吉澤嘉代子 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■こんなふうに言われる友達がいるのって羨ましいです。そして“オートバイ”ですが、これは歌い方がカッコいいですね!歌う時の声質の使い分けはかなり意識されたんですか?

吉澤 そうですね。どんな主人公なのかを考えながらレコーディングしました。ライブではどれだけその主人公を自分に落とし込めるか、我を忘れられる時間があればあるほど、「今日はいいライブができたな」って思えます。

■この曲はなんとなく懐メロ感を感じました。「オートバイ」や「シャボン」、「ホームタウン」みたいな語彙とか、メロディとか、アレンジとか。

吉澤 あんまり特定の時代は意識していないんですけど、「オートバイ」なので、シティ感があった方がいいなと思って。「耳をすませば」みたいなイメージもあったんです。あれは自転車でしたけど、自転車がオートバイになって、不良の後ろに乗っていて、みたいな。

■曲の主人公は何歳くらいのイメージなのでしょうか?

吉澤 15歳と17歳、って考えていました。

■え!思ったより若い。不良ですね。(笑)

吉澤 ですね。「子どもたちの物語」として書いたので、言葉が難しいんですけど、ちょっと「中二感」というか、そういうのを散りばめています。カッコつけて書きました。

■確かにサビとか、中学生がグッとくる感じがします。こんな青春を送ってみたかったですか?

吉澤 う~ん、どうだっただろう……?でも、そういう刺激的なものにいつも憧れていたように思います。

■中学生ってそういうお年頃ですよね。そして“魔法はまだ”ですが、YUKIさんへの曲のセルフカバーということで、お二人の歌い方の違いによって見える景色の違いが面白かったです。

吉澤 この曲は私の作曲にYUKIさんが歌詞をのせてくださり、「どんな歌詞になるんだろう?」と楽しみにしていたんですけど、YUKIさんのライナーノーツに「女子高生同士の恋の物語」と書いてあったのを見ていて。今回は「青春」をテーマにしているので、ぴったりだなと思ってセルフカバーさせていただきました。淡い恋心みたいな、恋なのかなんなのかわかんない感じが可愛い曲です。

■だいぶ直接的な歌詞ですが、YUKIさんから歌詞が届いた時はどう思いましたか?

吉澤 私には書けない歌詞だなと思いました。「あの娘の涙は菫色 嘘を吐かれる度に 哀しみで透けてしまう 誰でもいいわけじゃあない」とか、すごく綺麗でドキドキさせてくれます。これは私には書けないです。

■私は涙でアイメイクが溶けて菫色になったのかな?って思いました。この歌詞でいう「魔法」って何なんでしょうね?

吉澤 私が思うに、魔法は生活のいろんなところに潜んでいます。既に人間って魔法を使えていると思うんですよ。お鍋に具材を入れたらカレーができるとか、服が乾くとか、それも十分魔法だし、私がやっている「歌を歌う」っていう仕事も魔法の一つだと思います。魔法は永遠ではないんですけど、そのひとときを変えることができるのは確かなので。

■私たちはみんな魔法使いなんですね。最後の曲は“ゆとり”ですが、この曲はなぜ“ゆとり”というタイトルに?

吉澤 えっと、私がまさにゆとり世代だからですね。

■なるほど。ちなみにこれは何学校をイメージされているのでしょうか?

吉澤 そこは聴き手の方がなんでもご自身が思う学校を当てはめていただけたら嬉しいんですけど、個人的には大学を卒業した時に書いた曲です。ここから同級生たちが社会に向かって飛び立っていく姿を書こうと思って書きました。

■バックのピアノの音色も綺麗でした。

吉澤 ピアノ綺麗ですよね。これはピアノを入れたいなと思ってお願いしました。やっぱりピアノって学校を思い出す楽器だなと思っていて、どうしても入れたかったんです。

■ちなみにこの曲中に登場しているのは女友達なのでしょうか?

吉澤 特に性別を意識したわけではないんですけど、当時、大学時代に出会った友達を想像しながら書きました。それでみんなの共通点を考えたのですが、同じ志を持っているわけではないし、なんだろう……って思った時、「みんなゆとり世代だな」ってなったんです。(笑)

■そのへんはちょっと感性が尖っていたんですね。(笑) 吉澤さんには昔に戻ってやり直したいことはありますか?

吉澤 あります。あるんですけど、戻れたとしてもやり直せないかもしれないです。いつも悩みながら、一番いい選択をしてきたんじゃないかな。

■そう言えるのって素敵です。歌詞のように、あの時に天井から覗いていた未来の自分になれていると思いますか?

吉澤 なれているかな……?でも、私は一番なりたかった仕事が今できているので、それってすごく奇跡だなって。あの時天井から覗いていた未来の自分になれていると思います。

■ここから『六花』のツアーも始まっていきますが、楽しみなことはなんですか?

吉澤 今年は10周年ということもあっていろいろ計画しています。体調面も含めて、自分もメンバーもスタッフもちゃんと最後まで完走できるかって所も大切ですし、何より今まで「歌を歌う」っていうことだけで10年やってこれたので、そうやって生きて来たこの10年間に感謝して、お客さんにお返しできたらと。その気持ちを伝えられたらなと考えています。

■最後に、今年挑戦してみたいことはありますか?

吉澤 う~ん、そうですね……。今ひらめいたことなんですけど、本を作ってみたいです。小説なのか、詩集なのか、エッセイなのかわからないけど、そんなことができたらいいなって思います。

Interview & Text:安藤さやか

PROFILE
1990年6月4日生まれ。埼玉県川口市鋳物工場街育ち。2014年にメジャーデビュー。2ndシングル『残ってる』がロングヒット。2023年11月15日に青春をテーマにした二部作の第一弾EP『若草』をリリースし、約3年振りとなる全国ツアーを開催。2024年3月20日に第二弾EP『六花』のリリースを予定しており、4月にはHall Tour“六花”の開催が決定。5月14日にLINE CUBE SHIBUYA にて行われる吉澤嘉代子10周年記念公演~まだまだ魔女修行中。~を皮切りにアニバーサリーイヤーがスタートする。
https://www.yoshizawakayoko.jp/

RELEASE
『六花』

初回生産限定盤(CD+BD)
VIZL-2308
¥7,700(tax in)

通常盤(CD)
VICL-65957
¥2,750(tax in)

Victor Entertainment
3月20日 ON SALE