チャラン・ポ・ランタン VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■今作の『いい過去どり』ですが、自身で聴き返してみていかがですか？

小春　このアルバムは時系列順に曲が頭から入っているんですが、もう時の流れがすごい！それこそ世界旅行みたいで。しかも、それが「隣の国に行きました～」ではなく、もうテレポーテーション的なトランスフォーム状態ばかりで。(笑)

もも　インディーズ時代のベスト盤の『過去レクション』も、もちろん良かったんですけど、こちらはこちらで違った意味ですごくイイ。もう各曲の試行錯誤感や濃厚っぷりも半端ないし。

小春　まさに、「私たちのこの5年間の歴史をハイライトでお送りするとこんな感じ」みたいな1枚です。

■選曲に関してはいかがでしたか？

もも　「これでしょ！」とかなりスッと決まりましたよ。

小春　選曲は基本、ライブで盛り上がる曲や、お客さんが聴きたいであろう曲たちで成り立っている自負があって。ライブで演って、イントロが飛び出した時点で、「待ってました！」的にすごく喜ばれる曲たちを集めてみました。それこそ3曲目の“フランスかぶれ”なんて、今ではライブではイントロだけでも大盛り上がりな曲なんですが、これはメジャー1stシングルの3曲目ぐらいに入っていた曲だったりするんです。その後のアルバムにも全く入っていない。それでもあの人気ですからね。

もも　それこそ今回の楽曲たちは、選んだのは私たちですけど、ライブを通してお客さんの中で育ってきた楽曲たちばかりで。それを時系列的に並べてみた感じなんです。

小春　そうそう。自分たちのエゴはほとんどなく、「この曲みんな好きだよね」「この曲ライブで盛り上がるよね」「人気だよね」って楽曲たちばかり。

もも　まさにタイトルを『いい過去どり』って小春ちゃんがつけてくれて、それに引っ張られるように選ばれた全17曲かなって。これはもう自分たちのいい過去はもちろん、受け手や聴き手にとっての「いい過去どり」ばかりですから。

■新曲はいかがでしたか？

もも　“置行堀行進曲”ですね。それこそこのアルバムの為に書き下ろした新曲で。私たちにとって令和一発目の新曲になります。

小春　もう平成超えて令和なのに、昭和どころか大正の香りすらする新曲ですから。(笑)　って、誰も大正の香りなんて分からないでしょうが。(笑)　雰囲気、雰囲気。(笑)

もも　ツアー中のレコーディングだったんで、私の声も掠れ気味なんですが、それがよりやさぐれ感を醸し出せたかなと。

小春　もうこれはライブで本領を発揮する曲です。勢いもそうですが、みんなで一緒に声を出して歌えるアンセム感もあるし。とにかく一丸性のある曲なので、どこでも一つに出来る力を持っています。あと、このアルバム1枚をイントロデュースしている面もある。

もも　それこそ、この10年で二人が今が一番仲良しなのが現れていますから。サビの部分であえて普段の私が主メロで小春ちゃんが下を歌っている部分も、私が下を歌って、小春ちゃんが主メロを歌っていたりもしていて。今回はけっこう2人でユニゾンで歌っているんですが、新鮮だしカッコいいですよ。

■私は今作を聴いて「やっぱりチャラン・ポ・ランタンって変わっていないな…」って箇所を見つけました。それこそそれが「なんだかんだあっても、それでも世界は回っている観」で。

もも　それ、以前も言っていましたよね。(笑)　「それでも朝日は昇る」みたいな。でもまさに小春ちゃんの作る曲ってそうかも！

小春　今回の楽曲はどの曲もそうだし、どの曲のタイトルのあとに「それでも地球は回る」をつけてもしっくりくる。(笑)

■今作をどんな方々に聴いてもらいたいですか？

もも　それこそ私の中のベスト中のベストが出来た感があるので、是非幅広い人に聴いて欲しいです。

小春　いろいろなタイプの曲があるので、誰でもどれか好きな曲が1曲はあると思うんです。私、これまで他のアーティストさんが「ベスト盤を出す」って聞いた際に、「なんで出すんだろう…？」、「意味があるのかな…？」と、ずっとその意味合いが分からなくて。だけど、今回とインディーズの時とでベスト盤を出して改めて気づいたんですが、結局、ベスト盤って出せて自分たちが一番嬉しいものなんですよね。こんな機会がないと過去の曲を聴き返すこともないし。「誰が聴きたいんだよ？」って思っていたのが、「実はうちらだわ！」ってなりましたから。(笑)

もも　ここまで10年間活動してきたんですが、実は笑っているアーティスト写真って今回が初めてなんです。もう今回のアルバムを出せたこの喜びはこの写真に集約されています。

Interview&Text：池田スカオ和宏

PROFILE
もも(唄/ 平成生まれの妹)と小春(アコーディオン/ 昭和生まれの姉)による姉妹ユニット。2009年に結成、2014年にエイベックスよりメジャーデビュー。バルカン音楽、シャンソンなどをベースに、あらゆるジャンルの音楽を取り入れた無国籍のサウンドや、サーカス風の独特な世界観で日本のみならず、海外でも活動の範囲を広める。チャラン・ポ・ランタンとしての活動のほか、映画/ドラマへの楽曲提供、演技・CM・声優・イラスト・執筆など活動の範囲は多岐に渡る。これまでに8枚のオリジナルアルバムを発売。最新作は『ドロン・ド・ロンド』（2019年3月6日発売）。2019年7月17日には、メジャーベストアルバム『いい過去どり』を発売。
http://www.charanporantan.net/

RELEASE
『いい過去どり』