BLUE ENCOUNT VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

BLUE ENCOUNT『ハミングバード』

田邊駿一(Vo&Gt)、江口雄也(Gt)、 辻村勇太(Ba) 、高村佳秀(Dr)

目指し進むこの道が決して間違いじゃないと信じさせてくれるBLUE ENCOUNTの新曲

BLUE ENCOUNTの新曲『ハミングバード』は、現在絶賛放映中のアニメ「あひるの空」のオープニング曲。悶々とした面と、そこを経たからこそ辿り着ける、その先にある希望や光、夢を信じさせてくれる力強い楽曲だ。
ここ数作のシングルではストリングスもガッツリとフィーチャー、ドラマティックな楽曲構成も特徴的だった彼ら。しかし今曲はあえて前半部はどっしりと構え、そこを抜けたサビでの開放感や爽快感が力を与えてくれるのも印象的だ。自分の信じ進んでいることに間違いはないと力強く思わせてくれる秘めたエモさと、それが故の後の起爆力もたまらない。とは言え、偶然にも今回の歌詞はボーカル&ギターでソングライティング担当の田邊のフィクションとノンフィクションを入れ交えたもの。アニメの内容とのリンクは奇跡的だったと語る。さて、そのメカニズムは如何に?いま紐解く。

■今回の新曲“ハミングバード”は、アニメ「あひるの空」のオープニング曲ですね。

田邊 そうなんです。とは言え、実は去年の夏にはこの曲での今回のタイアップの話をいただいていて、その時点で原曲としては存在していたんです。というのも、この曲は2019年頭にはある程度できていた曲ではあったので。

■夏!?そこから結構時間も経っていますよね?

田邊 今回は中国でもアニメが放映されることもあり、中国側にも歌詞の検閲等が発生する可能性があったので、早めに完成させたところもあります。

■ということは、この楽曲が完成していたのは昨夏のシングル『ポラリス』と同時期だったんですね?

田邊 まさに並行して作っていました。他の曲の制作もしていたので、かなり忙しい時期の制作で。

■なるほど。“ポラリス”と同時期の制作も頷けます。“ポラリス”もこの“ハミングバード”もすごく丁寧な作品制作の印象が各々あります。特に今作は、楽曲自体はよりシンプルで勢いのあるロックチューンながらも、作りは非常に丁寧ですよね。

辻村 その感想は嬉しいです。その辺りはシンプルが故に非常にこだわりました。サウンド面にしても音の位置やリズム隊も勢いに任せず、キチンとピタッピタッと揃えて演奏したりしたので。だけどキチンとロックバンド感や生ならではのグルーヴ感が出せているのも特徴かと。

■その辺りは“ポラリス”とは対照的でした。あの曲はストリングスもガッツリ入り、音数も多く構成も凝っていて、かなりドラマティックでしたもんね。

辻村 この“ハミングバード”も壮大は壮大なんですが、“ポラリス”とはまた違った壮大さが出せたかなって。しかもブルエンの要素の一つでもある、人の背中を押したり、熱い部分もキチンと表せている。元々音源からも熱い要素を伝えたく、今回も挑みましたから。

■Aメロ、Bメロはウェットさもありますが、対してサビは前のめりに突っ込んでいますもんね。

辻村 そうなんです。田邊が持ってきた原曲に割りと忠実ながら、その構成の方が世界観にフィットするだろうと。緩やかな波が段々と力強くなっていく。そんなストーリーを自分たちでは感じています。

江口 その辺りは同時期の楽曲制作ながら、“ポラリス”は玉井健司さんにプロデュースをしてもらい、この“ハミングバード”は、僕らがキューンミュージックでASIAN KUNG-FU GENERATIONを手がけられていた白井嘉一郎さんにディレクションしていただいていた違いも大いに関係しているかな。構成等も白井さんと一緒に考えながら進めていったんです。いろいろとアイデアを出してもらったり、提案していただいたり。

■例えばどこを?

江口 「2番のAメロを半分削ろう」とか。これなんてベーシックを全て録り終えて、後は僕のギターを重ねる段階での提案でしたから。「その方がよりセンチさが出るだろう」と。いやー、あれは思い切りました。(笑) あと、ギターソロも派手なヤツじゃなく、あえて落ち着いたものにしてみたり。その辺りのおかげで、これまでにはなかったアレンジ観が出せた実感はあります。それらも含め、ブルエンっぽいんだけど、若干これまでのブルエンとは違った雰囲気も醸し出せたかなと。

■その「勢いがあるけど落ち着いた感じ」はすごく感じ取れます。コントラストがいい感じで。

高村 ドラムに関しても、いつもだったらドーンとドラマテッィクに盛り上げるところを、あえてそうしなかったりしました。この曲も当初はドラムも結構全開なイメージで挑んだんです。でもライブでこの曲を演った時を想定した場合、あまり音数はいらないかな?と、考えが変わってきて。そこからは逆にどんどん抜いていきましたね。アクセントがついていた部分も更に減らし、あえて沸々とした感じにしてみました。ガ~ッと盛り上がるよりかは、内に秘めた情熱みたいなものを表したかったんです。なので、そこからは必然的に、シンプルまではいかないですが、必要なところだけにしようと。結果、グッと堪える情熱みたいなものが、より楽曲に注入できたかなって。