「楽しんでるか、よっしゃいくぞ、レインボーローズ」の声を受け、演奏は“レインボーローズ”へ。虹色の光も飛び交う中、全力で気持ちを開放しながら、山本彩は眩しい笑顔で歌っていた。コメント欄に無数の虹の絵文字が流れていたように、観ている人たちもライブへノリノリで参加していた。誰もがはしゃぎたい想いを、文字や絵文字に乗せ舞台上の山本彩に届けていた。客席に設置したツアーグッズで販売していたレイブバンドも虹色に輝けば、観ている僕らの気持ちも華やかな楽しさに包まれていた。「今回のツアー、最初の回で中止になったので、とても悔しいんですけど。また会える日がきたら、一緒に遊べるように、絶対にみなさんのところに足を運びます」と、山本彩が最後に届けたのが、アルバム『α』でも最後を飾ったバラードの“Larimar”。「あなたがいるこの世界は 何より素晴らしい」と歌う言葉が、今、この時期に聴くことで、これまで以上に胸に強く染みてきた。歌は、その人の置かれた状況や、その時代の風潮の中で想いの風景をいろいろと変えてゆく。“Larimar”もそう。だけど、この歌に込めた「想いあって赦されてゆく」気持ちは不変なもの。むしろ、今の環境の中で“Larimar”に触れたことで、「憎みあうより愛し合えたなら」など、愛しい人の存在を、ますます大切に感じていた。きっと春の時期に聞いていても、瞳を濡らしていたかも知れない。でも、いろんなことを乗り越えようとしているこの時期に聞いたことで、“Larimar”が、いや、この日に歌ったすべての曲たちが、より深い慈しみを持った歌として心に届いていた。
タイムライン上にものすごい速度で流れる「アンコール」や「さやか」の書き込み。暗くなった場内にも、たくさんの手拍子と山本彩を呼ぶ声がこだましていた。アンコールは、山本彩の力強いギターのストローク音を合図に、“JOKER”からスタート。まだまだ吐き出しきれない熱を解き放つように、「気付いたらこんなにも僕は 君で出来ていたんだ」と、愛しい仲間たちへ向け彼女は歌っていた。コメント欄にも「アガる」という書き込みが。「どんなに季節が変わってもこの気持ちだけ変わらない」からこそ、山本彩は前をしっかりと見据え、画面の先で熱狂している人たちに向け、優しい笑みを浮かべ歌を届けていた。ギターを掻き鳴らすたびに頭上高く腕を振り上げる姿も、凛々しくて格好いい。続いて披露したのが、10月28日に発売するシングルに収録される“愛なんていらない”。この楽曲は、「モスバ」(モスバーガー)のCMとして流れることも決定。“愛なんていらない”は、弦楽の音色も優しい、スケールあふれながらも温かみを持った楽曲だ。この歌に触れていると、心がじわじわ火照ってくる。“愛なんていらない”のタイトルとは裏腹に、愛おしさと、彼女との身近な距離感を覚える。歌詞に込めた想いを噛みしめるように、「愛なんていらない」「今を生きていくんだ」と歌う山本彩。その言葉に裏に込めた深い心模様が、中から見えてきた。この優しい歌が、これからどれだけの人の心に温かい居場所を作ってゆくのか楽しみだ。「またみんなに会えると信じて」の言葉に続き、最後に山本彩が届けたのが、触れた人たちの心を笑顔ではしゃがせる“Are you ready?”。山本彩は、ときにモニターに足をかけ、画面の先にいる人たちに向け、力強く気持ちをぶつけていた。コメント欄には数多くの「おーおーおー」の書き込みも。この日の配信ライブを観ていた人たちは、山本彩と熱く心を通わせていた。そこに距離感があろうと、電波という新しい絆を通し僕らは繋がりあうことが出来る。山本彩の求めに応じ、次々書き込まれる「おーおーおー」の言葉。彼女も沸き立つ気持ちをすべて解き放つように歌っていた。何時かこの夢の続きを一緒に目の前で見ようよと誘いをかけるように…。予定していた本数からだいぶ少なく、しかも停止していた期間が長くあったとはいえ、2月に始まったツアーは、無事、千秋楽を迎えることが出来た。ここで区切りを付けた山本彩が、次からどんな舞台を用意してくれるのか、今は素直に「楽しみだ」と言っておこう。「わたしは今27歳ですけど、20代のうちにアリーナに立ちたいと思っているので、みんなついて来て欲しいなと思っています」と、最後に言った言葉も、印象深く胸に焼きついた。その言葉をぜひ実現させようじゃないか!!
ライブ後の「アフタートーク」は、チームSY(ライブメンバー)を交え、「乾杯」と打ち上げの挨拶から始まった。山本彩の手にはビールが…。まさに、打ち上げという言葉が相応しい環境でスタートした。「アフタートーク」は、 司会者がファンたちからのコメントを読み上げ、それに対しての感想を語る形で進んでいく。山本彩がメンバーらと談笑するように話を進めてゆくところへ、とてもフレンドリーな関係性も感じれた。「アリーナ楽しみにしています」のコメントについて、メンバーらが「言ったことは絶対に叶える人だから」と話していた言葉も印象的だ。ダンスについて、山本彩は「振り付けはまったく忘れていなかったけど、体力を何処かに置き忘れててきつかった」と発言。この日に向けて山本彩は走り込みもしていたことを打ち明けていた。お客さんたちから寄せられた「歓声」があったことで、メンバーみんな「何時ものライブ感を覚え安心感を覚えていた」という言葉も…。さらに、すでに「神曲」と言われだしている新曲“愛なんていらない”を演奏しての感想も語れば、「何バーガーが好きか」で山本彩は「スパイシーモスバーガー」と語っていたこともお伝えしておこう。山本彩を中心ではなく、メンバーみんなと一緒にわいわい語りながら山本彩自身や楽曲の良さを伝えてくれたのも嬉しかった。最後に「次に繋がるライブが出来たと思っています。しっかりした内容のライブが出来たので本当に楽しかったし、本当にライブが好きだなと純粋に心から思ったので、その気持ちを大切に心から励みたいなと思いました」と山本彩が語り、「アフタートーク」は終了した。
Text:長澤智典
Photo:半田安政
『山本彩 LIVE TOUR 2020 ~ α ~ツアーファイナル』セットリスト
1. イチリンソウ
2. 棘
3. 喝采
mc
4. unreachable
5. 雪恋
6. 君とフィルムカメラ
繋ぎ
7. Homeward
8. feel the night
9. stay free
10. サードマン
mc
11. 追憶の光
12. 月影
13. TRUE BLUE
14. Weeeekend☆
15. Let’s go crazy
16. レインボーローズ
mc
17. Larimar
-ENCORE-
1. JOKER
mc
2. 愛なんていらない(新曲)
mc
3. Are you ready?