Wienners VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

玉屋2060%(Vo&Gt)、アサミサエ(Vo&Key&Sampler)、∴560∵(Ba&Cho) 

『TOKYO HOLI』を聴いてもらえたら、別の感情が動くと思うのでぜひ聴いてみてください。

Wiennersが9月18日にニューシングル『TOKYO HOLI』をリリース。表題曲の“TOKYO HOLI”は、玉屋2060%ワールド全開のWienners流インドミュージックで、玉屋が実際にインドへ渡り、現地で体験した春の収穫祭「ホーリー祭」にインスパイアされ、Wiennersらしい楽曲に落とし込んだトランス&パーティーチューン。カップリングの“おどれおんどれ”は、ハイテンポかつスリリングなブレイクビートが体を揺らす、ライブで盛り上がること間違いなしのエネルギーMAXのダンスナンバーとなっている。今回はメンバーに楽曲制作やMV撮影について、今作を引っ提げての東阪クアトロ2マンライブに向けての意気込みなど、いろいろと話を訊いた。

■最近みなさんがハマってるものや、気になっているものがあったら教えてください。

玉屋 最近漫画にハマっていまして、この歳になってやっと漫画の読み方がわかったような気がするんです。(笑) 物語の楽しみ方がよりわかるようになったというか、漫画がすごく面白くて、すごく入ってくるんですよ。それですごく感動するんです。なので、今まで家にあって1回しか読んでいなかったり、買って読みかけだった漫画を全部読み返したんです。それでさらに新しく気になる漫画も注文したので、今届くのを楽しみにしています。

■でも単行本だと部屋を圧迫していきませんか?スマホのアプリで読むのはどうですか?

玉屋 スマホでも試してみたんですけど、なんかちょっと違うんですよね。やっぱり紙じゃないとね。

アサミサエ 私は最近韓国にハマっています。韓国アイドルも好きで、TWICEをよく聴いています。今まではなんか遠い存在すぎて追う感覚がなくて、そんなに興味がなかったんですけど、好きになり始めたら「沼る」という感覚がわかってきて、今はめっちゃハマってしまいました。

∴560∵ 僕は最近は身体作りにハマっていて、初めはライブに向けての体力づくりで始めたんですけど、やっているうちに身体自体に興味が湧いてきて、筋トレもするようになって、食事も気にするようになり、鶏肉でタンパク質を摂ったりとかもしています。ちゃんと運動をしてからご飯を食べるようにしたりとか。それで体重も少し落ちてきて、体つきも変わってきたのを見て、さらにハマってきています。(笑)

■ちゃんと結果が見えてくると楽しいですよね。前回、O-Westでの『何様大行進2024』のツアーファイナル公演をライブレポートさせてもらいましたが、あの時のライブの感想はいかがですか?

玉屋 ここ1、2年、なんかフロアの熱気がだんだんと上がってきていて、「こんなに熱気が出るようになったんだなぁ」と感じましたね。しかもワンマンライブのファイナル公演だったので、「どんな感じになるんだろう?」とは思っていましたけど、すごい熱気でびっくりしました。届いてほしい形でちゃんと届いている感じがして、すごく嬉しかったですね。

■自ら客席に飛び込んで熱気を体感していましたもんね。(笑)

玉屋 そうそう!「俺もそっちに行きたいな」と思ってね。(笑)

アサミサエ 確かにフロアの感じがすごかった!私たちもだんだんとフロアとのコミュニケーションの取り方がわかってきたというか、より密な感じでできるようにもなってきたし、いい意味で砕けた感じの姿を見せられるようになってきた気がします。すごくみんなで一丸となってライブを作れている感じがあります。

∴560∵ 僕も届き始めているのを感じるというか、今までは見なかったような事だったり、人だったりがいて、「こういう人たちがWiennersのライブにも来てくれるようになったんだな」と感じましたし、そういうので広がりというか、もっと遠くまで届いているのを実感しました。

■この夏はフェスや対バンイベントなどへの出演も数多くあったと思いますが、特に印象に残っているライブやエピソードはありますか?

玉屋 どの対バンも印象的ではあったんですけど、ついこの前、8月31日に新宿LOFTでやった「FREAKY & GROOVY PARTY」という、同じ事務所のバンドが多数出演したイベントがあったんですけど、そのイベントでトリを務めさせていただいたんです。そういうのも久しぶりだったので、「懐かしいな、この感じ」というのもあって、最初から全部のバンドのパフォーマンスを見たんですよ。本当は出番は最後だし、「途中からの参加でもいいかな?」とも思ったんですけど、「このイベントで一番いいライブをするには、全部のライブを見て、空気を見て、刺激をもらってからじゃないとダメだな」と思ったんです。多少のプレッシャーはありましたけど、最後を締めるという役割を、ちゃんとみんなのバイブスをもらってきっちりとやれたというのが、感動できて本当に良かったです。ちゃんと堂々としたライブができて安心しました。(笑)

アサミサエ 最近は夏というのもあって、どこも暑すぎてヤバイです。(笑) この前、9月3日に池袋でやった「十七代目梅雨将軍」というlocofrankとの2マンライブがあったんですけど、お客さんとの距離感も近いし、会場もめっちゃ暑かったんですけど、私はやっぱりこういう揉みくちゃになっているライブハウスと、そこに来ている人たちを見るのがすごく好きなんだなと気づきました。(笑) どこのライブも楽しいんですけど、「こんなにライブハウスにエネルギーを詰め込めるんだ、この小さな空間に溢れんばかりのエネルギーがヤバイ!」と感じられるのって、普通に生きていたらなかなか体験できないので。絶対にコンビニとかでは買えない感じがグッときますね。

∴560∵ 最近はいろいろな会場でライブをやるんですが、かなり狭いライブハウスもあったり、名古屋のZepp公演があったり、野外でやったイベントがあったりと、広さもいろいろな場所がありましたけど、狭いライブハウスで密度がギュッとしたライブは、元々そういったところで育って来たから慣れているんですけど、野外でのライブは人も多くて場所も広いから、より自由度が高いし、遠くでのんびり見ている人もいたり、最前で盛り上がってくれている人がいたり、いろいろな楽しみ方ができるというのが面白さだなと思うんですけど、Wiennersとして演奏している僕らとしては、いろいろな自分たちの見せ方が、対バン相手だったり、会場だったり、環境なんかに合わせて、その都度いろいろとやり方を選んだり、イメージしながら演奏したりと、前に比べてよりできるようになってきたと感じています。自分たちをより良く見せられるようになったというか、自分たちをちゃんと使いこなせるようになったという感覚が近いのかもしれないです。「自分たちはもっともっとできるんだ」というのを感じられるので、それが最近のライブでの楽しみになってきています。

■確かに会場の広さや環境によって臨機応変に対応して、より良いライブができるのは強みですよね。

玉屋 それこそ最近は自分たちのことがよくわかってきて、今二人が言っていましたけど、フロアとのコミュニケーション能力が高くなってきているからこそ、いろいろな自分たちの出し方ができるようになってきたんだと思います。そしてそれをちゃんと楽しめるようになってきたんだと思います。昔だったら「こういう場所だからこうやって演奏しよう」とか、「ちょっとアウェイだからこうやって臨もう」みたいなことは考えられなかったし、プレッシャーになって「怖い」という感覚になってしまっていたと思います。僕らのやりたいことの軸があったとして、昔は「その軸をどう寄せていくか」みたいなことしかできなかったけど、今はちゃんとした軸があって、それを中心にどう説明していけばいいのかを考えられるようになったので、ちゃんと自分たちもライブを楽しめるし、入り込めるようになってきたんだと思います。

■では、今作の『TOKYO HOLI』についてお話を聞かせてください。前作の『何様のラプソディ』の取材の時に、昔あったライブイベントの『TOKYO HOLI』を復活させたというお話をお伺いしましたが、そのイベント直後に玉屋さんはインドに渡って、本場のホーリー祭に10年振りにまた参加されたとのことでしたが、この“TOKYO HOLI”という曲を作ろうと思ったタイミングはいつ頃だったんですか?

玉屋 僕がインドに行った時に、なにかしらの手土産は持って帰ろうと思ってはいたんですけど、面白いもので、インドに行くと思考の癖みたいなのが全く変わるんです。食べ物とか、耳に入ってくるものとかが違うので、無意識なんですけど、「いつもだったらこう考えるけど、今はいつもの手癖みたいなのとは違うところで考えているな」というのがあって。だから、ここだったら曲がパッとできるかもしれないと思って、思いついたものをいろいろとバーッとメモしておいて、東京に戻ってきてから形にしていったんです。別に「ここまでを次の作品で」とかは思っていなかったんですけど、思った以上には作れたので、「これは鮮度が高いうちがいい」ということですぐに新曲を作りました。

■“TOKYO HOLI”は、まさにWiennersらしさ全開なんですけど、展開とかはすごく新しい感じもあって、めっちゃ良い曲ですよね。この曲はどんなイメージで作っていった感じですか?

玉屋 この曲はインドの「ホーリー祭」の、現地の「ワーッ‼」という歓喜を表現したくて。でも神々しすぎる感じではなくて、インドのヒンドゥー教の神様って、めっちゃカジュアルなんですよ。(笑) ヴィシュヌとか、ドゥルガーとか、シヴァとか、とにかくたくさんの神様がいるんですけど、みんな「お前はどれが好きなの?」、「俺はドゥルガー」、「えっ!マジ?俺も同じ!Yeah!」みたいな、本当にそんな感じなんですよ。(笑) その落差がすごく面白いなと思って。元々「ホーリー祭」は神聖な収穫祭で、祭の前日には迎え火みたいなのを焚いて祈ったりもするんですけど、「ホーリー祭」当日になったら、みんな色が付いた粉を撒き散らしてはしゃぎまくって、写真を撮って、それをインスタにアップしていたりして。でもその横では祈っている人がいたり、死体を焼いていたり、そのどさくさに紛れてスリで盗みをやっているやつもいたりして、なんかそのミソもクソも一緒の感じが衝撃的で。(笑) 「全部が一緒になって生きるエネルギー」みたいなものを感じたんです。「それを音にしてみたらどうなるんだろう?」というイメージでこの曲は作りました。

■なるほど。お二人はこの曲を初めて聴いた時の感想はいかがでしたか?

アサミサエ もう「インドってこういう感じなんだ?!絶対に行きたくない!」と思いました。(笑) 私は本当に怪我とか病気が大嫌いなんです。お腹を壊すって聞いて……。なので、お腹を壊さずにインドを楽しむ方法は、「この“TOKYO HOLI”を聴くこと」っていうくらいインドが詰まっているなと思いました。(笑) めちゃくちゃインド要素が満載なので。

∴560∵ 僕はインドがどうとか、そんなことはあまり考えませんでしたね。(笑) まぁ「玉屋がインドから帰ってきて作ったよ」ということだったけど、バンドの新しい曲という感じで聴いたので、シンプルにめちゃくちゃカッコいい曲だなと思いましたね。途中でトランスみたいになるパートがあるんですけど、そこは最初に聴いた段階ではワンコーラスだけだったのでなかったんですけど、僕はインドのゴア地方のゴアトランスが好きだったので、「その後に4つ打ちのゴアトランスみたいなパートを入れたい」と玉屋に提案して。全体的に明るい曲なんですけど、あそこだけ怪しげなパートになっていて。それによってインドのただならぬ空気感みたいなのを出せたらいいなと思って。結果ハッピーなだけではない曲に仕上がったので、すごく嬉しかったし、いい曲になりましたね。

玉屋 そのトランスパートは僕も考えていなかったので、∴560∵から提案してもらって、僕もゴアトランスが好きだったし、「なるほどね!ついにあれをやれる時が来たんだ!」と、嬉しくなりました。(笑) その後の展開も凝っていて、1回目のサビは一回しめが4つ打ちで、その後は2ビートになっているんですけど、2サビになると、それが逆になっているんです。そこも最初は同じにしていてなんかしっくり来ていなかったんですけど、∴560∵に「逆にしてみたら?」と言われて、「その手があったか!」という感じで、こうなりました。(笑)

■ちなみに玉屋さんは前作の歌詞を作る話の時に「自分たちは何かを言いたいから曲を作るんじゃなくて、その曲をより強くするために自分のストックの中の思っていることを当てはめるっていう順序なんです」とおっしゃっていましたが、今回の“TOKYO HOLI”も曲先行で音に合う言葉をハメて歌詞を作っていった感じですか?

玉屋 そうですね。でも今回のこの歌詞には、見てほしい景色みたいなものが確実にあって。それは「すべてが一緒になっている」という事と、「生きるエネルギー」なんです。インドには旅行しているだけでは絶対に見えない貧困の大変さがあって、そういうのもが神羅万象すべてが渦を巻いて「ウワーッ」となっているけど、「ホーリー祭」では、憂さ晴らしのようにみんなで騒ぐんです。だからサビでは憂さ晴らしのように騒ぐ様を描きました。「なにもかも忘れてミソもクソも全部一緒で」みたいな感じを表現しました。あとはAメロの「目赤い 手垢に気高い数多の不浄 汚物」のところはガンジス川を描いていて。ガンジス川にはもうすぐ死を待つおじいちゃんが座っていたりするんですよ。その悲しさと誇り高さを表現したくて。その次の「えがらい 咳払いしても 絡むカルマども 深い業」のところも、汚く大気汚染されている空気もそうだし、ホーリーの粉が舞ってすごいことになっているのもそうだし、吸っちゃいけない葉っぱを吸っている人たちもそうだし、いくら咳払いしても取れないカルマみたいなのを背負って生きているというのを描いているんです。でもそういうシリアスな面だけで終わらせたくないので、サビでは憂さ晴らしみたいな感じをハッピーにやりたいというのがありました。バランス的にはすごく見てきた光景を上手く言葉にできていて、ちゃんと落とし込めたなと思います。

■アサミサエさんはこの歌詞を歌ってみていかがでしたか?

アサミサエ そうですね……。ほぼほぼ意味わかんないですよね。(笑) でも“恋のバングラビート”の歌詞も全然意味がわからなかったんですけど、最近めっちゃ面白い歌詞だったという事に気がついたんです。(笑) ずっと何を言っているのかわからなかったけど、それをあっけらかんと歌うのが私の役割なので。(笑) 今回も私はインドがよくわからないから、そういう感じで歌っているのがいいのかな?でもカルマとかを背負っているというのがあるので、ただ明るいだけじゃない感じも出せたらいいなと思って歌いました。でも何を言っているかはよくわからないので、きっと2、3年後にその意味に気がつくのかなぁ?(笑) それか死ぬ直前にやっと意味がわかるのかも。(笑)

玉屋 最近“恋のバングラビート”を歌う時に笑うようになったもんね。歌詞の意味がわかって笑っちゃっているのね。(笑)

■これから“TOKYO HOLI”を歌っていくのが楽しみですね。(笑) それこそ2曲目の“おどれおんどれ”は、音先行でそれに当てはまる歌詞をつけていった感じですか?サビが「意味ないっす」「内容ないっす」ですもんね。(笑)

玉屋 これはまさにそうです。マジでなんも意味ないです。(笑) 最近、前作の『何様のラプソディ』の時から、「カップリング曲には打ち込みの曲を入れよう」というのがあって、デモの段階からメンバーと、「どういったトラックでやろうか?」みたいな話をしながら、いろいろな曲を聴いて、トラックをまず作ってから歌を入れていったんです。

アサミサエ 「ファンキーなビートだけど、もっとロックで尖った感じのコード感の曲にしたい」みたいな話をした気がします。「オシャレ過ぎなくて、ダルさがあるみたいな感じ」とかも言ったと思います。そんな曲があってもいいかな、という提案をしました。