ウォルピスカーター VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■“漂泊”の作詞はウォルピスカーターさんが担当されていますが、所々神谷さんっぽさを感じる歌詞だなと感じました。それは意図的だったのでしょうか?

ウォルピスカーター そうですね。神谷の曲なので、神谷志龍を知っている人が、「ちょっとインスパイアされているのかな」くらいの肌感で受け取ってもらえるような歌詞を書きました。

■“オイルライター”については、SNSで「大人っぽい歌詞を書こうと思ったら虚無の日になった」といったことを書かれてましたが、具体的にはどんなイメージで書いた歌詞なのでしょうか?

ウォルピスカーター 最初にタバコの歌詞を書こうと思って、他の方が書いているタバコにまつわる歌詞をいろいろと見ていたんですけど、意外なことに年齢層がすごく二極化しているんですよね。「背伸びして吸ったらすごく苦くて」みたいな若い頃の過ちの歌詞か、「ウイスキーの氷を指で転がしながら」みたいな50代の哀愁みたいな歌詞しかなくて、30代付近がごっそりなかったんです。じゃあ20代後半から30代前半くらいの煙草の歌詞を書こうと思って書いていたら、僕がちょうど29歳なので、だんだんと自分ぽくなってきちゃって。じゃあもう虚無の日で書こう、みたいな。仕事も何もない、ただ1日何もしなかった日のことを思いきり綺麗に書いてみたらどうなるかな?と思って書きました。

■今作のアルバムのオリジナル曲の中で、バラード枠を“オイルライター”が担っていると感じました。レコーディングはいかがでしたか?

ウォルピスカーター バラードは歌詞を書くのも、それをどういう風に歌に乗せていくかというのも難しかったですね。歌詞だけじゃなく、歌声にもストーリー性が必要になってくると思うので、書いてみて歌ってみて、「ちょっと違うな」みたいな部分を直したりもして。そういう調整もあって、非常に難しかったですね。

■“レインコート”は芥田レンリさんからの提供曲ですが、芥田さんを起用した理由というと?

ウォルピスカーター 僕が芥田さんの楽曲の歌ってみたを投稿したのがきっかけで知り合いになって。僕はすごく芥田さんの楽曲が好きなので、一緒にやりたいと思ってお声がけさせていただきました。制作期間の中でも早い段階で曲をいただいたんですけど、『余罪』をどう解釈したのかという文章まで送ってきてくれたんです。

■ちなみにそれはどういった内容だったんですか?

ウォルピスカーター あまり言いすぎるのもよくないと思うんですけど、この曲は動画とセットで暗号が仕込んであるんですよ。それを全部解読できると、この歌詞と“レインコート”の意味が全部わかるっていう風になっていて。でも絶対に解けないと思いますけどね、僕は。暗号の解き方の手引書みたいなPDFをもらったんですけど、読んでも難しかったですからね。

■“レインコート”も、針原さんの“サル”同様、芥田さんに作詞までお願いした形なんですね。

ウォルピスカーター そうですね。芥田さんは歌詞がすごく荒々しくて、言葉の使い方で若さと大人の中間くらいのニュアンスを刺々しく出せる人だと思っているんです。それができる人は僕が知っている人の中には中々いなかったので、ぜひ書いてくださいとお願いしました。曲もすごく高くて、遠慮がなくてすごく良かったです。(笑)

■“おくりうた”は、作詞・作曲がx0o0x_さん、ボーカルは超学生さんとのコラボとなっていますが、この3人の組み合わせはどのように出来上がったのでしょうか。

ウォルピスカーター 元々x0o0x_さんと僕は結構仲が良くて、「今度アルバムを出すんだけど、曲書いてくれない?」とお話したら、快く受けてくれました。あとはアルバムの打ち合わせの中で「ゲストを呼びたいね」という話になって以前、歌ってみたのコラボにお誘いいただいたこともあったので、「超学生」さんにオファーさせていただきました。そうして集まった3人です。

■そうだったんですね。ウォルピスカーターさんの高音の特徴と、超学生さんの低音の特徴がそれぞれ活かされている楽曲に仕上がっていますね。

ウォルピスカーター でも難しかったですね。超学生さんの声が低いというのもありますけど、すごく歌が上手で、クセが強い歌い方をされるんですよね。その癖がすごくいい部分なんですけど、一緒に歌った時に僕の癖とかち合っちゃう部分がいくつかあったので、その調整をしつつ、超学生さんの良さを消さないようにしていました。かつ、僕のアルバムなので、僕がきちんとメインとしてやっていかないといけないなっていう。それもいろいろ試しながら録っていきました。

■今回オリジナルアルバムとしては4年ぶりですが、その4年の期間や、あるいは活動をはじめてから今までで、歌に対する向き合い方やモチベーションの変化などはあるのでしょうか?

ウォルピスカーター 歌に関してはどうなんだろうな……。僕はあまり自分で「歌を歌っている」とは言わないんです。「録音している」と言うことが多くて。歌を歌うというのは、1曲丸々歌って、はじめて歌になるじゃないですか。僕がしているのはレコーディングなんですよ。ワンフレーズをちょっと歌ったからって、「それは歌なのか」と言われれば、歌ではない。口ずさんでいるくらいの長さなので。でも録音という点で言えば、年を重ねて身体との付き合い方というか、身体を壊さないように長く録音するにはどうしたらいいのかという考えにはなってきていますね。どちらかというと、ボイストレーニング的な要素が強いのかなと思います。

■自分の歌声だけで勝負するというよりは、先程おっしゃったような回復魔法の使い方や使える回数、自分の身体との付き合い方、使う機材などを含めた上での録音物といった感覚なのでしょうか

ウォルピスカーター そうですね。歌を歌っているというよりも、録音したものをリリースしている。パズルを作って提出してるみたいな感じですね。

■活動をはじめた当初から、そういった考えはあったのでしょうか?

ウォルピスカーター いや、当初はそんなことはなかったと思います。それこそ始めたばかりの頃とかは、ライブにも出ていたので、録音とライブ、生歌とレコーディングの違いについてもあまり考えてはいなかったと思います。でもライブをやり始めてから、レコーディングとライブでは全然違う、レコーディングの方が好きだなと気付いて。それで今に至りますね。

■今回のアルバム制作期間や、できあがった楽曲を振り返ってみて、今作はどんなアルバムになったと感じていますか?

ウォルピスカーター ジャケットのホラーシュール感からは到底想像ができない、シリアスなアルバムになったと思います。「コミック寄りなのかな?」と思わせつつ、真剣っていう。ギャップが上手く出せた1枚だったと思います。

■改めて収録曲の一覧を見ると、仄暗いラインナップの中に、アニメタイアップ曲とはいえNeruさん作詞・作曲の”ラディーチェ”が入っているのが強烈な差し色だなと思います。

ウォルピスカーター そうなんですよ。“ラディーチェ”をどう入れようかというのは、全曲揃ってから「しまった」と思って。でもいろいろ考えた結果、”ラディーチェ”をこのアルバムの中ですごく立たせることができたと思います。印象に残りやすい曲順に置くことができたのでよかったです。(笑)

Interview & Text:村上麗奈

PROFILE
男性歌い手。“高音出したい系男子”の異名を持ち、歌声の音域は3.5オクターブというトレードマークのハイトーンボイスを武器にリスナーを魅了し続けている。実直な”高音”へのこだわりを掲げる「ウォルピス社」社長でもある。歌唱動画の累計総再生数は4億回(現在)を超える。2015年に投稿した“アスノヨゾラ哨戒班”(読み:しょうかいはん)は、1,700万再生を記録。ニコニコ動画での歌ってみたカテゴリーにて不動の歴代1位の動画となっている。代表曲“泥中に咲く”は9000万回再生を突破。
Official HP:http://wolpiscarter.com/
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YouTube:https://www.youtube.com/c/wolpiscarter
Streaming & Download:https://nippon-columbia.lnk.to/WolpisCarter
ウォルピスカーター『余罪』特設サイト:https://columbia.jp/WolpisCarter_yozai/

RELEASE
『余罪』

通常盤(CD)
COCP-42246
¥3,080(tax in)
https://wolpis.lnk.to/yozai

日本コロムビア
4月10日 ON SALE

EVENT
ウォルピスカーター『余罪』リリース記念イベント(サイン会)
・2024年4月13日(土) 福岡・HMV&BOOKS HAKATA
CDジャケットサイン会 ※予約者先着※
10:45 / 11:00
・2024年4月13日(土) 大阪・アニメイト大阪日本橋
CDジャケットサイン会 ※予約者先着※
18:00 / 18:30
・2024年4月14日(日) 愛知・アニメイト名古屋
CDジャケットサイン会 ※予約者先着※
<1部>11:30 / 12:00
<2部>13:00 / 13:30
・2024年4月14日(日) 東京・タワーレコード池袋店
CDジャケットサイン会 ※予約者先着※
18:20 / 18:30
インストアイベント参加方法:https://columbia.jp/WolpisCarter_yozai/