陽真 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

「今の陽真の作品はこれです!」と、胸を張って言えるEPができたなと思っています。

地元、広島県呉市の「呉市観光特使」としても活動中のシンガーソングライター・陽真。彼女が「映画のワンシーンやラストシーンという意味で『Scene』、『22』は私の年齢」という意味を持って名付けた2ndEP『Scene 22』を、9月30日にリリース。11月からは全国4都市を回るアコースティックツアー、『hima Acoustic LiveTour 2026∼Scene 22∼』を開催。23歳になった1月と2月には、広島と東京でバンド編成でのワンマン公演『hima BandSet Live Tour 2027∼Scene 23 beginning∼』を行うことも決定している。陽真とはどういったシンガーなのか、その魅力を紐解こう。

■陽真さんは、昨年11月にアルバム『Route U』をリリースしましたが、今年も3ヶ月連続配信リリースという流れの一環として、9月には2ndEP『Scene 22』をリリースしました。コンスタントに、しかも着実にリリースを重ねてきていますよね。

陽真 今年は、3月から3ヶ月連続でカバーワンマン公演を行い、7月から3ヶ月連続で作品をリリースしました。その後にはアコースティックツアーと、来年にはなりますが、バンド編成でのツアーと、大きな流れを作りながら進んでいます。今回はカバーライブも、リリースも、3ヶ月連続にこだわってやってきたから、(準備を含めた)時間の面で大変さはありましたけど、コンスタントに作品を出せたことは、めちゃめちゃ嬉しいことでした。

■2ndEP『Scene 22』は、前作以降に生まれた曲たちを詰め込んだ作品なのでしょうか?

陽真 この作品のために新たに作った楽曲もありますけど、前作から今作までの間に作りあげた曲の中から選んで収録しています。

■CDのボーナストラックとして収録されている、3ヶ月連続リリースの第一弾として配信した、女性ボカロPのpiccoさんのプロデュース楽曲“虹色コネクト”は、普段の陽真さんとはまた異なる色を持った楽曲ですよね?

陽真 2年前の2024年に、Night Tempoさんに2曲プロデュースしていただいたんですが、あの時も、陽真にとっては新しいトライでした。その第二弾として、今回はボカロPのpiccoさんにプロデュースしていただきました。そこで生まれたのが“虹色コネクト”でした。この曲はキラキラとした、piccoさんのカラーが満載の楽曲なので、普段の陽真では表現していない歌い方を求められましたけど、決してtoo much感もなかったし、違和感もありませんでした。むしろ、今の自分の歌声を意識して下さった上で、提供してくださった曲だと思っています。レコーディングでは、いつもの陽真の作品というよりも、気持ちを切り替えて歌いました。

■3ヶ月連続リリースを始めた頃には、2ndEPを出そうという構想もあったわけですよね?

陽真 3ヶ月連続カバーワンマン公演をやっている頃には、3ヶ月連続リリースの流れの最後には、2ndEPをリリースしようという話は出ていました。しかも、3ヶ月連続カバーワンマン公演でも、毎回新曲を作って披露すると、自分で決めてやっていました。その時の3月公演で新曲として披露したのが、2ndEPに収録した“愛しいひと〜It’s me again”でした。ただ、歌詞の内容は当時とはちょっと変えて収録しています。

■2ndEP『Scene 22』に収録され、第二弾配信曲としてリリースした“SUMMER TIME LOVER (feat.THINGS)”と、“南風、乗っかって”は、陽真さんと同じ広島県出身であり、THINGSのヴォーカルを務める藤正裕太さんが、THINGS名義で曲提供をしています。地元の繋がりってなんかいいですね。

陽真 THINGSは4人組のバンドで、そのヴォーカルの藤正裕太さんが、私と同じ広島出身ということから、地元繋がりのご縁で出会えました。私はシティポップが好きなんですけど、THINGSは「レトロポップバンド」という肩書きを持って活動をしていらっしゃるので、まさに陽真の好きなスタイルを表現しているバンドなんです。藤正さんとは、2年ほど前にスタッフさんに紹介してもらい、ライブを観に行ってからのお付き合いになります。実は2ndEPの“君にさよならも言えないまま”と、“Yozora”を曲提供してくださったハマモトヒロユキさんも、同じ広島出身の方なんです。

■“愛しいひと〜It’s me again”を作ったのは陽真さん自身……ということは、2ndEP『Scene 22』に曲を提供した全員が広島出身ということですね。

陽真 そうなんです。私は高校進学の時に(地元の呉市から)上京してきて、音楽活動を始めました。あの当時、「ライブ活動をしよう」となった時に、「オリジナル曲が必要だよね」ということで、当時のスタッフさんにいろんな作家の方を紹介してもらいました。その中の一人として、「広島出身の方」と紹介してもらったのがハマモトさんでした。ハマモトさんは、私の大好きなマーチン(鈴木雅之)さんの楽曲も書かれている方で、すごく嬉しかったのを覚えています。ハマモトさんには、前作アルバム『Route U』に収録した“Rain Song”も書いていただきました。もう7年のお付き合いになります。

■それだけ長い付き合いなら、ハマモトさんも陽真さんのことをわかった上で曲を書いていくれているんですね。

陽真 ハマモトさんとは、お互いに広島弁でやり取りをする間柄ですからね。(笑)

■なるほど。先にTHINGSが手がけた2曲についてお聞きします。“SUMMER TIME LOVER (feat.THINGS)”と、“南風、乗っかって”は、繋がりを持った楽曲ですよね?

陽真 物語は繋がっています。2曲とも藤正さんが歌詞を書いてくださいました。“SUMMER TIME LOVER (feat.THINGS)”では、私と藤正さんがお互いに等身大の姿で歌っています。歌詞に出てくる2人は、結構ドロドロとした大人の恋愛をしている関係です。藤正さんは大人の恋愛をしている人として、私はちょっと背伸びをした大人の恋愛に混じりたい感覚で歌いました。夏の曲を作りたかったので、ドライブをしながら気軽に聴けるようなサウンドに仕上げていますが、歌詞をじっくり聴いていただくと、「めっちゃドロドロしてるやん」みたいな感じに藤正さんが仕上げてくださいました。(笑) その続編になるのが“南風、乗っかって”になります。私としては、まだちょっと幼い気持ちで恋をしていた女の子が、“SUMMER TIME LOVER (feat.THINGS)”での恋愛経験を通して、“南風、乗っかって”の頃には、ちょっと気持ちが大人に一歩近づけたような、人としてのレベルが一つ上がったような気持ちで受け止めましたし、そういう心情で歌いました。

■“SUMMER TIME LOVER (feat.THINGS)”の曲の途中から、ちょっと感情のすれ違いが出始めるところもポイントですよね。

陽真 歌い方の表情も最初の頃と比べたら、ラスサビではちょっと強めに歌うなど、その辺の違いも聴きながら感じてもらえたらなと思います。

■ハマモトさんの書いた“君にさよならも言えないまま”と、“Yozora”も異なる内容の楽曲ですけど、根底にある部分では繋がりを感じるといいますか、陽真さん自身の性格をわかった上で、それを主人公の女性に投影しているのかな?と感じました。

陽真 新たな楽曲を作る上で、事前にハマモトさんと打ち合わせをしました。ハマモトさんとは長いお付き合いとはいえ、意外と自分の内面を話したことがなかったんです。それもあって、ハマモトさんと「陽真ちゃんってどんな感じの性格なの?」、「私は物事をはっきり言うように見えて、内に秘めた思いを素直に言葉にして伝えるのが苦手なんですよ……」、「あっ、意外とそういうタイプなんだね」というような会話をしました。そういったやり取りの中で生まれたのが“君にさよならも言えないまま”です。この曲は、地元から旅立つ人に向けての心情を歌にしています。実際には、陽真が地元から旅立つ側として上京しましたが、この歌では「見送る側になった陽真の気持ち」として、ハマモトさんが妄想を広げて書いてくださいました。実際に上がった曲を聴いた時には、「陽真のことをわかってくれた」と感じました。

■“Yozora”には、「もう君のために泣かない」と、ちょっと強気な心情も出てきますね。陽真さん自身も、意外と強気な方なのでしょうか?

陽真 私自身はそんなに強くはない性格だと思っているので、“Yozora”に出てくる女性は、陽真の人間性とはちょっと違うのかなと思います。ハマモトさんも、この曲では陽真とは違う主人公として書いてくださっているなと感じました。“Yozora”は失恋ソングですけど、私自身は、恋人との出会いや別れの心情というよりも、家族や友達という視点でとらえて歌入れをしました。

■むしろ、自ら作詞・作曲を手がけた“愛しいひと〜It’s me again”こそが、陽真さん自身の心情に近い楽曲なんですね。

陽真 そうですね。“愛しいひと〜It’s me again”は、3ヶ月連続で行ったワンマン公演の、3月公演の時に初披露した曲で、その時は季節に合った出会いと別れというコンセプトで歌詞を書きました。この曲は、サウンドプロデューサーの田中(茂昭)さんに、手元にあったいくつかのデモ曲を聴いてもらいながら、「どの曲がいいですか?」とお話をしていた中で、「この曲めっちゃいいよ」と言ってもらえたことで収録を決めました。その会話の中で、「この曲は春という季節感にフォーカスして作っているから、そこはガラッと変えてみるのもいいかもね」との提案を受け、それで一度持ち帰り、テーマやメロディはそのままで、少し視点を変えて表現しました。

■そこが気になります。

陽真 もともとは「(春の季節らしい)出会いと別れ」をテーマに書きましたけど、改めて「自分は何を一番伝えたいんだろう?」と思った時に出てきたのが、「別れ」についてでした。「別れ」一つを取っても、「じゃあね、また明日ね」と、また会うことを前提にした別れもあるじゃないですか。「じゃあ、本当の別れって何だろう?」と考えた時、私は「もう会いたくても会えない、しゃべりたくてもしゃべれない、触れたくても触れられない。そういうのが本当の別れだな」と思いました。でも、現実には会えないけど、心の中ではその人が笑った時の目尻の皺や、怒った時の眉間の皺の寄り方など、そういうのってずっと記憶に残っているし、残っていくじゃないですか。そこから「本当の別れって、実は無いのかも」という考え方になって、この歌詞になりました。

■歌詞に登場する女性の心情が陽真さんと近しくても、そうではないとしても、どの曲も別れを描いているような、切ない内容ばかりですよね?

陽真 そうなんですよ。でもその理由は自分でも明確にはわかっていませんけど、長年のお付き合いであるハマモトさんや、プロデューサーの田中さんが思う陽真って、別れの歌が似合うシンガーだとするのなら、それもまた一つの正解なのかな?と、私は受け止めています。

■周りの方々は、陽真さんに「決して心が強くはないのに、どこか強がってしまう」、そういう印象を持っていて、それが陽真さんらしさだと受け止めているのかもしれないですね。

陽真 多分そうなんだと思います。(笑) 自分でもその日によって、自分の性格が違って見えたりもしているから、その人が感じている陽真の姿こそが、その人にとっての陽真の正解なんだろうし、それでいいんだと思います。

■ハマモトさんが書いた曲に出てくる女性こそ、みなさんが捉えている「陽真らしい姿や心模様」なのかもしれませんね。

陽真 そうなのかもしれません。私がハマモトさんの曲が大好きな理由って、特にバラードがそうですが、胸にグッときて大泣きしてしまうからなんです。ハマモトさんの楽曲って、胸にグッとくる歌詞やフレーズがいっぱい詰め込まれています。ハマモトさんが私に提供してくださった“Rain Song”が、まさにそうです。ファンの方からも支持が高くて、ライブでも定番曲になっているくらい、自分でもお気に入りの楽曲です。今回書いてくださった“Yozora”も、バラードになりました。でも“君にさよならも言えないまま”は、ネオシティポップ調の楽曲として提供してくださいました。シティポップ調の楽曲は、ハマモトさんの得意分野の一つでもあり、陽真がこれからやっていきたい音楽性だったから、「そういう曲調の曲を」と、リクエストをして作っていただきました。