ASCA VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

ASCA『百希夜行』

■なるほど。“命に嫌われている。”、これはカバー曲になりますね。

ASCA 「魔法科高校の劣等生」の放送が延期になってしまって、それにともなって“Howling”もリリースが延期になってしまって、その空いてしまった時間でカバー楽曲を届けようとこの曲をカバーさせていただいたので、今回アルバムにも収録しました。この曲のレコーディングも自粛明けのレコーディングだったので、3ヵ月振りとかだったから、歌う喜びを再確認できた1曲でもあるんです。この曲は暗いようにみえて、最後には「生きろ」って前向きなメッセージを歌っているので、すごく好きなんです。

■そうですよね。ちゃんと生きることが描かれています。

ASCA  映像が公開されたのが、自ら命を絶ってしまう方がいたり、世の中的にそういうタイミングだったので、「歌詞の意味とかが届きすぎてしまうのでは……」と、そういう想いはあったんですけど、「響きました」とか、「感動しました」とか、今までのコメント欄にはなかったようなワードがいっぱい出てきていたので、今の時代に歌えたことに意味があったんだなって思いました。昨年は命というものを誰もが考えた年だと思うし、私自身もすごく考えたし、だからこその“進化論”でもあるというか、この流れがあってこそ“進化論”の「生き抜く」というワードにつながっていっているので。この曲にはすごく影響を受けたし、だからこそ今回のアルバムに「生きる」とか「命」という歌詞がたくさん出てきたんだと思います。

■最後の「生きろ」がまた響きますよね。

ASCA ここで転調させるHALAminさんは天才だと思いました。

■思いました。

ASCA ちゃんと伝えたい部分、ちゃんとASCAらしい音楽で伝えて終わるっていう。だからこのアレンジを聴いた時は嬉しかったですね。この曲をちゃんと届けられるなって。

■ちゃんと届くと思います。では次は“君の街へ”。ここでやっとバラードです。

ASCA やっとですね。

■これはもうまんまASCAさんの想いが書かれているんじゃないでしょうか?

ASCA まんまです。アルバムを作っていく中で、バラードを作りたいなと思って。今回初めて作曲に挑戦したんですけど、これも2020年を生きてきて、もっと自分の言葉、歌を届けたいと思った時に、自分からしか出ないメロディもあるんじゃないかなと思って。そこからSakuさんと重永さんに力を借りて、同じ部屋にみんなで集まって、知識もないから「さて、どうやって作っていこう?」って。

■曲のイメージみたいなものはあったんですか?

ASCA バラードで、あまりメロディが変化しないようなものを歌いたいって、それは伝えていました。そしたら「ふんふん歌ってみてよ」って言われて。「ふんふん」鼻歌で歌いながら、そこにSakuさんがアコギでコードをつけていって、重永さんがピアノを弾き始めて、「うわっ、楽しい!曲ってこうやってできるんだ!」って、すごく喜びを感じました。今回は私のバンドメンバー、AS課にアレンジをしてもらっていますけど、みんな当日にアレンジを知ったんですよ。みんなで集まって、「いっせーの、せ」で録ったんです。

■楽しそ~!

ASCA もう楽しくて、楽しくて。しかもこの歌は2020年に会えなかった分、必ず会いに行くからっていう約束の歌にしたくて書いていったんですけど、AS課と行くはずだったツアーも中止になったから、この曲をAS課でやる意味もあったし、「AS課とASCAであなたの街まで歌を届けに行きます」っていう想いもあったので、彼らとやれて本当によかったなって。歌詞はカッコつけずに等身大の言葉を選ぼうってところを意識したので、全然悩まずに書けました。

■だと思いました。

ASCA 最初は長期戦になるのかなと思っていたんですけど、難しく考えるのはやめようって。さっき海外のファンの方もいるって言いましたけど、その方たちに向けても歌いたいと思ったから、サビの「同じ空を見ているから」っていうフレーズも自然と出てきたし。素直に書けたし、すごく気に入っています。

■ではラスト、“Wings to fly”です。

ASCA この曲、どうでした?

■先ほどおっしゃっていたように、ピースフルでその分すごくグッときたし、こういう終わり方、すごく好きです。

ASCA よかった!もうこれは最初から決めていたんです。もう絶対この曲でラストは締めるぞって。アルバムタイトルが『百希夜行』ですからね、希望を届けないといけないんですから。ヴォーカル何人かをお招きして、ひとりずつ歌いつないでいって、サビでみんなで歌う、そういう歌を作ろうって。そして、その曲をいちばん最後の曲にしようって。

■そうだったんですね。

ASCA はい。そのイメージが想い浮かんだ時、『Howling』に収録させていただいたGARNiDELiAさんの“grilletto”のアレンジをしていただいた、TeddyLoidさんが思い浮かんで。ぜひまた一緒に作りたいなと思っていたし、タイミング的にはすごく早かったと思うんですけど、お願いして。希望を届けることをテーマに、楽曲制作や作詞をしていただきました。

■なるほど。

ASCA 足立佳奈ちゃん、MaRuRi、mizukiさんは、普段からプライベートでも親交があって、佳奈ちゃんは高校が一緒だったり、MaRuRiはカラオケ友だちだったり、mizukiさんは澤野弘之さんのヴォーカリストなので、そこでつながりがあって。「アルバムの最後にみんなで歌いたい曲があるんです」といって声を掛けて、「こういう世の中だけど、ハッピーになれるような曲を歌いたくて、参加してくださいますか?」って言ったら、すごく喜んでくださって。「ぜひ一緒にやらせて欲しい」っておっしゃってくれて……めちゃめちゃいいのができました。

■ほんとに、めちゃめちゃいいです。

ASCA 今回、TeddyLoidさんはすごいと思ったのが、最後の落ちサビで周りの音がなくなってヴォーカルだけが入るところがあるんですけど、最初は「いっせーの、せ」でみんなで歌い始めたんですけど、ミックスが上がってきたら、最初に私の声が入ってきて、次にMaRuRi、次にmizukiさん、次に佳奈ちゃん、と入ってきて、最後のサビでみんなで「わー」って歌っていて、これってまさに「ひとりじゃない」を表現しているじゃないですか。

■あー、そうですね。そういうことですね。

ASCA もうそれにめっちゃ感動して。『Howling』の時も言ったと思うんですけど、自粛期間中にひとりじゃないっていうことに気づけて、それは何回も言ってきていて、たぶんこれをひとりで歌っていたら、それを表現できないじゃないですか。

■はい。

ASCA 彼女たちに参加してもらって、だんだん声が増えていく様をみせることで、「ひとりじゃない」っていうことを曲だけで表現できていて、これはもう本当に嬉しい。私もデビューして3年ちょっと経って、気づいたら仲間が増えていて、そういう面でも「ひとりじゃない」っていうことが表せた1曲なので、このアルバム『百希夜行』に相応しい曲だと思います。

■お話を訊いていて、ちょっとまたグッときてしまいました。

ASCA もうみんなで大合唱したい!

■したいですね。

ASCA そんな日を夢見ています。ファンのみんなとも歌いたいし、この歌姫たちとも一緒に歌いたい。もうみんな天才です。

■あらためてこのアルバムのすべてがつながっているなと思いました。

ASCA つながっているんですよね、全部。自分の伝えたいことや、2020年を生きてきたからこその感情を全部入れて、そしてそれを「大変だったよね」だけではなく、ちゃんとこうして希望として届けることができたので、もう自信作でしかないです。みんな2020年をよく生き抜いたし、よくがんばってる。生きているだけで素晴らしいんですよ。そんなみなさんに届けたい希望の1枚、すべてを込めたこのアルバムが、毎日をがんばって生きている人たちの心に届いてくれることを願っているし、このタイトル通り、希望とともにみんなを最高の場所まで連れていきたいと思っているので、楽しみにしていてください!期待していてください!

Interview & Text:藤坂綾

PROFILE
中学生時代、第5回「全日本アニソングランプリ」に出場し、応募者10,000人以上の中からファイナリストまで勝ち抜き注目を集める。2017年11月に人気アーティストが多々在籍するレーベル「SACRA MUSIC」からデビュー。2019年11月には圧倒的にエモーショナルな彼女の魅力が詰まった1stアルバム『百歌繚乱』をリリース。架空の“会社”をテーマにした公式ファンコミュニティ「ASCA Music Entertainment」を設立(募集中!)。
https://www.asca-official.com/
http://www.asca-me.com/

RELEASE
『百希夜行』

完全生産限定盤(CD+BD+フォトブック)
VVCL-1812~14
¥5,500(tax in)

初回生産限定盤(CD+BD)
VVCL-1815~16
¥4,400(tax in)

通常盤(CD)
VVCL-1817
¥3,300(tax in)

SACRA MUSIC
1月27日 ON SALE