しゅーず VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

しゅーず『Night Wander』

■歌ってみていかがでしたか?

しゅーず めちゃくちゃ難しかったです。収録の時に作家さんご本人がいると緊張して歌えないタイプなので、この曲の時も収録が終わった後に入ってきもらうみたいな形にしてもらいました。あと配信ライブでは披露するところまでがワンセットだったので、ライブで歌うんだっていうのも考えたりして、普段以上に緊張しました。

■録り終わって、八王子Pさんが来て聴いてっていう流れだったんですね。

しゅーず そうです。その時もahamoの人が密着みたいな感じで入っていたので、感想を聞いていて。「めちゃくちゃエロいです」みたいなことを言っていただいたんですけど、僕は「恥ずかしすぎて帰りたい」って言っていました。(笑)

■今回は3曲それぞれ違う方とのコラボや提供という形ですが、人によって「こういうところが違って面白い」みたいな発見はありましたか?

しゅーず 根底として「こういう感じで」っていうオーダーありきで書いてくれるんですけど、それが見事に三者三様で違うっていうのが面白かったです。似たテイストになることもあるのかなと思ったんですけど、みんな全然違う。あと僕は収録する時、いつも「この曲難しい……」って言いながら収録することが多いんですけど、この3曲も例に漏れず難しかったです。(笑)

■今までアルバムをリリースしたり、いろんな曲を歌われていますが、ご自身で制作時期による曲の傾向の違いとかを感じることはありますか?

しゅーず アルバム1枚目とか2枚目の時は、「流行っている曲だからやってみよう」とか、「こういう曲歌ってよ」って友達に言われたから歌ってみたとかが多くて、がむしゃらに沢山歌っていました。アルバムを出させてもらってからは、お客さんと接触できるイベントとかで「この曲がよかったです」とか、直接反響をもらったりもして。ここ数年は「こういう曲を求められていそうだな」っていうのをチョイスするようになっている気がします。投稿する頻度は前ほどではないですけど、だからこそキチンとしたものを出さないといけないなっていうプレッシャーは感じます。

■ニコニコ動画で活動を始めて12年の間に「歌ってみた」も含め、ボカロカルチャーが認知されてきたりとか、土壌の成長みたいなものも近くで感じてきたと思うんですが、いかがでしょうか?

しゅーず 感じますね。例えば10年前に一緒に歌い手をやっていた人たちって、もうほとんどいないんですよ。それでも残っている10年選手くらいの人をみると、人気が跳ねている人が多くて。Eveさんとか、まふまふさんとか、そらるさんとか、名前を出したらわかる人しか残っていなくて。そんな中で僕が唯一だらだらしがみついているって感じですかね。(笑) あと僕が始めた時って、ボカロって気持ち悪いものだと思われていたんですよ。「人工の音声って何?」みたいな感じだったのに、今やテレビでもガンガン流れているし。そう考えると、すごい時代になったんだなと思います。

■歌い手として提供曲やカバー曲から、時の流れを感じることもあったりしますか?

しゅーず 最初の頃ってボカロPとかも、それをメインでやっている人たちってほとんどいなかったんですよ。仕事の片手間にやっていたりとか、バンドをやっているからちょっとやってみたみたいな人がすごく多かったから、粗削りな曲が多かったし。でも最近だとそれで飯食っている人だらけだし、ボカロ曲と普通のJ POPの垣根が無くなってきている気がしますね。ボカロPが書いたボカロが歌っている曲だとしても、昔からあるJ POPに似ているような曲も多いし、曲自体のクオリティが上がっている感じがします。

■今はボカロPがしゅーずさんのような歌い手の方に曲を提供することも増えましたが、そもそも10年前のボカロPは作曲家じゃなかったですもんね。初音ミクに歌わせたいがために作っているみたいな感じで。

しゅーず そうそう、音もすごくチープだったし。今はボカロPとかもめっちゃテレビに出ていますもんね。テレビに出る人が増えたきっかけはハチさんだと思います。米津玄師さんとして出た時は、歌い手界隈も結構ざわついて。「あれ、ハチさんだよね?」みたいな。でも別に「この人はボカロを捨てたんだ」みたいに思うことはないし、活躍の場が変わっただけなのかっていう感じでした。

■「ボカロが軸です、音楽を始めたきっかけです」って公言する人も今は増えましたからね。ボカロPでもそうじゃなくてもいいんですけど、今後この人の曲を歌ってみたいとかってありますか?

しゅーず どうなんですかね。「私なんかが……」って思っちゃいますね。(笑) 「書いていただけるんですか?」っていう。死ぬまでには自分がすごく好きなアーティストさんに関われるような形で何かご一緒できたら悔いはないですけどね。

■今後こういう風にやっていきたいという目標などはありますか?

しゅーず 今は既にライブが決まっているので、そこに向けて頑張りたいなっていうのと、できるだけみんなに「最近見ないけど、死んだな」って思われないようにしたいので、活動はちゃんとしていこうかなっていう。(笑) 僕は歌い手一本でやっているわけではないので、いろいろ揺らいで「本業でやっている仕事を辞めてこっち一本でやろうか」って考えることももちろんあるし、「こっちをやめて本業だけでやろう」って思うこともあるんですけど、なんだかんだバランスを取りながら10何年やってきたので、2022年も「毎月絶対頑張るぞ!」とかじゃなくて、叩いたらちゃんと返事するくらいの感じで活動したいなとは思っています。っていうくらいのゆるいテンションですけど。(笑)

■では最後に読者の方たちにメッセージをお願いします。

しゅーず 「しゅーずって何?誰?」っていう人も読んでくださっていると思うので、もし「面白そうやんけ」って聴いてくださる方がいたら嬉しいです。応援してくれている人たちに対しては、これからもじりじりと頑張りたいと思うので、コバンザメみたいにくっついて依存してくださいとは言わないので、お手すきの時にでも聴いてください。ゆるいテンションで頑張りたいと思います。

Interview & Text:村上麗奈

PROFILE
2009年、ニコニコ動画に“歌ってみた”動画を投稿し、歌い手として活動を開始。艶のある低音の効いた歌声とアーバンでおしゃれな雰囲気を武器に多くのリスナーを獲得している。2015年11月に1st アルバム『ShooseBox』でCD デビュー。2021年3月には人気楽曲プロデューサー「みきとP」や「Ayase」による提供曲など全曲書き下ろし、そしてしゅーず初の作詞・作曲楽曲を収録した4thアルバム『Velvet Night』をリリース。国内外に多くのファンを持ち2019年10月には活動10周年の集大成として、Zepp Tokyoにてワンマンライブを開催するなど、精力的にライブ活動も行っている。2022年1月に自身初シングル『Night Wander』をリリース、3月にはZepp DiverCity にてワンマンライブを開催予定。
https://shoose.extsm.com/

RELEASE
『Night Wander』

初回生産限定盤(CD+DVD)
PCCA-06097
¥1,870(tax in)

通常盤(CD)
PCCA-06098
¥1,320(tax in)

XYZP 盤(CD+DVD+写真集)
SCCA-00127
¥3,300(tax in)

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