m-flo VANITYMIX WEB LIITED INTERVIEW

m-flo『tell me tell me』

m-floが若手アーティストたちと提示した今の時代だからこその新しいloves

ボーカルLISAの脱退後、VERBALと☆Taku Takahashi(以下、☆Taku)の2人となったm-floが、2003年~2008年頃にかけ、国内外様々なシンガーとフレキシブルにコラボ。そこで生まれる融合や化学変化、意外性や新発見の数々を楽しませてくれたlovesシリーズ。そこでは曲毎に男女様々なシンガーたちがm-floの楽曲に独自のオリジナリティを注入し、数多くの名曲が生み出されていった。
そんなm-floも2017年以降、LISAが復帰。最強のオリジナルトライポッド体制が蘇り、現行で大活躍を続けている。そんな中、この度そのlovesが復活。韓国のラッパーSik-K、各々ブラックミュージックにも造詣が深い男・女シンガーソングライターのeillと向井太⼀を迎え、loves名義にて新曲“tell me tell me”を発表した。初のLISAを交えたlovesにして日韓を超えたマイクリレーも印象的な同曲。なぜ今lovesなのか?m-floの三人に話を訊いた。

■今作リリースの話を聞いた当初は、「現在はこの無敵のトライポッドで活動していることもあり、今さらlovesなんて必要ないのでは?」との疑問もありました。

LISA 今回のlovesは、今後m-floが活動していく上で、より風通しを良くしたいとの思惑もあってのことで。この3人だけで長くやってきているから、今回のlovesを経ることで自分たち的にも何か刺激になったり、更なるやる気をもらえたり、次の新しい何かへのキッカケやカンフル剤的なところを期待してのことでもあったんです。それは特に相手が若かろうがそうでなかろうが関係なくて。他の方のエッセンスや刺激を経ることで、自身のマンネリ化も防げるだろうし。今それが必要だなと感じ始めたからだったんです。

■自分の中ではlovesはLISAさんが不在の際に、そこに様々なボーカリストさんを迎えて完成させていたシリーズの印象があったもので。

LISA もちろんlovesは一度私が離れた後から始まったものではあったけど、傍から見ていてもすごく成功したプロジェクトだったし、これを今やるってすごくフレッシュなことじゃない?って。やはり同じメンバーだけでやっていくと、出てくる楽曲もどんどんタイプが似てきちゃうし、近いものになっちゃいがちですから。

■では、このタイミングだからこそのあえて感もあったと?

☆Taku ありました。かつてlovesシリーズで3枚のアルバムを制作し、すごくいい経験をさせてもらったんです。自分たち的にも「かなりやり切った」と、今でも言える程のことが出来たと自負していて。対して、今の音楽シーンもすごく面白いアーティストがたくさん生まれてきている。あとは音楽の楽しみ方もサブスクリプションやストリーミング等で変わってきている中、今の時代、逆にlovesというコンセプトがジャストにフィットするタイミングなんじゃないかと感じていて。あとはまた様々な現代のアーティストたちとコラボしたら面白いだろうとの目論見もあったし、前作のアルバム『KYO』でLISAがいるm-floとしてもいろいろ新たな「今だからこそ」の可能性が見えた現在、新しい形でのlovesを始めるのも面白いんじゃないかなって。

■国内外問わずの出会いや無尽のコミットが聴き手を始め、アーティストともできる時代ですもんね。

☆Taku そうそう。今やよほどのアーティストじゃない限り、SNSやDM等で気軽にオファーもできたり、時にはそれが実現したり、派生したりの可能性も多分にある時代でもありますから。いろいろなコラボレーションの形や、アーティスト同士の音楽的な繋がりもキチンと可視化されていたり、プレイリストを作る方がいたり。以前より、かなりフットワーク軽く様々なコラボが気軽に国内外問わず出来ますからね。その発信の速度もかつてとは比べ物にならないほど速くなっていたり。そのような点では、同じlovesを名乗ってはいますが、「現在は現在のlovesが出来たり生まれるんじゃないか?」との期待もありました。

VERBAL 今だからこそもっとloveしたい。それもあったし。

■その「もっとloveしたい」とは?

VERBAL 刺激や例え近いことをやるにしても、オリジナルとは違った表現であらわすとか…ここまで20年間続けてこられたこと=ライフワークでもあるわけだし。だったらそれをより良くしていき、更に遠くまで長く走り続ける為にも、更なるガソリンの注入が必要だなって。やはりその「love」が増えれば増えるほど、アーティスティックでクリエイティブになれますから。基本僕たちは飽き性の上、欲しがりなもので。(笑)

LISA その「飽き性」や「欲しがり」の姿勢って、とても大事だと思う。普通はこれだけ続けてくると小慣れて守りに入ったり、自分のスタイルを死守や誇示したくなるんだろうけど。m-floはまさにその反対。ポジティブなエネルギーや、吸収力、そしてそれを経て更に前に進みたい、遠くに行きたいと常に思っている。そんなm-floって、やっばりすごいし素敵じゃない?普通、歳をとると疲れるだろうし、若い人とやることも怖いでしょうから。でも、あえてそこを攻めるし、新しい刺激も吸収してやろうですから。その姿勢はやはりm-floならではでしょう。

■ちなみにLISAさんは、「私がいるからlovesなんて本来要らないじゃん」なんて思ったりは?

LISA 全くなかったですね。むしろ相乗効果でよりいいものができる確信もあったし。私の知らない子たちと一緒にできる楽しみやワクワクもあった。なんなら「最後は私が全てかっさらっていくから大丈夫!!」なんて思っていたぐらいですから。(笑) 結果プラスでしかなかったし。

■今回のlovesの“tell me tell me”は、Sik-Kさんとeillさん、向井太⼀さんと、かなり贅沢な布陣ですね。

☆Taku 自分とムカタイ(向井)君とeillちゃんと3人で、ノープランで曲を作り始めたのがキッカケで。eillちゃんも鍵盤が弾ける子なので、コードを適当に弾いてもらい、マイク一本を置いて、思いついたものをどんどん録っていこうって。そこにVERBALとSik-K君、LISAにも参加してもらった流れになったんです。

■今回はそのグローバルなクロスオーバーも魅力の一つです。ちなみにSik-Kさんの参加の経緯は?

VERBAL 実はSik-K君との最初の出会いが思い出深くて。僕が韓国に行った際に、デパートの前でタクシーを持っていたら、一人の青年から「自分の作品を聴いて下さい!」と音源を手渡されたんです。極寒の中いきなりCDを渡されたので、とても印象に残っていて。(笑) その時の青年が後にSik-K君だったと判明したんです。で、それとは別のタイミングで☆Takuが「こんなかっこいいアーティストが韓国にいるの知ってる?」と、Spotifyのリンクを送ってくれたんですが、それがたまたまSik-K君の楽曲だったんです。それで「俺、この人知ってるよ!!」って。(笑)