樋口侑希(Vo&Gt)、マツムラユウスケ(Gt&Cho)、黒野滉大(Ba)、安田吉希(Dr&Cho)
「いまのこの4人をすぐにでも見せたかった」
――“ヒカリナキセカイ”から見えた光と救われたそれぞれの想い
今年6月、ギターにマツムラユウスケを迎えたWOMCADOLEが、3rdシングル『ヒカリナキセカイ』をリリース。メンバーの脱退、そして現在のライブが出来ないという厳しい状況の中で彼らを救ったものは、まぎれもなく自身のバンドの存在だった。決して器用ではないこのバンドだからこそリアルに、そして痛いほどに胸を揺さぶる“ヒカリナキセカイ”。マツムラが加入するまでの経緯、そしてこの曲が出来るまでの過程をメンバー4人にたっぷり話してもらった。
■まずはマツムラさんの加入の経緯を教えてください。
樋口 ユウちゃんは安田と専門学校が一緒で、友だち同士で、俺も何回か飲みに行ったことはあったんですけど、安田が「めちゃめちゃいいギタリストがいるから紹介させて」ってことで、ユウちゃんが登場して。
安田 俺が猛プッシュしたんだよね。
樋口 そう。
安田 技術的にも感性的にも自分らと近いものがあるし、性格も合うやろなと。みんな同じ学年だから気も合うだろうし、ユウスケも芯のある人間やからメンバーともしっかりぶつかっていけると思って、「ちょっと1回しゃべってみてや」って、メンバーに紹介したのが始まりです。
■黒野さんは面識はあったんですか?
黒野 俺は会ったことはなかったけど、ライブは観たことあったんです。観に行ったライブでユウスケが弾いていて、そのときはユウスケって知らんかったんですけど、安田から紹介されたときに、「あ、あのギターのヤツか、あのやばかったヤツか」って。(笑) で、実際会ったらパフォーマンス通りのヤツだなって。
安田 あはははは、どんなヤツや。
黒野 ライブ観た時すごくいい印象で、実際会って話したら初めてな感じが全然しなくて、めっちゃ話しやすかったんですよ。やっぱり同い年っていうのがでかいのかな?
マツムラ だと思う。俺、ほんまは人見知りやから。
■そうなんですね。
マツムラ はい。
黒野 安田っていうパイプもあったからな。
マツムラ 僕は同い年っていうのがでかかったからか、最初からタメ口ですぐに打ち解けられたし、そこで音楽以外のいらん心配はすぐなくなりましたね。樋口は……どうやろうな?(笑)
樋口 トラウマちゃうん?
マツムラ あー、そうそう、ほんまの初っ端は、ウイスキーがトラウマになって飲めなくなりました、彼のせいで。
■いっぱい飲まされたとか?
マツムラ 飲まされたというか、そういう感じになってしまったというか、楽しくなってもうて……だからあんまり覚えてないんですよ。でもそうなってからは樋口がいちばん気ぃ合うんじゃないかって感じです。
樋口 ユウちゃんはね、ちゃんとキモい成分も持っているんですよ、マインドとして。いくところまでいったときの距離感が俺と似てる。
安田 ボーダーを越えたところってことね。
樋口 そうそう。
■あははは、なかなかいないですからね。
黒野 キモさが合う人はね。(笑) すごかったですもん、初めてじっくり飲んだときかな、最終的にお互い肩組みながら、こっち(樋口)は泣いてるし、こっち(マツムラ)はめっちゃテンション高いし。
樋口 助けを求める感じの涙だったんですよ。「俺はこれからどうしたらいいん?ウォンカはどうなってまうん?」って。
安田 ほんまにそうやったな。
樋口 いきなり泣きながらユウちゃんに肩組んでしゃべっていたんで、もうほんま情緒がおかしい。(笑)
■正式に加入が決まったのは?
安田 前のギターともいろいろ話す中で、「お互い違う道を行こう」ってなって、すぐだったかな。サポートでっていう話もあったんですけど、そこは樋口が「もう一緒にやろう」って。
樋口 サポートメンバーというより、ウォンカとして一緒にやりたかったから。
■一度立ち止まるとか、そういう選択はもうなかったですか?
樋口 それはもうなかったです。俺ら一度活動休止を経験しているから、絶対にそれは出来んし、やりたくなかったし、その選択肢はなかったです。
安田 僕の個人的なことを言わせてもらうと、専門学校でユウスケに会ってから、結構早い段階でお互いいいなと思っていて、「絶対いつか2人でバンドやろう、ずっと一緒に音楽やろう」って決めていたんですよ。
マツムラ それはずっと言ってたな。
安田 うん。いちばん尊敬しているギタリストやし、ずっと一緒に音楽をやりたかったから、「だったらちょっとやってみいひん?」って。2人の中ではそれが決定事項だったので、タイミングがたまたま合ったというか、それが今だったんだなって、そういう感じですね。
■マツムラさんは誘われたときの気持ちというのは?
マツムラ 僕はWOMCADOLEを知る前に安田吉希を知ったので、僕が言う、「一緒に音楽をやろう」っていうのは、正直WOMCADOLEじゃなくても良かったんです。ただ、それがたまたまWOMCADOLEだったっていう。でも今はWOMCADOLEで良かったなって思います。安田と一緒にやる音楽がWOMCADOLEで、そのWOMCADOLEに入れて、ほんまに良かったなって。
■安田さんとマツムラさんの絆がまずは強かったんですね。
マツムラ 知り合えて良かったなってほんま思いますもん。
安田 一緒に住んでるんですよ。俺がメシ作って、ユウスケが皿を洗ってくれる、みたいな。(笑) だから普通に人として好きなんですよね。毎晩ほぼ一緒に飲んでるし、趣味もほぼ一緒やもんな。
マツムラ 尊敬し合っているから、片方の趣味にもう片方が足突っ込んでいくっていうね。
安田 どんどんズブズブになっていく。(笑)
■相手の好きなものは好きになるし、自分の好きなものは教えたい、みたいな?
マツムラ そうそう!いい曲とか見つけたら教えたくてしゃあないんですよ。「この曲聴いて!」って。そういうところがお互いにあるので、聴く音楽もどんどん同じになっていきますね。
安田 音楽的に技術もすごいし、感性も近いし、尊敬しているし、それはもちろんメンバー各々に対しても同じなんですけど、それが曲作りにもちゃんと表れているというか、もともとのWOMCADOLEの感じもありつつ、ユウスケが入ってくれたことによって変わった部分もあるんです。例えば「ここはこういう感じでどう?」とか、「ここはもうちょっと冒険したり、攻めたりした方がいいんじゃない?」って、言ってくれるから気づくことも多いし、そういう仲の良さや尊敬しあう関係性みたいなところが制作にも表れていると思います。
■マツムラさんが加入することによっていい変化があったと?
樋口 俺は遊びが好きで、ユウちゃんはめっちゃセッションが好きなんで、俺の中ではそれが今すごく救いで、俺自身すごく軽くなりましたね。
黒野 俺は、今までベースラインを作るときはメロディを聴いて作っていたんですけど、ユウスケが入ってからはギターも聴くようになりましたね。ユウスケのギターを聴いていたら自分の中から出てくるものがめっちゃあるんですよ。今回の曲でも、めっちゃカッコいいコード弾いているから、じゃあユニゾンしちゃおうとか、すごくいい刺激をもたらしてくれて、「引き出し増やさせていただいてありがとうございます」って感じです。(笑)