鈴木愛理 VANITYMIX 2019 AUTUMN PICK UP INTERVIEW

鈴木愛理『Escape』

■楽曲としては、どういう部分を伝えたいですか?

鈴木 作詞の唐沢美帆さんは声優さんにたくさん歌詞を書いていらっしゃるんですけど、すごいキャッチーなフレーズが多いんですよ。その歌詞と、原さんのラテン調な曲との組み合わせがおもしろいなと思いながら歌っていて。ステージでも映える曲になったなと思いますし、最近MVも撮ったんですけど、世界観がすごく作りやすいんです。早くMVを見てもらいたいですね。ドキドキワクワクハラハラするような、スリリングな気持ちになってもらえると思うので。

■Aメロの「追いかけられたら/逃げたくなる/捕まえてみて」から、曲の世界観に引き込まれました。

鈴木 挑発ですね。(笑) 私もいちおう25歳なので、そういう女性らしさを出したいなって。“DISTANCE”のときは、カッコよさとデビューの駆け抜ける感じをイメージしたんですけど、“Escape”は女らしさや燃えたぎる情熱をダンスナンバーに乗せた感じで。短い時間でも印象に残る曲になったと思います。

■鈴木さんは普段から元気でハイテンションな印象が強いんですけど、“Escape”で描かれている女性像とはギャップがありますよね?

鈴木 ちょっと気にしてます。(笑)

■むしろそのギャップにグッときますけどね。(笑)

鈴木 でも「追いかけられたら/逃げたくなる」は、めっちゃわかります。あんまり追わないでほしい。(笑) それは女の子にありがちな天の邪鬼感というか。追いかけてこなくなったら、それはそれでムカつくんですよ。そういう女子の感じを読み取ってもらえたらおもしろいかなと思います。

■女の子って難しいですね。(苦笑) 先ほどもカメレオン性という言葉が出ましたけど、カップリングの“IDENTITY”はバンドサウンドで、“Escape”とは正反対ですよね。アルバムでもダンス曲とバンド曲が混在していましたけど、同じような狙いが?

鈴木 そうですね。それと、“IDENTITY”は私のなかで神曲なんですよ。神曲なので、今回の作品にどうしても入れたくて。

■その神曲だと感じる理由は?

鈴木 この曲は“初恋サイダー”(2012年発表のBuono!の人気曲)を作曲されたしほりさんに作っていただいたんですけど、“初恋サイダー”は私が歌い出しということもあって、ソロで歌っても受け入れてもらいやすい曲ですし、(多くのアイドルにカバーされて)曲が独り歩きして、自分が知らないうちに有名になっていたんです。それで、Buono!の曲だけど自分の代名詞になりつつあって、それがうれしくもあり、悔しくもあり……。

■それはやっぱりBuono!の曲だから?

鈴木 はい。“初恋サイダー”は3人の曲で、私の曲ではないので。これをずっと一人で歌い続けて代名詞にするのも違うなっていうのは、この1年ずっと心のどこかにあったんです。だから、このタイミングで「“初恋サイダー”を超える一人で歌う曲をください!」って、しほりさんにお願いしました。それでできあがった曲が、本当に私のことをわかってくださっているなという内容で、歌っていてすごく気持ちよくて。ライブで初披露したときの手応えもあって、「これは成長していく曲だな」って肌で感じることができました。

■この曲は最初の「君へ響け このメロディ/ずっとここで唄ってたよ」に象徴されていると思うんですけど、歌うことが“IDENTITY”ということですよね。そういう気持ちもしほりさんに話したんですか?

鈴木 今回のタイミングではお会いしてないんですけど、昔から見てくださっている方なので、読み取って書いてくれたのかなとは思いますね。もう自分の気持ちのように歌えるので。

■個人的には「もしも未知に迷ったなら/君が笑う方を選ぶ」というフレーズが、特にグッときました。

鈴木 マジそれですよ!ソロ活動をするにあたって、自分のチームを作るときも、その気持ちを大事にしたんです。すごい場が明るくなるみたいな人たちとやりたいって。だから、いま置いていただいている自分のチームの環境は、みんな明るいし、やりやすいし、辛いことがあっても一緒に乗り越えられそうだなと思っていて。もうその歌詞が理解できすぎるというか。

■「道」じゃなくて「未知」になっているところもいいですよね。

鈴木 すごくわかります。

■一方で「体裁が優先だとか/数字を出すとか/ある程度は理解するけど」という歌詞が気になりました。実際そういう壁にぶつかることもあるんですか?

鈴木 まぁ、ありますね。(笑) 私がというよりは、大人の世界では避けては通れないというか。でも、そういうことよりも、伝えなきゃいけないこともあるよねっていう気持ちはあります。

■そういう部分も含めて、自分の人生と重ねて歌える曲になっているのかなと思って。

鈴木 そうですね。やっぱり歌に乗せてパワーを伝えるっていう、歌詞全体の世界観が好きです。私は歌以外のお仕事もさせていただいていますけど、たぶん音楽で自分の声に乗せてパワーを届けているときが、いちばん自分らしくいられる瞬間だと思うので。

■お話を聞いていると、そんな神曲がカップリングなのがもったいないですね。

鈴木 シングルとしてのタイトルは『Escape』だけなんですけど、気持ちは『Escape/IDENTITY』です。“IDENTITY”もMVがありますから。

■それだけ強い気持ちがこもった曲ということですよね。この2曲のほかにも、通常盤はタイプA・B・Cで、それぞれ違う曲が収録されていますけど、簡単に解説をお願いします。

鈴木 “DAYLIGHT”は小さい頃からこれを聴いて育ったと言っても過言ではない、(SPEEDの楽曲を手掛けていた)伊秩弘将さんと水島康貴さんのタッグに作っていただいた曲です。秋にピッタリなミディアムテンポの楽曲になっているんですけど、伊秩さんとは直接やり取りさせていただいて、レコーディングもしていただいて、自分的に勝手にエモい気持ちになって歌いました。

■通常盤Bは“THE BRAND NEW LOOK”が収録されています。

鈴木 「PARALLEL DATE」ツアーのオープニングでも歌った曲なんですけど、女の子が都会を歩くときに、自分に自信を持たせるためにメイクをしたり、おしゃれして輝いたりっていうのがテーマです。これはライブよりも、音源で聴いたほうが世界観がギュッとなっている曲かもしれないですね。かわいくてポップな曲で、聴いていて楽しい気持ちになると思うので、朝の準備中とかにBGMにしてもらえたらうれしいです。

■通常盤Cは“私の右側(Sound Inn ‘S’ Version)”です。

鈴木 これは先ほどお話した「Sound Inn “S”」で、斎藤ネコさんにアレンジしてもらったバージョンです。

■通常バージョンすら音源になってないのに。(笑)

鈴木 そうですね。(笑) 通常版はYouTubeにアップされているんですけど、あれは宅録ですから。(笑) 家で録音した歌を使っているんです。

■そうだったんですね!

鈴木 でも、それもいつか音源化したいなとは思っています。

■なんならライブのDVD/Blu-rayに入っていますよね。

鈴木 そうですね。ライブバージョンは。曲だけの音源は乞うご期待ということで。(笑)

■楽しみにしています!シングルが出るタイミングでは「Escape」ツアーも終わっていますけど、リリースイベントの予定もあるんですか?

鈴木 あります!何かと動きがあるので、特に発売当日の9月4日は必ず空けておいていただけるとうれしいです!

■池袋サンシャインシティの噴水広場あたりで?

鈴木 どうですかね?(笑) でも私、アルバムのときはやっていないんですよね。池袋は℃-ute時代に武道館の発表があったり、思い出がありすぎる場所なので緊張しますね。