UNCHAIN VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

UNCHAIN『Animal Effect』

■3人時代はアニマルだったんですか?

谷川 何も知らないくて、ただ掻き鳴らしていた感じだから。新しいバンドを組んだような気持ちでやろうと。

■そうなると出てくる楽曲も変わってきますか?

谷川 曲もそうですけど、歌詞に出ますよね。アニマルと付けたから、やはり動物が出てきますね。(笑) 吉田くんが曲と歌詞を書いてくれた“Roar”もまさにそんな感じで。アルバムのテーマっぽい感じになっているから。

吉田 歌詞はアルバム名にめちゃくちゃ寄せました。

谷川 はははは。

■「雄叫びをあげるよ 何度でも何度でも 生きてきた証を証明するように」(“Roar”)の歌詞も力強くて。

吉田 自分のことも言っているし、今の世界のことも言っています。

谷川 今はなかなか叫べないですからね。

■ああ、なるほど。“Elephant Ship”、“Wait For The Sun”の2曲は、BRADIOの真行寺貴秋さん、中ノ森文子さんがコーラスで参加していますね。

谷川 コーラスはいろんな人に頼むことも多くて。この3人になったタイミングで、同じく3人になったBRADIOなら気持ちをわかってくれるだろうと。(笑) BRADIOとの出会いは10年前になりますけど、一緒にライブをやった時に俺らのやりたいことを全部やられちゃった感もあり…向こうもUNCHAINのことを好きでいてくれるので、今回参加してもらいました。

■“Elephant Ship”はゴスペル調の明るいサウンドで、今作のオープニングにぴったりの楽曲ですね。

谷川 大昔に木造で船を作られた、雷に打たれても沈まなかったと言われている伝説の船があったんですよ。それに“エレファント”という動物の名前も入っているから、使おうと。25年間沈まなかったUNCHAINの新たなスタートになればいいなと思って。

■あと、個人的には“Not Too Late”が好きで、この曲にはBRADIOの大山聡一さんがギターで参加しています。でもこれは従来のUNCHAINらしい曲調だなと。

谷川 僕もこの曲は気に入っています。前作収録の“Lyibyan Glass”の雰囲気に繋がるイメージで作りました。

■変わらない自分たちらしさも入れようと?

谷川 そこはそうなっちゃうんですよね。ジャズにしたくても、ジャズにならないところに落ち着いちゃう。それが僕たちロックバンドっぽいのかなと。自分たちができることをガムシャラにやって、結果残ったものが自分たちらしさじゃないかなと。実は“Never Too Late”という曲を2011年に出しているんですよ。まだ遅くない、俺たちはここから行くんだと。それをまた2021年に歌うのもいいなと思って。

■自分たちの意志は変わっていないぞと。“Dark Horse”に関しては初の英語詞ラップに挑戦しています。これは谷さんですか?

 はい。僕がラップしました。

谷川 今回のキーパーソンは谷くんですね。佐藤が抜けて、穴をどう埋めるかよりも、この3人で何ができるかなと。谷くんのポテンシャルを引き出したかったんです。今までもラップっぽいことはやっていたけど、クスクスしちゃう感じというか、三の線でしたからね。今回は普通にカッコいいところまで行けたんじゃないかと。

■ごめんなさい、僕はクスクスしました。(笑)

全員 ははははは。

吉田 多分、そういうことっすね!(笑)

 それがアクセントですね。

吉田 3人時代は結構(谷は)歌っていたし、それが好きなので僕は嬉しいですね。

谷川 3人時代の谷くんは歌っていましたけど、シェッシェッって吐息しか聴こえなかったんです。(笑) それをイジッていた奴らにもぜひ聴いて欲しいですね。

■このラップは誰をイメージしたんですか?

 マック・ミラーです。2018年に亡くなったんですけど、ダウナーというか、チル系で気怠い感じで歌うんです。それっぽくやってみました。

谷川 それはちょっとわからなかったですけどね。(笑)

 この曲も結成当時を思い出して書いたんですよ。今は離れている幼なじみだったり、バンドの過去を振り返ったりして。僕が書いた歌詞は“Wait For The Sun”と“Dark Horse”なんですけど、どちらも似たテーマですね。自分たちをダークホースに例えて、大穴だけど、まだまだ行くぜって。そしたらアルバム名にも引っかかるかなと。

■“Touch My Soul”は竹内アンナさんが作詞とコーラスで参加していますね。

谷川 アンナさんは僕がサポートもやらせていただいて、プロデューサーの方が昔UNCHAINもやってくれていた人なんです。アンナさんはこの春に大学を卒業したばかりで、本当に20歳とは思えないくらいすごいアーティストで。今回は力を貸してもらえないかと思い、オファーさせてもらいました。

■華やかな曲調ですよね。吉田さんは紙資料の解説コメントで「POPというものにたどり着けた気がします」と書いていましたが、これは?

吉田 今までやってきた中で一番ポップな曲かなと。

谷川 自分たちだけだとここまで突き抜けられないからね。ほんと歌詞の力も大きいと思います。過去に鬼束ちひろさん、ねごとの蒼山幸子さんにも歌詞を書いてもらったんですけど、女性が書いた歌詞を歌うと、なぜかしっくり来ることが多くて、自分にない感覚をもらえるんですよ。男でもない、女でもない、中性的なところに行けた気がします。我がなくて、純粋に音楽へと昇華できたなと。

■今作は多彩な曲調が揃っているし、今のUNCHAINらしいミクスチャー感が出た作品だなと。

谷川 僕もいい意味で昔懐かしいミクスチャー感と、今はアナログとデジタルのハイブリッド感も気にしているので、そのバランスもいいと思います。

■だけど、基本はシンプルな楽曲が多いですよね。

谷川 そうですね。できるだけ音数を少なくして、カッコいい曲を作りたいんですよ。これでもまだ足しているなと思うけど、コードや構成はすごくシンプルですからね。いつもはコード進行をもっと凝ったりするけど、それも抑え気味にして、ギター覚えたての中学生でも弾けるフレーズもあるので、そこは一周した感じもありますね。凝ったフレーズはたまに出てくる方がアクセントになるのかなと。より曲を俯瞰で見られるようになりました。そういう考えになったのも3人になったことが大きいですね。

■バンドのこれからの予定については?

谷川 4月18日に今作のお披露目的な配信ライブをやろうと思っています。有観客のライブの予定はまだ決まっていなくて…。ライブはやりたいんですけどね。お客さんの前で曲をやることで、作品が完成するという気持ちもあるから。

吉田 あと、4人最後のライブも終わらせないといけなくて…。

谷川 「普段のライブができるようになったら…」と言っちゃっているんですよ。佐藤はそこでゲストとして呼ぶのかわからないですけど、そこは不思議な空気になるかもしれませんね。(笑)

Interview & Text:荒金良介

PROFILE
ジャズやソウルミュージック、フュージョン、更にはシティポップス的なエッセンスまでを絶妙にブレンドしたグルーヴィーなロックを鳴らす京都府出身の3ピースバンド。1996年、中学の同級生だった谷川正憲(Vo&Gt)、谷浩彰(Ba&Cho)、吉田昇吾(Dr)の3人で結成。後に1 年後輩の佐藤将文(Gt&Cho)が加入。2005年にインディーズデビューし、2枚のミニアルバムをリリース後、2007年にメジャーデビュー。谷川の圧倒的な歌唱力と確かな演奏力は、国内ロックバンド勢の中でも唯一無二の存在として独自の地位を確立している。2020年6月に佐藤将文が脱退。結成当時のオリジナルメンバーのみでリスタートを切る。2021年3月、新体制初のオリジナルアルバム『Animal Effect 』をリリース。
http://virusoul.net/unchain/

RELEASE
『Animal Effect』

CRCP-40624
¥3,300(tax in)

CROWN STONES
3月31日 ON SALE

LIVE
配信ライブ
『TRY-Angle vol.2 〜Effective Animals〜』
配信日時:2021/4/18(日)20:00 START
チケット料金:3,500円(税込)
発売期間:3/31(水)10:00~4/24(土) 21:00まで
※アーカイブ視聴期間 4/24(土) 23:59まで
チケット購入・視聴方法はこちら▼
https://eplus.jp/unchain/st/