが気に入っています。それをワールドミュージックで表現しているところが好きですね。

■そして“LIFE IS MY LANGUAGE”は既にライブでも披露している楽曲ですけど、その中に「「生きている」という素晴らしい表現で伝えるんだ」という歌詞があります。今作はまさにそんな作品だなと感じました。

玉屋 生きているって、エネルギーを放出する喜怒哀楽を出すことだと思うんですよ。コロナ禍ですごく考えたことなんですけど、生きていても心が感動しなかったり、嬉しかったり悲しかったりしなかったら、それは生きていることなのかな?って。その意味で今作はめちゃくちゃ生きている作品ですね。めちゃくちゃメッセージ性の強い作品ではないけど、生きるという本当の意味を考えると、こういうものが必要だと思うんです。食べ物や住むところはもちろん必要だけど、それとは別で、生きるためにはエネルギーのこもった娯楽が必要なんです。ライブハウスやディズニーランドも生きるためには絶対に必要なんですよ。コロナ禍になり、失って気づいたこともありましたからね。僕は普段、ずっと一人でいたい方だけど、「飲みに行っちゃダメ」と言われると、友達と飲みに行きたくて仕方なかったし。

■その気持ちはすごくわかります。(笑)

玉屋 周りにも娯楽を奪われて食らった人がいましたからね。このアルバムはこういう世の中だからこそ、必要な作品だと思いますね。

■今作のレコ発ツアーが7月から始まりますね。対バンもライブ猛者ばかりで、バンドの気合いがひしひしと伝わってきます。どんなツアーにしようと思っていますか?

玉屋 勝負のツアーだと思っているし、いい風が吹いているからそれに乗りたい気持ちも強くて。強い対バン相手が揃ったので、このツアーがさらなる起爆剤になり、「Wiennersやばいよ!」って、噂になるようなツアーにしたいです。

アサミサエ すごくいいアルバムができたので、必然的にいいツアーになると思っています。ライブハウスは年齢も肩書きも関係なく、「音楽が好きだ!」という理由で集まれる場所だから。みんな自分を忘れて、喜怒哀楽の先じゃないけど、思いっ切りブチ上がって欲しいなと思います。感情が振り切れた瞬間が一番気持ちいいんですよ。Wiennersのライブならそれを味わえると思うし、そこまで連れて行きたいです。

Interview & Text:荒金良介

PROFILE
2008 年、吉祥寺弁天通りにて結成。予測不可能な展開、奇想天外かつキャッチーなメロディーに人懐っこい男女ツインボーカル絡み合う、類を見ない独自の音楽で、子供から大人まで聴くもの全ての喜・怒・哀・楽を電撃的にロックする銀河系パンクバンド。2020年 5月に2年ぶりとなるニューアルバム『BURST POP ISLAND』をリリースし、日本コロムビアよりメジャー進出。2021年10月に「FACITON」(フジテレビ系 TV アニメ「デジモンゴーストゲーム」オープニング主題歌)を配信リリースし、東名阪ツアー「Welcome to the FACTION」を敢行。2022年3月に対バンツアー「BATTLE AND UNITY TOUR 2022」を敢行。6月8日に「SHINOBI TOP SECRET」(テレビ東京系6局ネットテレビアニメ「ニンジャラ」EDテーマ)を配信リリース。7月20日に約2年ぶりとなるフルアルバム『TREASURE』を発売、7月26日より全国20箇所の2マンツアー『TREASURE TOUR 2022』を開催する。
https://wienners.net/

RELEASE
『TREASURE』

数量限定盤(CD)
[TREASURE BOX 仕様]
COCP-41824
¥4,400(tax in)

通常版(CD)
COCP-41825
¥2,750(tax in)

コロムビア / No Big Deal Records
7月20日ON SALE