Who-ya Extended VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

Who-ya Extended『WⅡ』

まだ誰もやったことがないエンタメをやりたいんです。

TVアニメ『呪術廻戦』オープンニング曲“VIVID VICE”がオリコンデイリーデジタルランキングで初登場1位を獲得するなど、一躍脚光を浴びているWho-ya Extendedが2ndアルバム『W Ⅱ』(ダブリューツー)をドロップ!2000年に登場したニューメタルの革命者、リンキン・パークに影響を受けた生音+デジタルサウンドを掲げた音楽性は、今作でより一層成長を遂げている。前作以降、有観客ライヴや「THE FIRST TAKE」出演と経験を積んできたWho-ya(Vo)を中心としたクリエイターズユニット、Who-ya Extended。デジタルサウンドに止まらず、生身の人間臭さも兼ね備えた今作の魅力ついて、Who-ya本人に話を聞いた。

■Who-ya ExtendedはWho-yaさんを中心としたクリエイターズユニットという形式ですよね。ただ、Who-yaさん自身は中学、高校でバンドをやられていた経験があるそうですが、現ユニットでバンド形態を取らなかった理由は?

Who-ya 明確な理由があるとすれば、バンドは楽器陣の中で楽曲のイメージを共有して、ギターを弾く人がギターのフレーズを決めると思うんです。曲が生まれる過程は似ている部分があると思うんですけど、バンドはフレーズを考えた人が実際に楽器を弾くわけじゃないですか。でもその必要性があるのかなと思って。クリエイターズユニットという形を取れば、ギターのフレーズを考えた人が必ずしもギターを弾かなくてもいいんじゃないかと思うし、その方が柔軟に曲を作れると思ったんです。いろんな人の知見を集められるという意味もあり、クリエイターズユットという形を取っています。

■今はバンドに対する憧れの気持ちというのは?

Who-ya バンドは今も大好きで、それこそ中学3年の時に初めてバンドをやって、そこで初めて人前で歌ったことが大きなきっかけですから。そこで今まで聴いてきた音楽を自分たちでやっても面白いんじゃないかという発想に切り替わったんです。バンドを観て、心を動かされることもありますからね。

■ギターのフレーズを考えた人が、必ずしもギターを弾かなくてもいいという発想はどこから来ているんですか?

Who-ya 小さい頃から両親の影響でミクスチャーのバンドを聴くことが多くて、見かけはバンドだけど、サウンドはバンドだけじゃない。「これ何の音?」みたいなものを聴いて育ったので、自分がやる側に立った時に、「もっと柔軟にやるにはどうすればいいのか?」と考えたんです。明確に「これだ!」というものがあったわけじゃないんですけど。

■音楽を聴いて、バンド以外の音が気になってしまう?

Who-ya そうですね。好奇心もあるし、それは小さい頃に聴いた音楽に影響されているのかなと思います。自分が民謡を聴いて育っていたら、そういう音に意識が向いていたと思うし、僕の場合はたまたまそれがミクスチャーだったという。

■バンドで言うと、どのへんを聴いてきたんですか?

Who-ya リンキン・パークですね。母親がすごく好きなんです。今でもその世代の音楽は好きみたいです。ミューズとかも。どちらかと言えば日本よりも、海外の重めのバンドが好きですね。

■イケてるお母さんですね。(笑)

Who-ya 母親は自分よりロックかもしれないですね。ロック魂は負けているかもしれない。(笑)

■Who-yaさんが生まれる前の90年代中盤にコーンが登場して、それにリンプ・ビズキットが続いて、ニューメタルバンドが流行り、2000年にリンキン・パークが『HYBRID THEORY』でデビューした時、女性ファンが一気に増えたんですよ。だから、お母さんがハマッたのはよくわかります。Who-yaさんは特にどのへんに惹かれた感じですか?

Who-ya 好きになった理由は、ただ家でよく流れていたからというのも大きいんですけど、『HYBRID THEORY』は何百回と聴いたし、今でも聴くんです。今は自分も発信する側になって、「なぜリンキン・パークが好きなのかな?」と考えると、チェスター・ベニントンのちょっと切なく感じる歌だと思うんです。それは彼が亡くなったから余計にそう思うのかもしれないけど、何かを抱えながら歌っていたのかなと思って。そう考えると、みんな何かを抱えながら生きているし……失恋して悲しい人とか、ただ楽しいから生きているというだけじゃない人にとって、リンキン・パークは救済のような存在だったのかなと思えるんです。

■Who-ya Extendedとリンキン・パークの音楽性もどこか通じる部分を感じます。歌声や楽曲から哀愁が漂っているので。

Who-ya 意識的ではないので、歌って難しいなと思いますね。曲によっては何かを願ったり、何かを祈ったりとか、そういうテーマのものがあり、レコーディングではその思いが聴いている人たちに伝わればいいなと思って歌っていますから。アガるような曲を歌っていても「ただ楽しいだけじゃないよね」と言われることもあるけど、その意見を僕はポジティブに捉えているんです。それは聴いてきた音楽とリンクしているのかなと。

■最近はどんな音楽を聴いていますか?

Who-ya 今はニルヴァーナ、レッチリを聴き漁っています。最近はサブスクで似た系統の音楽が出てくるので、「あっ、このバンド聴いたことがない!」と思うものを休みの日に聴いていますね。今年に入って、マネスキンもよく聴いています。

■イタリアのバンドですね。彼らもすごくカッコいいですよね!

Who-ya ライブ映像を観た時に「なんだこいつらは!?」って。上手いバンドはたくさんいるけど、あの気持ち悪さというか、音楽が持っているダークさを、僕と年齢もそんなに変わらないのに、20代で既にライブから滲み出ているところが凄いなと思います。

■「気持ち悪い」という表現は新鮮です。(笑)

Who-ya 「気持ち悪い」ってマイナスな意味じゃないんですよ。音楽で「変態」って、めちゃ褒め言葉だと思っているんです。マネスキンのパフォーマンスは変態的にカッコいいんですよ!若さを売りにしているわけではなく、バンドとして確立されているものがあるから。10年後にどんなバンドになっているのかわからないし、そういうところにも惹かれます。

■では、今作の話に移りたいんですが、2枚目のフルアルバムという部分で前作と気持ち的に違う部分はありましたか?

Who-ya 前作から約1年半が経ち、この期間に自分も大きく変わったし、世界の形も変わったじゃないですか。ただでさえ20代は悩みが多い時期なのに、「勘弁してくれよ……」ってぐらい世界が変わっちゃったから。その中でもアニメの主題歌をやったり、ライブをやれたりとか、それもどこかで音楽を聴いてくれて、支えてくれる人がいたからこそ、今も活動を続けられていますから。Who-ya Extendedは、見ている景色が変わり続けるユニットだと思っているので、今の立ち位置から何を見ているのか、それが12曲を通じて伝わればいいなと。

■音楽に対する向き合い方にも変化は出てきましたか?

Who-ya もともとあった思いが強くなった部分もあるし、制作が始まるか、始まらないかの頃に、初めて有観客のライブをやったんです。目の前に初めて聴いてくれる人がいて、お客さんからしたら、ほんとにいたんだ?みたいな。僕からしても、本当にいたんだ?って(笑)。ライブという空間を経験したときに、音楽を求めてくれる人がリアルにいるんだなと気付いたんです。音楽を聴いて、誰かの背中を押したり、誰かを孤独から救えたりとか、その思いは強くなったと思います。

■その気持ちが強くなったことで、自分のアプローチにどんな変化が出てきたと思いますか?

Who-ya サウンド的なことで言えば、1stアルバムの頃は「デジタルサウンドを詰め込みました」というものが多かったけど、今回は有観客ライブや「THE FIRST TAKE」を経験して、歌をダイレクトに届ける場が増えたので、それを踏まえて作りました。だから、歌っている人や演奏している人が曲を通じて見えやすくなったと思います。やっぱり1stアルバムを出した頃は、キービジュアルで活動していて、どこか俯瞰した状態でやっているような感覚でしたから。この1年半はコロナ禍もあり、世界中の人が似た方向を見て悩んでいたし、それはなかなかない状況じゃないですか。「その中で作れるものはなんだろう?」と考えて、このアルバムができた感じですね。