■清水さん自身、弱さを認められなくて葛藤した経験もありますか？
清水 あります。自分が持っている考えだったり、信念と世間の考えとでギャップを感じた時期があって。それこそ“Starting Now”の時期ですね。いきなりそれが決まって、夢のようだって思って、歌っている時もすごく楽しかったんですけど、ちょっと目をふさぎたくなるような現実とかも感じました。やっぱり露出が増えれば増えるほど、嫌なことが来たりとかもしますし。「SNSやめたい！」って思った時期もありました。でも、そういうことで自信がなくなってしまうのは本当にもったいないなって感じて。そういう時代だからこそ、誰か1人でも声を上げていかないといけないなって思って。今回の曲にも繋がっています。
■曲調は、音が軽やかですごく親近感のある楽曲だなと思いました。
清水 曲を書いてくださった方が、私がYouTubeに上げている動画を見ながら、私のイメージを膨らませて曲を作ってくださったらしくて、すごく嬉しいです。実際に歌ってみても、自分にぴったりだなって思いましたし、コンセプトもすぐに思い浮かびました。一緒にセッションをやっている時も、すごく私も発言しやすい環境にしてくださって、やりやすい関係性でしたね。
■終盤のホイッスルボイスも圧巻ですね。
清水 でもあそこは元々ホイッスルボイスをする予定はなかったんですよ。
■そうだったんですか？
清水 レコーディングの場に居合わせていたチームの方が、「ここでホイッスルボイスできる？」って言ってきて。「ええ！？出る？」って思いました。(笑) でもアドレナリンも出ていて、「やらないと！」っていう危機感の中で出た声があれです。(笑)
■渾身のホイッスルボイスですね！
清水 なので、本当にライブで歌えるかが不安です。(笑) ホイッスルボイスからフェイクで遊ぶ前までは、割りと淡々と歌っている感じなんですけど、最後だけ遊びがたくさん入ってくるので、そこがすごく聴きどころだなって思います。今の自分の技術をすべて詰め込んだ感じなので、そこは楽しんで聴いていただきたいです。
■歌詞を見ていても、これまでの話を伺っていても、本当に音楽が好きなんだなとすごく感じます。
清水 そうですね。“Starting Now”を歌ってから、音楽活動がただ楽しんでやるだけではない難しいお仕事なんだなっていう責任感をすごく感じてたんですけど、やっぱりベースとして音楽を楽しむことは絶対に忘れたくないなっていうのは思っていて。歌を歌う時は、もう何も考えずにとにかく楽しむことを意識しています。制作中もそれを意識しながら歌詞を書いたので、それがそのまま出ていると思います。
■それこそNYは日本よりも音楽が生活に根付いているじゃないですか。それを感じた体験もありましたか？
清水 そうですね。NYでは、道端でチョークで絵を描いている人がいたり、地下鉄の中で歌っている人とか、電車の中のすごい狭いところでめっちゃ踊っている人がいたりとか。それがすごくいい意味で日本とは違うなって思いましたし、自分も観光客とかではなく、その生活の一部に入っている感じがして過ごせましたね。私もNYにいた時はずっと歌っていました。学校の課題曲を歩きながら歌ったりとか。あと、日本の服ってすごくファッショナブルじゃないですか。日本から持っていった服を海外で着ていると、「それどこで買ったの？」とか「その服素敵ね！」って、全然知らない人から話しかけられたりして。「日本で買ったの？」「わぁ、日本に行きたい。良い一日を！」みたいな感じで、すっごい楽しくて。(笑) 今でもその名残りがたまに出ちゃう時がありますね。コンビニの店員さんとかとお話した後に、「良い一日を！」とか言っちゃう瞬間があります。大体相手が戸惑っちゃうんですけど。(笑)
■(笑) ざっくりした質問になってしまうんですが、清水さんにとって音楽ってどういう存在ですか？
清水 自分の体の一部に近いですね。音楽を楽しむっていうのをベースにしているんですけど、やっぱり音楽が嫌だって思うこともあって。でも今ではそう思うこともいいなって感じますね。なんだろう……家族と一緒ですね。家族は大好きだけど、たまに嫌なこともある。そういう感じです。
■憧れている人とかはいますか？
清水 アリアナ・グランデが大好きなんです。発言する時は発言しますし、音楽は本当に一流で、すごいプロフェッショナルですし。Netflixにドキュメンタリーがあるんですけど、それを観てすっごい素敵な人だなと改めて思いました。アリアナの歌も好きなんですけど、やっぱり人間性ですね。憧れる存在です。私が中学生の時にアリアナが歌手デビューしたんですけど、当初からずっと追いかけています。
■冒頭に伺った、歌手を目指すきっかけの話も含め、中学生の時に転機などが多くあったんですね。
清水 そうですね。一番辛かった時期でもあり、一番変わるきっかけとなった時期ですね。なんか悩んでいる時って、なにかが変わるサインなんだなって思います。なので、今日は運が悪いなって思った時は、「なにかいいことありそう」って思うようにしています。そうすると運が悪かったとしても、「それでもいいや」っていうスタンスになれて、すごく心が楽になるので。昔は「どうしよう、どうしよう」みたいな感じだったので。過去の経験から、自分がどういう風に感情をコントロールすればいいかっていうのを学べましたね。
■デビューして、これから挑戦したいことはありますか？
清水 音楽に関わることであれば、やっぱりライブがしたいですね。実際に応援してくれる人たちと会いたいです。あとはラジオをやりたいです。それと全く音楽には関係ないものだと、バンジージャンプをやってみたい。一回空を飛んでみたいです。(笑)
■ラジオは音楽について話したい？
清水 そうですね。音楽についても喋りたいですし、私は誰かと話すっていうのが元々すごく苦手で。取材とか、話さないといけない場ではすごくエネルギーを出すんですけど、基本的にプライベートでは友達といてもあまり喋らないタイプなので。すごくナチュラルな自分をラジオで出してみたいなって。ひたすら1人で喋るラジオをやりたいです。あとディズニーの吹き替えもすごく夢なので、歌だけじゃなく喋る仕事もやりたいですね。
■今後活動を続ける上での目標などを教えてください。
清水 本当の意味で人間らしくいたいです。なにかを覆い被せたり、見せるための自分で音楽をやるんじゃなくて、自分自身のままで音楽をやっていきたいです。見せる自分で長くやるのって辛くなっちゃうじゃないですか。なので、本当に自分自身のまま変わらずにやっていきたいです。なにか大きいことをやってやるというよりは、その時その時の等身大の自分で音楽を表現していきたいです。
Interview & Text：村上麗奈
PROFILE
2000年3月10日生。三重県出身。高校の文化祭で披露した動画がきっかけで、在学中に音楽番組に出演。高校卒業後、ニューヨークにあるニューヨーク・フィルム・アカデミー・ミュージカル・シアターにて、演技/歌唱/ダンスを勉強。2020年3月に卒業後、日本へ帰国。帰国後、始めたTikTokでは、洋楽、ディズニーソングなどをカバー。2021年には勇気と優しさがテーマのディズニーのプリンセスの祭典「アルティメット・プリンセス・セレブレーション」の日本版テーマソング“Starting Now 〜新しい私へ”の歌唱アーティストに決定し、一躍注目の的に。2022年4月22日に、デジタル配信シングル『High Five』で待望のデビュー。
https://www.universal-music.co.jp/shimizu-miisha/
RELEASE
『High Five』
デジタル配信シングル
https://shimizu-miisha.lnk.to/highfiveWE
Virgin Music
4月22日 ON SALE
