ゆいにしお VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

ゆいにしお『tasty city』

■上京してもうどれくらいの月日が経ちましたか?

ゆいにしお 3年が経ちました。私は愛知県でも田舎の方の出身だから、東京での生活はとても充実しています。

■日々、変わり続ける渋谷の街を舞台に、変わり続けることを楽しんでいく人生観を描いた“CITY LIFE”。ゆいにしおさん自身もその変化を楽しんでいますか?

ゆいにしお そうですね。田舎に住んでいた頃は、渋谷の街を憧れであり理想郷のように見ていました。でも実際に渋谷の街を日々の生活の中で感じ始めると、ゴミゴミしているし、汚い道などもあるし、いろんなマイナスになるイメージも増えましたけど。(笑) でも渋谷はエリアごとにいろんな顔を持っているじゃないですか。そこの魅力に気づいてからは、もっと深く渋谷の街を好きになったし、日々変化していくことも含め、そこに自分の心の成長も重ねながら楽しめるようになってきています。

■今回のアルバム『tasty city』を聴きながら感じたのが、「各曲に出てくる主人公たちは、意外とこじらせた性格の方が多いな…」ということでした。(笑)

ゆいにしお 確かに。こじらせまくっていると思います。(笑) 何事に対しても真っ直ぐな性格の人に私自身は魅力を感じていますけど、人って影を持っている方が惹かれるじゃないですか。だから、どこかこじらせた性格として書いてしまうんでしょうね。

■“Rough Driver”の主人公のように?

ゆいにしお この曲の主人公も割りとこじらせていますよね。(笑) 思い出のサービスエリアに行ったら、たまたま元彼と鉢合わせしてしまう。しかも横には新しい彼女もいて。そこからいろんな心模様を描いていったんですけど、最後の方の歌詞に「優しそうだねガールフレンド ストーリーで見るよりずっと」と書いたように、じつは鉢合わせする前から元彼のInstagramなんかを見ながら、近況をチェックしているんですよね。そこもこじらせていますよね。(笑) だけど、みんな口にしないだけで、そうやって気になる人の行動をチェックしていると思いますから。

■確かに。(笑) 今の年齢だからこその心情を記した歌が多い中、“sun shade”は過去の思い出について歌っていますね。

ゆいにしお これは私の実体験を元にした歌なんです。やはり大事にしていたい過去の思い出は、こうやって形にして残しておきたくなるんですよね。

■アルバムの最後に収録した“ワンダーランドはすぐそばに”も、とても印象深い楽曲です。

ゆいにしお この歌は、ドラマ『片恋グルメ日記 2』のエンディング主題歌として作りました。「結局は幸せになりたいだけなんでしょう?答えは」と歌い出すんですけど、その心情って、ドラマの登場人物たちの気持ちにも当てはまるし、いろんな場面でも使える言葉だなと私は思いました。結局はみんな幸せになりたいだけなのに、その気持ちを言葉にするまでにも、いろんな面倒くさい行動を取ったり、遠回りな言い方や考え方をしたり。「このアルバムを通して私が伝えたいのも、結局はこういうことなのかも」と思い、最後に持ってきました。

■アルバムに『tasty city』と名付けた理由も聞かせてください。

ゆいにしお 上京以降、私の東京の思い出には必ず食べ物が結びついているんです。しかも食べ物と街の景色が結びついていたり、『tasty city』に収録した曲たちを改めて聴き返した時にも、食べ物が歌詞に出てくる歌が多いなと感じました。そこに関しては本当に無意識のことでしたけど、いろんな美味しい生活をつまみ食いするようなアルバムにもなったことから、「美味しいところだけをつまみ食いするように楽しんで欲しい」、「そんな人生のフルコースを味わって欲しい」という想いから、アルバムに『tasty city』と名付けました。

■完成した『tasty city』は、今のゆいにしおさんにとってどんな作品になりましたか?

ゆいにしお 自分の好きなものや、好きなアレンジャーさんたちと作るなど、ちゃんと自分の「好き」を詰め込むことが出来た作品だと思います。しかも、いろんなアレンジャーさんたちとご一緒することで、自分だけでは生まれなかった形にどの曲もブラッシュアップしていただけました。あとは、この曲たちを10月下旬から始まる東名阪ツアーを通してどう伝えていくか…。ツアーの内容自体はこれから打ち合わせに入るから、まだ具体的なことはお伝えできませんけど、絶対に美味しいフルコースをライブでも味わっていただけると思います。

■楽しみにしています。最後に読者にメッセージをお願いします。

ゆいにしお 自分と同世代の人たちに届けたい気持ちもありつつ、どんな世代の人たちの生活にもすっと溶け込むような作品になったので、ぜひ自分の好きなテイストを見つけて、それを自分の日々の生活の中に取り入れながら、このアルバムも楽しんでください。よろしくお願いします。

Interview & Text:長澤智典

PROFILE
透明感の中にも深みのある声と、心地よいメロディーが持ち味の”NEO渋谷系”シンガーソングライター。2016年から愛知県にて弾き語りで活動をスタート。2018年に開催された日本コロムビア主催「半熟オーディション supported by Eggs」でグランプリを獲得。2019年5月、自身初の全国流通盤である1st Mini Album『角部屋シティ』をリリース。2020年9月には2ndミニアルバム『She is Feelin’ Good』をリリースし、活動の幅を全国に広げた。2021年10月、TVアニメ『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』のオープニングテーマに“息を吸う ここで吸う 生きてく”が起用された。同年11月に3rdミニアルバム『うつくしい日々』をリリース。2022年4月、配信シングル“ワンダーランドはすぐそばに”が、TOKYO MX月曜ドラマ『片恋グルメ日記2』のエンディング主題歌に決定。同年10月5日、1stフルアルバム『tasty city』のリリースをもって、日本コロムビアよりメジャーデビュー。
https://yuinishio.com/

RELEASE
『tasty city』

COCP-41838
¥3,000(tax in)

日本コロムビア
10月5日 ON SALE