安田レイ VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

安田レイ『アシンメトリー』

■対して“Not Enough”ですが、こちらはEDMなアプローチですが、最近の安田さんが作詞している曲にしては、このようなアプローチも珍しいですね。近作はどれもアコースティックにDAWの要素がブレンドされたスタイルだったのに…。

安田 実はこの曲は2年前にレコーディングされていた曲なんです。ファンのみなさんからはずっと「いつリリースするの?」とおっしゃっていただくことも多かった曲で。テーマとしては自分が中学校の時に転校をして、その新しい学校で感じた孤独感や疎外感に対して歌ったものなんです。

■転校はどうして?

安田 その前に私、私立の中学校に通っていたんです。ところがその学校では芸能活動が禁止されていて。私、その頃から「元気ロケッツ」というユニットで活動を始めたこともあり、当初はひっそりとやっていたんですけど、それが学校にバレてしまって。それでお母さんと私が学校に呼び出されて。(笑)そこで中学校2年生になりたての私に「仕事か?学校か?どちらかにしないと…」って迫られたんです。

■中学二年生の少女には過酷な選択ですね。

安田 その時に通っていた学校がとても楽しくて、毎日キラキラした日々を送っていたんです。でも、その日々を捨ててでも音楽がずっとやりたかったことでもあったので。迫られた次の日には自分の中で決断をしました。そう、この楽園から身を引く選択をしたんです。

■なるほど。

安田 そんな中、先ほども話に出たけど、私、自分の気持ちを言葉に表すのがあまり上手くなく、環境に慣れるのに時間がかかるタイプだったこともあり、実際に違う公立の学校に入ってみたら、このような見た目なので、いろいろと傷つくような言葉を言われたり、あと馴染めなさが出てきちゃって。授業中に隠れて泣いたりしていましたね。「なんでこんな学校に転入しちゃったんだろう…」って。そんな気持ちが段々と強くなっていったんです。でも、そんな時に想い出していたのが、小学校1年生の時に宇多田ヒカルさんの歌を聴いて、「ああ、私は歌を歌いたいんだ!!」と思った、あのキラキラした気持ちだったんです。

■その気持ちは今は?

安田 今だにそれは自分の中にあります。なので、本当にツラいなと思った時には、その始まりの時の自分の気持ち、今回そこをそのまま歌詞にしているんですが、それを想い出すんです。この曲はあの時のリアルな気持ちが沢山詰まっている1曲でもあります。

■ではある意味、こちらの曲も安田さんにとってはある種の答え合わせだったのでは?その時に諦めずに信じて進んで選んできたからこそ、ここまで来られた面もあるわけだし。

安田 そうですね。あの時、あの決断が出来て良かったなと今は思えますけど、中学生の時はホントずっと思っていましたよ。「こんなにツラい思いをしなくちゃいけないのか…」って。でもそれを経て、キチンと今に繋がっていることを考えると、今は作詞も作曲もさせていただいて、これもあの時のあの決断があったからこそだろうなと思います。その時の自分にも感謝したいですね。

■聴き手が自分の想いを安田さんの各曲に重ねたがる気持ちも分かります。

安田 みなさんもきっと生きていればそんな瞬間があると思うんです。何かを得るために何かを犠牲にしなくてはならない瞬間というか。その時は「なんでこれを失わなくちゃいけないんだろう?」って葛藤があるでしょうが、時が経って振り返ってみると、「ああ、あの時こちらを選んで良かった」と思えるから、そういうのを今悩んでいる人に対して伝えたいですね。もちろん、それには「私はこれを続けていく!!」との強い信念や意志も必要となってはきますが。私自身、その際に思った「歌が歌えるならどんな環境でもいい」「何を捨てても構わない」って信念は未だに変わっていなくて。その辺りもこの歌で伝えたかった面ではあったんです。

Interview & Text:池田スカオ和宏

PROFILE
1993年4月15日、アメリカ・ノースカロライナ州生まれ。 3歳で日本ヘ。10歳の頃、母親が聴いていた宇多田ヒカルに衝撃を受けてシンガーを志す。13歳で音楽ユニット『元気ロケッツ』に参加。20歳を迎えた2013年、「自身の歌声をもっともっとたくさんの人々の心に直接届けたい』という強い想いを胸に、同年7月シングル『Best of My Love』にてソロシンガーとしてデビュー。その後も、ドラマやアニメ主題歌、CMタイアップ曲など、 話題の楽曲を次々とリリース。2015年11月にリリースした「あしたいろ』は、TBS系ドラマ「結婚式の前日に』主題歌として共感を呼び、その年の活躍が認められ、「第57回輝く!日本レコード大賞』新人賞を受賞。配信シーンでの活躍が顕著で、これまでにリリースした1stAL『Will』2ndAL『PRISM』がともにiTunesにてJ-POP1位、総合2位を獲得。ファッション分野、ラジオDJとしての活動も行い、さらなる活躍が期待されている。
https://www.yasudarei.net/

RELEASE
『アシンメトリー』

安田レイ『アシンメトリー』

初回生産限定盤(CD+DVD)
SECL-2515~SECL-2516
¥1,800(tax in)

安田レイ『アシンメトリー』

通常盤(CD)
SECL-2517
¥1,200(tax in)

SME RECORDS
11月27日 ON SALE

LIVE
安田レイLIVE2020「Invisible Stars」Supported by TOKYO FM「COUNTDOWN JAPAN」
日時:2020年2月7日(金) OPEN 18:45 / START 19:30
会場:東京都 EX THEATER ROPPONGI
チケット:全席指定 ¥5,500 (税込)(ドリンク代が別途¥500かかります。)
問い合わせ:サンライズプロモーション 東京 0570-00-3337(平日10:00〜18:00)