大橋彩香 a.k.a HASSY VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

大橋彩香 a.k.a HASSY『#HASHTAG ME』

■今回の楽曲を歌ってみて、新しい扉が開いた感覚はありますか?

大橋 もともとカッコつけるのを恥ずかしがっちゃうタイプなんですけど、今回で「カッコいいことをがんばろうとしている自分に対する羞恥心を乗り越える」みたいなのをがんばれた気がします。MVも最初はハシアナさんは出てこないと聞いていたんですけど、出てくることになっちゃって。カッコいいことやっている自分を認めてあげるっていう、そこはひとつ成長できたかなと思います。

■じゃあこれを機に今後はカッコつけた曲も?

大橋 増えちゃうかなぁ。が、がんばります……。

■逆に言うと、今回みたいなカッコつけている姿を見られるのはレアということですよね?

大橋 レアですね。そもそも私、自分が聴く音楽はカッコつけている系が多いんですよ。ゴリッとした感じを好むと言いますか。だから、自分の好きな音楽に近づいていってるのかもしれない。

■エイプリルフールの動画でも「元気で笑顔な大橋彩香で5年間がんばったら好きな音楽やっていい」とプロデューサーと約束していたと話していましたけど、あながちウソでもなかったというか

大橋 あー、ある種そうかもしれません。私、アーティストデビューする時に「めちゃめちゃヘビーな曲もやってみたいです」と言っていたんですよ。その時は「一発目からそれはちょっと……」と言われて、やっぱり最初からできるわけじゃなかったのでじわじわと。(笑)

■別に元気で笑顔な大橋彩香を無理して作っているわけではないですよね?

大橋 無理はしてないです。(笑) むしろ映像表現だと、かわいい方が得意なんですよ。でも、聴いている音楽とか、ちょっとやってみたいなと思っているのはカッコいい系が多かったりするので、やってみたいことと得意なことは違うというか。自分にカッコよく表現できる力があったら、そっちに行っていたとは思います。

■ハシアナさんみたいなカッコよさは、大橋さんの理想像とは違うんですか?

大橋 あそこまではいかなくて大丈夫かな。(笑) もうちょっとロックっぽい感じなんですかね。見た目的には。黒いドレスを着て、明かりも浴びずに突っ立っているくらいのダークな感じも好きです。

■オラオラしているカッコよさではなく?

大橋 そうですね。でも、もし自分が作詞するとしたら、世の中に対する不満とかちょっとトゲトゲした内容かもしれないです。なんか思っていることはあっても、上手く言葉にできないのと、ちょっとヒヨッちゃうところがあって。カップリング曲ではそういうのもたまにあるんですけど。

■日常で言いたいことが言えなくて、ストレスが溜まっちゃうこともあるんですか?

大橋 ありますね。割りと溜め込むタイプなので。でも、みなさんも会社とかでストレスはあるでしょうし、ストレスがないところなんてないと思うんです。どこにでも転がっているものだと思うので。

■大橋さんはストレスが溜まったら、どうやって発散するんですか?

大橋 カラオケで歌ったり、無双系のゲームで斬りまくったり。(笑) あとは猫が家にいるので、猫のお腹に顔をうずめるとストレス発散できますね。でも、声を出すのがいちばん発散になるかもしれない。ゲームボイスの収録とかでも、何気に叫べる機会が結構あるので、「発散できた!」みたいな気持ちになることも多いですね。あんまり私情を入れすぎないように注意していますけど。(笑)

■なるほど。そんなに溜め込んでいなくて安心しました。

大橋 適度に逃がせている気はします。そんなに爆発したこともないですし、楽しくやっております。

■8月6日にはアーティストデビュー7周年を迎えますけど、この先の大橋彩香はどうなっていきそうですか?

大橋 ちょっと大人っぽくなっていくのかな。今は20代だからできそうなことをひたすらやっている感じがあるんですけど、30代になったら衣装の雰囲気とかも変わってくるのかなと思うんです。デビューした時に比べると、最近のアルバムには多少大人っぽい曲を混ぜてみたりもしていますし。今までは明るく元気な曲がシングルになることが多かったですけど、去年出したアルバムのリード曲(『WINGS』収録の“START DASH”)が、明るく元気だけど、どこかちょっと大人っぽさもあったので、これからはそういう要素が強くなっていくのかなという気がしています。

■年齢に応じて変化していくというか?

大橋 それがいいなと思っていますね。あと、自分の中で流行っている音楽が3カ月に1回くらい変わるんですよ。だからアルバムを制作するとなっても、その時にハマっていることを中心にやらせてもらうみたいな感じで、自分の中でやりたいことがコロコロと移り変わっていて。これからもそんな感じで、ほんと安定しないなということをやっていくと思うので、「はっしー、今はこんなのにハマってるんだな」くらいの感じで聴いてもらえたら嬉しいです。

■今の大橋彩香は今しか楽しめない?

大橋 そうですね。儚いアーティストだと思います。(笑)

■前に別の声優さんに取材した時に、「歌手活動はファンが喜んでくれるからやっている」と言われたんですけど、大橋さんの中で歌手活動はどんな位置づけなんですか?

大橋 それに近いと思います。もともと私、デビューの話をいただいた時は、「え、私の歌でお金とるんですか?」くらいのビビリ方をしていたんですよ。だけど実際にデビューして、ファンレターとかTwitterのリプとかをいただくようになって、こうやって何か想いが届いて、日々の生活をがんばれたり、何かを乗り越えられたり、元気をもらえたり、そういう人がこんなにいてくれるんだと思ったんです。それで喜んでくれる人がいるなら私もがんばろうって、昔よりも前向きに活動できるようになったんです。

■そうだったんですね。

大橋 だから、「私の表現を聴いてください」とかではなくて、「私の歌で元気になってくださーい」みたいな感じですね。たぶん誰も聴いてくれなくなったら歌わないと思います。みんなのために歌いたい系アーティストです。(笑)

■素敵なことだと思います!大橋さんは声優はもちろん、歌、ドラム、ダンス、ラジオなど幅広くやられているわけですけど、どうやって大橋彩香を楽しんでもらいたいですか?

大橋 たまにTwitterで「大橋彩香のファンって忙しくて大変そうだよね」みたいなつぶやきを見かけるんですけど、その分いろんな作品に出会えると思うので、それを楽しんで欲しいです。あと、お芝居も歌もダンスも楽器の演奏も、結局は感情の解放というか、どれも感情が伴っているものだと思うので、そういう部分も楽しんでもらえたら嬉しいです。

■その時の感情が歌やダンスにも表れるというか?

大橋 声そのものも変わるし、そうすると曲の表情も全然変わるし、最近はドラムもお芝居っぽいなと思うようになってきて。今までは落ちサビとかでもドカドカやっているタイプだったんですよ。(笑) でも、それだと歌に寄り添ってないなと思うようになって、ドラムも歌なんだって気づいたりとか。踊りも感情が上手く解放できないと縮こまったダンスになっちゃったりするし。なんか面白いですね。

■そういう感情に注目しながら見ると、また違う楽しみ方ができそうですね。

大橋 そうですね。そもそも私、感情の解放が下手くそなんですよ。日常でも「泣くの下手だよね」って言われるくらい、上手く泣けなかったりするから。でもこの業界に入って、ちょっとずつ上手になってきているとは思うので、私が人間の心を取り戻していく様を見守っていただければと思います。(笑)

Interview & Text:タナカヒロシ

PROFILE
「第36回ホリプロタレントスカウトキャラバン~次世代声優アーティストオーディション~」ファイナリスト。2014年、主演を務めるTVアニメ「さばげぶっ!」OP主題歌『YES!!』でソロアーティストデビュー。2021年5月には幕張メッセイベントホールでワンマンライブを成功させた。声優としても「アイドルマスターシンデレラガールズ」島村卯月役、「BanG Dream !」山吹沙綾役、「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」秋野かえで役、「THE GOD OF HIGH SCHOOL -ゴッド・オブ・ハイスクール-」ユ・ミラ役、「ウマ娘 プリティーダービー」ウオッカ役などを担当。国内外で声優アーティストとして幅広く活動中。
https://ohashiayaka.com/

RELEASE
『#HASHTAG ME』

配信デジタルシングル

Lantis
8月4日 ON SALE