『山本彩 LIVE TOUR 2020 ~ α ~ツアーファイナル』配信ライブレポート 8月28日(金)

『山本彩 LIVE TOUR 2020 ~ α ~ツアーファイナル』配信ライブレポート

山本彩、止まっていたツアーのファイナル公演を配信ライブで締め括る!!
そこに生まれたのは、仲間たちとの切れない熱い絆

3rdアルバム『α』を手に、2月22日よりスタートした山本彩の全国ツアー『山本彩 LIVE TOUR 2020~α~』。ご存じのようコロナ禍により、2月26日以降の同ツアーはすべて中止になった。4月末まで全国各地でファンたちと想いを交わしあうはずが、それが出来ない環境へ陥ってしまった。山本彩自身、今回のツアーをどうしても見せたかった強い想いを胸に抱いていた。その悔しさを残したままにしたくなかったことや、コンサートを楽しみにしていた全国各地の仲間たち。そして、ライブに触れたいと願う大勢の人たちに向け、彼女は8月28日(金)にオンラインライブ配信という形を通し、ツアーのファイナル公演を届けることを決意した。この日のライブでは、あらかじめファンたちから「声援や拍手」など、ライブを盛り上げる音や声、さらに「楽曲の掛け合い」を募集。それを当日の公演に反映する形も取っていた。たとえどんな環境であろうと、仲間たちと一緒に盛り上がろうという姿勢が山本彩らしい。さらにこの日の公演で、10月28日(水)に発売する4thシングルの表題曲を発表することも事前に告知。それがどんな楽曲なのかにも、たくさんの人たちが期待を寄せていた。開演前からコメント欄には、始まりを楽しみにしている人たちの書き込みが止まることなく流れていた。「わくわく」「めっちゃ楽しみー」「もうすぐ始まるぞ」など、たくさんの人たちがカウントダウンをしながら期待に胸を膨らませているのが、コメントの数々からも伝わってきた。場内が暗くなると同時に響いた観客たちの歓声。壮麗なSEに乗せ、巨大なスクリーンの上をいくつもの白い光が動き回る。期待に胸が踊りだす。そして…。

画面が切り替わると同時に目の前に姿を現したのが、山本彩。彼女は1stシングルの“イチリンソウ”をステージ2階に設置した舞台の上で、言葉のひと言ひと言を噛みしめるように歌いだす。これから咲き誇ろうとする想いをしたためた曲を最初に持ってきたことで、山本彩自身が、ここから新しい始まりを告げようとしていた気持ちが伝わってきた。ドラムが躍動したビートを叩き、そこへギターの音が重なりだす。ステージ前には、アコギを手にした山本彩の姿が。彼女はキリッとした強い眼差しをカメラの先の人たちへ向け、“棘”を凛々しく歌いだす。ここで歌うことの意味や、自分のあるべき居場所を宣示すように。何より、みずから抱いた意志を触れた人たちの心へ刻むよう、山本彩は強い表情で歌い、アコギを掻き鳴らし続けていた。山本彩のアコギのストロークを合図に、さらに感情のボリュームを上げながら”喝采”へ。沸き立つ気持ちを力強い声に乗せ、画面の先の人たちをけしかけるように彼女は歌をぶつけてゆく。とてもクールな姿だ。誰にも媚びることなく、むしろ不器用な自身の生きざまを大勢の人たちへ知らしめるよう、ときに感情的な声を上げながら、ときに雄々しさも交え、山本彩は凛々しく歌っていた。力強くアコギを掻き鳴らす音もしっかりと耳に、胸の奥に伝わってきた。

「やっときました『α』ツアー」の言葉を、喜びの表情で伝える山本彩。「元気な人はもっと元気に。元気の足りない方はちょっとでも元気になってもらえる公演を一生懸命にやりたいと思います」の言葉が嬉しいじゃない。荘厳なヴァイオリンの調べが流れだす。重々しい雰囲気を塗り替えるように、楽曲が妖しく跳ねだした。飛びだしたのが、アルバム『α』の冒頭を飾った“unreachable”だ。妖しく艶めいた表情も交え、山本彩は心の内側に渦巻く混沌とした感情を、叶わぬ恋(想い)に胸を焦がす様に変えて歌いだす。とても艶やかな歌声と表情だ。妖しくジャジーな演奏の上で、みずからを悲劇のヒロインと化し、渦巻く心模様を熱情に変えて彼女はぶつけてゆく。その姿が、とても官能的で愛おしい。切々としたピアノとヴァンオリンの音色に導かれ流れたのが“雪恋”。山本彩はふたたびアコギを手に、歌の情景の中へ自分の姿を溶け込ませてゆく。客席には、雪の変わりに無数の白いライトが輝いていた。その景色を見ながら、彼女は壊れそうな気持ちのまま、その中へ確かな強さ(想い)を込め、みずから前を向こうと歌っていた。悲しみを乗り越えた先に何が広がるのか…。歩きださないことには、それさえもわからない。そんな心模様も、彼女の歌声を通して感じていた。切ない恋心を記した中へ、みずからの心の葛藤も重ね合わせた歌を山本彩は立て続けに披露。その痛みを塗り替えるように届けたのが、次の曲。ドラムのカウントを合図に、楽曲は心地好く跳ねだした。寒い冬の季節のような悲しさを乗り越え、温かい春の木漏れ日へ気持ちを寄り添えるように、山本彩は“君とフィルムカメラ”を心地好く歌いだした。喜びに包まれた気持ちを噛みしめるように、彼女は優しい笑みを浮かべ、幸せをたくさん掻き集めるように歌っていた。身体も自然と弾みだす。心地好い歌に触れながら、彼女と一緒に素敵な未来へ想いを馳せ続けていたかった。

カチカチと流れる時計の音。時の流れの中を泳ぐように、舞台は彩りを変えてゆく。ボーイッシュな姿に着替えた山本彩が、流れだした“Homeward”に誘われるように姿を現した。澄み渡る演奏の上で、山本彩は昂る感情をグッと抑え、言葉を…想いを紡ぐように届けてきた。心地好く身体を揺らし歌う姿も印象的だ。続く“feel the night”では艶めいたダンスを踊りながら、真夜中に羽ばたく蝶のような姿を見せてゆく。ラップや語り口調の歌声を軸に、心地好くステップを踏み、身体にメロウなグルーヴを感じながら歌う彼女。後半には、椅子に座り歌う場面も。美しくしなる動きから目を離したくない。妖しく魅せるそのステージングも、とても魅惑的だ。演奏は、リズムを際立たせながら“stay free”へ。ふたたび2階ステージに上がった山本彩は、電子スクリーンに映し出された白い影のダンサー (もう一人の自分)と絡み合うようにダンスを繰り広げていた。山本彩はリズムに身を任せ、語るように歌う。ときおりラップを交え、何にも染まらない自由な存在となり、心を解き放つようにソウルフルでフィーリングッドなステージングを描き出してゆく。かつて山本彩が魅力としていたダンスパフォーマンスを活かしたブロックを用意したことで、興奮を隠せなかったファンたちも多かったようだ。それだけ、彼女にダンスパフォーマンスを求めたい人たちも大勢いるということだ。演奏陣が奏でる雄々しく躍動的なインスト演奏を挟み、三度(みたび)着替えを終えた山本彩が舞台に姿を現した。「本当の自分でないことが 上手く行くこともある 生きてると」と、暗闇の中に山本彩の歌声が響きだした。ライブの中盤は、“サードマン”をアカペラで歌う姿から始まった。彼女の歌声へ優しく寄り添うように流れる鍵盤の音色。自身の心模様を晒すように歌う彼女の声へ、いくつもの楽器の音色が寄り添いだす。山本彩は、曖昧で相反する心模様について、それぞれが正解なんだと自分へ言い聞かせるように歌っていた。その声は、観ていた一人一人の心へ寄り添うようにも感じていた。一瞬のブレイク後、「きっと そうきっと 変わりたい時に変われる時がくるよ」と歌う山本彩。みずからへ言い聞かせるように歌う声を聴きながら、何時しか彼女に優しく心の背中を押された気持ちになっていた。そう、君は君のままでいいんだよと。

「みなさんと同じ空間でライブが出来ない寂しさはあるんですけど、みなさんがたくさんの声を送ってくれたので、みなさんがいるような気持ちでライブを行えています」。彼女のMCに合わせ拍手が起きるなど、その場でライブをしながら楽しんでいる空間を極力作りだしてゆく制作陣。MCで山本彩は、「お仕事中の人はばれないように楽しんでください」など、さりげない心遣いも見せていた。他にもMCでは、6ドアの冷蔵庫を購入した話など、たわいもない日常のことをバンドメンバーたちと話していた。むしろ、そこが何時ものライブらしくて嬉しかった。ライブは後半戦へ。背景に輝く光を背負い、山本彩は3rdシングルの“追憶の光”を歌いだした。彼女は未練抱いた愛しい人の姿を瞼の奥へ思い描くように、アコギを掻き鳴らしながらも優しく歌っていた。揺れ動く気持ちをあえて抑え、本気で恋しあっていた頃を思い返しながら、山本彩は思い出を振り返るように歌っていた。最後のシルエット姿も、とても印象深く瞳に映っていた。ゆっくりと流れだした、胸を心地好く踊らせるビートを感じながら、山本彩は椅子に座り“月影”をゆったりと歌いだす。彼女は心が満ち欠けてゆく情景を、ライブに触れた人たちの心にも映し出すように、抑揚をつけながらも穏やかに歌っていた。想いを馳せる歌声と彼女の姿に、観ている側も同じように想いを馳せていた。荘厳で麗美な音色が流れだす。とても重厚な、神々しさも感じる演奏だ。その音をつんざくように激しいギター演奏が飛びだした。山本彩もエレキギターを手に音を重ね合わせ、熱狂を誘い込むように“TRUE BLUE”を歌いだした。一気に駆け出す演奏。激しい音が渦巻く中、山本彩は歌声へ緩急巧みに表情をつけながら歌を届けてきた。ブリッジでは激しくギターを掻き鳴らす場面も組み込みながら、感情のスイッチを激にシフト。山本彩自身の歌声にもどんどん熱が籠もってゆく。止まることなく演奏は続く。「画面の先のみなさんも、一緒に声を出してください」と、山本彩が「HAPPY HAPPY PARTY BOY/HAPPY HAPPY PARTY GIRL」など、画面の先の人たちと掛け合いを求めだした。たとえ目の前に人はいなくとも、気持ちのモードをPARTY MODE/ROCK’N’ROLLに調整すれば、何も怖くない。むしろ、彼女の目には、歌声に煽られ楽しくはしゃぐ大勢の人たちの姿が見えていた。山本彩も画面に向けピースサインをしながらと、この瞬間を全力の笑顔で楽しもうと“Weeeekend☆”を歌いながら誘いをかけてゆく。きっと画面の先には、ニヤけた表情で身体を揺らしていた人たちが大勢いた…に違いない。終盤には、テンポチェンジを行ないゆったりとした表情も魅せれば、「1.2.1234」の合図でふたたびテンポアップ。この楽しさがたまらない。さぁ、もっともっとテンションをアゲていこうじゃないっ!!メンバーたちとのホンキートンク&ブルースなセッションが飛びだした。いつしか山本彩自身がコンダクターになり、プレイヤーたちを導きながら、ファンキーでパーティなロックロールセッションを作り上げていた。気持ちを最高潮に高めたところで、演奏はシンガロングしたくなるご機嫌でノリノリなビートロックチューン“Let’s go crazy”へ。まさに「最高のパーティタイム」だ。歌詞のようにはめを外し踊りたい気持ちが身体中を包み込み、ウズウズが止まらない。こんなにも胸騒がせるのに、一緒にパーティへ参加できないのがすごくもどかしかった。むしろ、この鬱憤を何時か山本彩と一緒に目の前で解消したい。そのときまでは、心の中だけCRAZYになりながら“Let’s go crazy”していようか。